第十章 幼馴染のいない修学旅行(1)
第十章 幼馴染のいない修学旅行
2012年11月27日(水)一日目 奈良
ここは奈良、奈良だけに。説明になってなくて戸惑っている生徒達のために新派閥の主要人物「楳原志乃」は説明する。
奈良といえば鹿、奈良に鹿あり。目的はただの鹿ではないとのことで、「桃姫」曰く「番組の企画で金の角を持つ巨大な鹿というものを探したものの、結局見つからなかった。」。地元の言い伝えやネットでは有名らしいゆえに「桃姫」は相当悔しがっている。
「(志乃:)貴様ら7人に捜索の片棒を担いでもらおう。」
「(典子:)なんで私らが?...まっ、桃姫の頼みとあらば探してやってもいいけど?」
「(源郎:)よっしゃあ、探してやるか。金角の大鹿やらを。」
「(魂二:)やっぱ僕達3人はツイてるかな?」
新派閥側3人は乗る気満々のようでなによりである。残りの4人の場合はどうだろう?
「(杏璃:)...どうでもいいです。」
「(健太:)杏璃ちゃん、いこっ。」
やはりというか、帰宅部2人は乗る気なさそうなので新派閥の連中とは別行動をすることに。では、生徒会2人なら新派閥のわがままに付き合うはずだ。
「(清子:)桃姫さんが悔しがるくらいなら仕方ありません。わたくしとアーサーさん風紀委員が珍獣の捜索に付き合ってあげましょう。...それで、どこから探してみます?」
「(志乃:)それは自身で考えな。風紀委員の貴様なら見つけられるはずだ。」
「(清子:)...とりあえず、そこらじゅうの鹿さんを1頭ずつ触れ合ってみますかね。」
一日目クエスト「金角の大鹿」のパーティは「志乃」を含めて6人「清子」「アーサー」「源郎」「典子」「魂二」でいくことになった。
「(源郎:)おまえら知っとるか?おれら新派閥の主要人物達は神通力を使うらしいぞ。」
「(魂二:)え、そうなの?」
「(清子:)そういえば、桃姫さんの能力はあらゆう事物・事象に干渉し、闇の障壁を消すものでしたかね。」
「(アーサー:)ちなみにガーゴイル様の場合は召喚した2匹の狛犬を使役するものでした。」
「(清子:)志乃の神通力は何ですかね?使っているとこなぞ見たことも聞いたこともありません。」
「(志乃:)私語は慎め。突っ立って喋ってばっかりして日が暮れたらどうする?」
「(清子:)...お喋りが過ぎたかしら?ごめんあそばせ。」
「(源郎:)...ちくしょう。どれもただの鹿ばかりでみつからねぇ。」
2時間かけて探しても見つからないまま日が暮れた。
同日20時 宿泊施設
「(清子:)...[ため息]。結局見つかりませんでしたわ。しょせん噂は噂かしら?」
「(アーサー:)ただの噂にしか見えませんでした......?妙ですね。実際はいないはずなのに地元の言い伝えとか、どういうことでしょうか?」
「(清子:)わたくしに聞いてもわかりかねますわ。真偽を確かめるべくブラウザを開こうにも携帯電話(P-03A White)が圏外ですもの。」
「(アーサー:)困ったものか...。エースにいい手土産を持ち帰りたかったのですが...。」
「(清子:)手土産といっても、鹿せんべいくらいしか思いつきませんがね。...エースとは何でして?」
「(アーサー:)私の弟です。1999年10月生だから13歳。フランスのとこで留学している。」
「(清子:)鈴木エース、シモンさんと同い年の子...いつか会ってみたいものですわ。何か知っていることがありましたらお話ください。」
「(アーサー:)とりあえず、フランスの話に限らずヨーロッパ全域の話でもしましょうか。」
「アーサー」は自身を含めたヨーロッパ全域の仲間達のことを「清子」に話すことにした。
1995年12月生の「鈴木アーサー/Arthur Suzuki」と1999年10月生の弟「鈴木エース/Ace Suzuki」はイギリス系人。両親はそれぞれ別居しており、父親と「アーサー」は日本、母親と「エース」はフランスのとこで暮らしている。とはいえ、定期的にエアメールで近況を報告しているので、兄弟離れていてもお互いの近況を知ることができる。
弟が掴んだ情報によると、在ヨーロッパ日本人あるいは日系人が複数いるらしい。行方知らずかつ実際は既に死んでいる早口男こと近藤ジローラモ(ブラー)の親戚の子「近藤エリオ(日本名:近藤邦雄)/Elio Condo」、帰宅部であり「雅史」の幼馴染「黒澤杏璃」の腹違いの弟しかもSF系に憧れていて「ダイヤのジャック/Jack of Diamond」の異名を持つ男「黒澤ジェイコブ(ジャック)/Jakob Kurosawa」、「ハートのクイーン」こと「浜田姫/Queen Hamada」、「クラブのキング」こと「四葉王/King Yotsuba」、「立花カレン/Karen Tachibana」、「結城ハニー/Honey Yuki」、「石田林蔵/Rindo "Darrin" Ishida」、たまにはイギリスに遊びに来る上海出身者2人「中川朱美(朱美)/Zhū Měi」と「細貝聡志(聡志)/Liú Cōng」、デンマーク系であると同時に「アトラス家」の親戚の子「セリア・アトラス(セレーネ)/Selia Atlas」。「セレーネ」に関しては2年前の夏休みより存じてあると「清子」はそう言う。
1999年-2001年生の彼らの他に1997年生の生徒が何人かいるのは確かだ。フランス系人「ベリンダ・ハドソン/Belinda Hudson」、2012年現在まだ存命している「ジョーン・ルルー(ジャンヌ)/Joan Leroux」、「清子」がご存知の子「鵲マデリーン/Madeline Kagpie」、2年前の厄災により日本を去り、今はロンドンで暮らしている忍の子「小波小鳥/Tori Sazanami」。以上、14人。お伝えできる範囲はそれだけである。
「(清子:)セレーネさんやマデリーンさんのことはわかります。おふたりのほか、エースを入れて15人、いつか会ってみたいものですわ。」
「(アーサー:)いずれ会うことになるであろう未来のある人たちのこと...将来のこと...いえ、このように楽しく人と話すのはあなた様が初めてです。もしよければ、時間の限りお喋りしましょう。」
「(清子:)そうですね。最近の学園は閑古鳥が鳴くかのように寂れてますし、今の帰宅部の輩との交流はつまらないものでしてね。」
「(アーサー:)そういう輩なんてほっといて、将来の夢のことを語り合いましょうよ。」
「(清子:)そうしましょうかね。わたくしの将来は...。」
2人は将来の夢を語り合い、この学園を卒業してどうするのか。「アーサー」は学園を出て、弟「エース」のいるフランスへ飛び立つつもりで、「清子」は「雅史」と結び、家庭を作るつもりという内容であった。
他の派閥の場合は...。新派閥「桃姫FC」トリオ「源郎」「典子」「魂二」は楽しげに雑談している...のか?
「(魂二:)結局見つからなかったね。噂通り...かな。」
「(源郎:)最初から怪しいと思ったがよ、妙だと思わねえか?金角の大鹿とかいう空想上の生物なぞ存在しない。おれら遊ばれてるかもしれんぞ。」
「(魂二:)気のせいじゃない?いないとわかって桃姫先輩のわがままに付きあった、それだけじゃん。あの人の意図を気にすること、金角の大鹿を見つからず気に病むこともないじゃん。ね、次の日は京都行くんでしょ?」
「(源郎:)そうだな。その次も今回のようなクエストがなけりゃいいがな...。」
「(魂二:)...典子先輩?3人部屋、しかも男が2人だから話しづらいとか?」
「(典子:)...そうじゃない。この修学旅行ってさ、私らが思っているほど楽しいものか?少ない人数、誰一人もいない場所、なんかに巻き込まれている気が。」
「(魂二:)...まあまあ、気にしないって。修学旅行は楽しいものだし、いちいち気にしたって仕方がないじゃん。あ、そうそう。枕投げしとく?修学旅行の定番。」
「(典子:)...遠慮しとく。」
「(魂二:)...つれないね。」
一日目クエスト「金角の大鹿」参加を拒んだ帰宅部2人「杏璃」「健太」の場合は...。
「(杏璃:)...つまらない一日目でした。雅史くんさえいれば楽しい修学旅行のはずなのに......。」
「(健太:)......僕達は間違っていたかも。雅史、多様性を求める雅史の背中を押してすまなかった......。」
幼馴染「雅史」のいない修学旅行は楽しいものではないと悟った2人であった。
そろそろ就寝時間が近づいてきたので、二日目に備えて7人は寝ることにした。




