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第1話【謎の男、あらわる】
場所は東南アジアかどこかだと思われる。
気温は軽く35度を超えているであろう真夏の炎天下、ただただ、ただただ、とにかく、延々と延々と走り続けている男がいたのだ。
男は年齢は30歳くらい。よれよれのシャツにウールのズボン姿。どこに向かっているのか?目的はまったくわからないが、とにかくいつまでも走り続けていた。
【走り続けている】といっても、具体的にどのような走り方なのか?
もちろん全力疾走ではない。そんな走り方をしていたらあっという間に体力はつきてしまう。
かといって、マラソンランナーのような4歩1呼吸的な走り方とはちがう。ぺたぺたぺたぺたと幼児のように音を立てながら、不思議なリズムで走り続けていた。
ところで走っているときの表情なのだが……得体の知れない笑みを浮かべていた。しかし、それはランナーズハイとはちがう。焦点の定まらない目で遠くを見つめながら、へらへらと奇妙な笑いを浮かべながら走り続けていた。
謎の男は走り続けた。翌日も、その翌日も……果たして彼の目的はなんなのか?




