第十章 幼馴染のいない修学旅行(3)
2012年11月29日(金)朝 京都・宿泊施設
「(アナウンサー:)樋串武学園修学旅行実行委員会がお知らせします。皆様、おはようございます。本日も絶好の日和ですよ。今日も全開気分で張り切っていきましょう!!」
起床時間だ。7人は起きる。
「(清子:)......。」
「(アーサー:)おはようございます、清子様。いよいよ最終日ですね。いつものように歯を磨いて、朝食を済ませましょう。」
「(清子:)...?持ち帰ったはずの藁人形が見当たらない...。どこかで落としたのかしら......。とりあえず顔洗って食事をしましょう。」
相変わらず「清子」の寝ぼけた顔は可愛らしい。朝食を済ませてバスに乗り、修学旅行最後の目的地「大阪」に移動する。そんなに時間がかからないくらいだ。
「(源郎:)...何も言うことはあるまい。」
「(魂二:)そういや、修学旅行最後のお楽しみといえば大阪の巨大アミューズメント公園。アトラクションが待ち遠しい。」
「(典子:)...エキスポランドは3年半以上前になくなったっていう話だしな...。」
同日・三日目 大阪
ここは大阪の巨大アミューズメント公園「GSJ」。担当者は生徒会書記の「小日向晴也」。これまで彼の能力の説明はなく、目立った活躍はないまま終盤まで持っていくとはいかに?
「(晴也:)大阪ー!GSJ!!たーのしみだねぇ!!!」
台詞有りで登場するのは「第二章 アトラス兄妹」の最後以来である。
「(杏璃:)そんな子いましたっけ?確か...。」
「(アーサー:)口を慎め帰宅部放送委員長。彼が生徒会最年少の小日向晴也様です。能力『暴虐ファイア』はいわゆる焼却能力で、局部・物体はもちろん広範囲にわたる焼却もできるのです。機嫌損なわないよう気をつけることです。」
「(晴也:)そこの2人、私語ばっかりしないで僕の話を聞いてよねー!!」
「(アーサー:)面目ありません晴也様。」
「(晴也:)仲良しの皆でいろんなアトラクションを楽しんだら、きっと最高の思い出作りができると思うんだ!!」
「(魂二:)...思った通りだ、やったー!!1日いっぱい遊んで思い出を作ってみよう!!」
「(晴也:)...でもちょっと不穏な情報が入ってきてるんだよねー。『新しい朝』って知ってるカナ?」
「(清子:)新しい...朝?晴也さん、それはいったい...どういうものですの?」
「(晴也:)無能力者至上主義の物騒でおとなげない武装集団だよ。」
「(清子:)ちなみに雪郎先生は能力を持たない、ただの先生ですが、晴也さんのいう武装集団に比べて、大いにまともな方ですわよ。」
「(晴也:)帰宅部寄りの風紀委員はわかってないなー!!あの連中が僕らの旅行を嗅ぎつけてGSJに紛れ込もうとしてるって話だよ。」
「(清子:)テロリストは基本的に怖いですわ。」
「(晴也:)でもこれは生徒会の支持団体が拾ってきた非公式情報だから、ホントに来るかどーかは僕にはわかんないよ?」
「(清子:)一応の備えはしておくことが一番、そうですわね?皆さん、反能力者団体『新しい朝』に細心の注意を払うようお願いしますわ。今日は全員参加のイベントですので、出し惜しみはなく楽しんでらっしゃい!!」
クエストの目的は「新しい朝」に用心しつつ時間いっぱい「GSJ」を楽しむこと。三日目クエスト「GSJ」のパーティはなんと全員「清子」「アーサー」「杏璃」「健太」「源郎」「典子」「魂二」でいくことになった。
新派閥「桃姫FC」トリオ「源郎」「典子」「魂二」は当然のように園内を駆け巡る。帰宅部2人「杏璃」「健太」は控えめに園内を歩く。生徒会2人「清子」「アーサー」は一つ一つずつアトラクションに乗る。まずはスプラッシュ型から。
「(清子:)水しぶきライドに乗るのはいつ以来かしら?記憶によると小6の修学旅行の最後はGSJのような公園ではなくエキスポランドで、水流コースターに乗った気が。」
「(アーサー:)私は小6からの留学ですが、修学旅行というものは何の目的で旅行するのか、当時の私にはわかりませんでした。...初めての体験でした。」
恐竜の形をした模型を眺め、その最後に急降下し、ずぶ濡れに。
「(清子:)...濡れてしまいましたわね。」
「(アーサー:)そうですね。」
新派閥「桃姫FC」トリオ「源郎」「典子」「魂二」は当然のようにエンジョイしている。例えば、油圧制御式の乗り物に乗ってドーム内の映像に合わせて上下左右に動くだけ。
「(魂二:)先輩、楽しんでる?」
「(源郎:)お、おう。」
「(典子:)揺する、揺れる、酔う。気持ちいいものなのか...?」
ただそれだけの反応である。
帰宅部2人「杏璃」「健太」は湖のサメを眺めたり、ファイアハウスの中を見たり、スカイネットの技術展を見たり、エトセトラ。すなわち、見るだけのアトラクションを見て回ったりしている。
「(杏璃:)...それにしても、やけに静かですね。初日や二日目もそうであったかのように。」
「(健太:)...そういえば、そうかも。」
「典子」に続き、帰宅部2人は修学旅行の異変に気付いたようだ。
「(杏璃:)それにあの生徒会の最年少といわれている子、まるでわかったような口ぶり...。調べる必要ありますね。よし、修学旅行の正体を調べましょう。」
「(健太:)杏璃ちゃんがそういうなら、僕も手伝うよ。」
いよいよ修学旅行の異変に気づいた2人は園内を巡り、修学旅行の出口を探し始める。...「新しい朝」とはいったい何者なのかは、まもなく明かされることになるのであろう。
生徒会2人「清子」「アーサー」はベンチに座る。
「(アーサー:)清子様、また私の話を聞いて、親睦を深めましょう。」
「(清子:)初日は弟さんと知人、将来に関する話、二日目はこれまでのアーサーさんの話、今日はどんな話が来るのか聞きたいですわ。」
「(アーサー:)そうですね。今日が最後になりますがね、これからのことはもちろん、卒業後のこと、未来に関する話をしましょう。」
すなわち学園卒業後の話をするようなので、「清子」は最後の話を聴くことにした。
「(アーサー:)...あなた様が卒業後にすべきことは、雅史様と結び、子を産み家庭を作り、それから、邦雄様、ジャック様、ベリンダ様、朱美様、劉聡様5人と接触してください。」
「(清子:)注文が多いですわね。そんなに接触してほしいこと?」
「(アーサー:)信じられないかもしれませんが実は私、ある未来人と接触しました。名前はMr.黒澤J様。」
「(清子:)あぁー、杏璃さん腹違いの弟かつ例の未来人ですかね。他の未来人が軒並みにいなくなったと思ったのに、まだいましたのね。いつどこで接触しまして?」
「(アーサー:)修学旅行前です。彼が私に伝えてきたのです。」
「(清子:)...話を整理させてください。修学旅行前に例の未来人があなたがたに5人を見てほしいと頼みました。なのに、わたくしにそれを押しつけるとはどうかと思いまして?」
「(アーサー:)私にとって荷が重い、未来あるあなた様ならできる、それだけです。」
「(清子:)...とにかく、そんなこと言わなくてもアーサーさんならできます。ご自身を信じてくださいませ。」
「(アーサー:)...可能な限りを尽くします。」
最後の話の内容は、「清子」に自身に課せられた「Mr.黒澤J」の頼みを押しつけるものだが前言撤回。「アーサー」自身の力を信じる選択を取った。会話しているうちに修学旅行終わりのカウントダウンが迫ってくる。謎の勢力「新しい朝」が園内に侵入し、7人を始末するために動き出す。
【Phase-3】
手始めに「新しい朝」は新派閥「桃姫FC」トリオ「源郎」「典子」「魂二」と接触する。
「(源郎:)...例のテロリストか?上等だ、成敗してくれる!!」
「源郎」は自身の斧を振るい、「新しい朝」を迎撃する。
「(魂二:)先輩、イカす!!僕も負けてられないな。典子先輩、いくよ!!」
「(典子:)でも私、たいした能力はないんだよ。どう戦うんだ?」
「(魂二:)まあ見ててよね。僕ら3人揃えば、大きな力になる。先輩たち、いくよ。神通力・トライアングルエレメント!!」
能力「神通力・トライアングルエレメント」とは、3人の秘められた力を発揮することで、ひとりひとり小さな能力でも強大な力になりえるもの。炎氷雷タイフーンを放ち、「新しい朝」の大群を一掃する。
「(魂二:)ほらね。そのまま払っちゃおうよ。」
「(源郎:)こいつは面白ぇ。火炎斧で薙ぎ払ってやらぁ!!」
「(典子:)私の秘めたる能力は初めてだ。雷を落として仕留めてやる。」
「(魂二:)僕はテロリストの足元を凍らせちゃおう!!」
3人揃って初めて使う能力「神通力」。開花した能力で「新しい朝」を撃退していく。
修学旅行の出口を探している帰宅部2人「杏璃」「健太」の前に立ちはだかるのは「新しい朝」、おそらく旅行のカラクリに気づかれた以上、生かして帰さないつもりだ。誰の差し金かはわからない。ヒントは生徒会書記の台詞だが、不自然な部分に気づくものはいない。反能力者団体「新しい朝」がここに来たのは偶然か、あるいは意図されたものか。
「(杏璃:)...生徒会書記が言ってた例のテロリストですか。邪魔立てするなら、払いのけるだけです。」
「(健太:)杏璃ちゃんの邪魔はさせない!!」
「健太」の能力「どすこいパヴィース」で「杏璃」を守りつつ「新しい朝」を払いのける。相手が銃器を持っているだろうが、問題なく対処可能なものであった。
生徒会2人「清子」「アーサー」は、ファイアハウスの中に入り、適当にうろつく。
「(アーサー:)そういえば清子様、修学旅行の主要人物3人の姿が見当たりません。どうなっているのでしょうか?」
「(清子:)わたくしだって、そんなことわかりません。...それに、ファイアハウスの床に数字が書かれていますわ。暗号か何かですの?」
「(アーサー:)...これは、どこかで見たような...。清子様、あなた様の年齢は16か17歳だとします。4か月前に発売されたゲームを知っていますか?今年2012年7月26日のことを指しています。」
「(清子:)例の止まらない推理ゲームですかね。今のわたくしは16か17なので購入して触れました。今の話からして、暗号が何なのかはわかりましたわ。つまり、あれでしょう。出口のパスワードですわ。」
「(アーサー:)肝心の出口はどこにあるのやら、架空のテロリストに聞いたほうが手っ取り早いです。ここを出ましょう。」
出口のパスワードを得た2人はファイアハウスを出る。違和感だらけの修学旅行を脱出するために「新しい朝」1人を「清子」の氷魔法で拘束する。
「(アーサー:)修学旅行の出口はどこにあるのか教えてもらいます。」
「(新しい朝:)...スカイネットの技術展。その奥に閉ざされた扉がある。」
「(清子:)情報提供に協力していただき、感謝いたします。さっそく技術展に向かいましょう。善は急げですわ。」
修学旅行の出口に関する情報を手に入れた生徒会2人はスカイネット技術展へ直行する。
【GSJ・スカイネット技術展】
ロボット製造会社「サイバートロン社」といい、会社のすぐそばの「溶鉱炉」といい、溶鉄は下から光を当てたシロップのプールだったといい、「スカイネット」という名前時点でここは「Dr.デカボット」に絡んでいるといっても不思議じゃない。説明はさておき、固く閉ざされた扉の前に建つ生徒会2人。パスワード入力パネルがあるので、ファイアハウスで得たパスワードを入れる。
「"20090802"」
すると閉ざされた扉は開いていく。中へ入ると、そこには「樋串武学園」の教室のような部屋が。...出口を探している他の生徒5人「杏璃」「健太」「源郎」「典子」「魂二」は脱出の手がかりをいち早く掴めた2人の後をつけ、出口?に足を踏み入れる。
「(杏璃:)...何ですか?この部屋は。」
「(アーサー:)どうやら私達は修学旅行という幻想を見せつけられたようです。理由はわかりません。」
「(典子:)...やはり、そうだったんだな。すべてが違和感の正体であることを。」
「(清子:)学園長...修学旅行でいったい何を企んでいるのかしら......。」
この修学旅行は学園長「ラザール夢ノ橋」が企画したイベントであることがわかったのだが、学園長の思惑はわからないままノイズが走り、暗転するのであった。




