ギーシフンケキ島1・バーイ文
7:ギーシフンケキ島1・バーイ文
ヤマ君の指示によりグループごとに違う場所からギーシフンケキ島に上陸して行った。砂浜や岩場や崖から。ヤマ君のグループは砂浜から上陸し、草原を横切り、森に入った。
「これじゃジャングルだ。暑い。痒い」
湿った大木が横たわる。密集する葉を透過した黄緑色の光。柔らかく伸びて絡まりあう草。赤、青、黄色、原色の鳥。美しが、それ以上に蒸し暑い場所だ。
「暑―ね。ザオ」
「わしはこのくらいの暑さではなんとも無い」
ザオはアー助に微笑んだ。
「だからザオって素敵!」
カトリーはザオを見上げて言った。
「まあな」
「あ~♭」
「オレは、力は強いが女はいない」
キーポは進路を阻む蔓を切り開きながら言った。
「うはあ。素敵なとこっしゅねえ。この黄金の木漏れ日!イイッしゅね~」
タチバナさんはそれについて何か言おうとした。
「おいマホ語。本音を言え!」
文は言った。
「暑くて死にそうっしゅ!」
「よろしい」
タチバナさんは黙っていた。
「ヤマ君向こうに何かがいる。 動いてるよ!」
アデはヤマ君に注意を促した。
「かなり巨大な生物だな。みんな構えて。自分の命は自分で守れるように」
ヤマ君はみんなに警告した。サクライさんは拳を固くし、ピピピピピ、と音を立てる細い雷を生やした。無数の赤い雷で拳を覆った。文はそれを見て、自分にも同じことが出来る、と思ったが、やり方がわからなかった。
「それどーやるん?」
「自分の無くしてしまいたくない人や場所を守ろうと強く思うのよ。そんなところから生まれる力よ」
文はサクライさんの事を守る、と思った。文の手からピピピピピと音を立てる雷が五本生えた。他の者たちもそれぞれの方法で力を溜めている。アー助は口の中に深紅に燃える火の玉を、メガネ外人は両手に黒い蛇のような空気を巻きつけ、ザオは機械の右手からブルーライト・ソードを、カトリーは長い鼻の先に淡黄色の光を、アデは頭に白く光る熱を、テンネコはしっぽに蚤を、タチバナさんは短い髪の毛が吹き荒れるほどの風を体に、ヤマ君は目の中に青い光を、キーポだけはただ構えている。
「あれ?キーポ君力を溜めないの?」
「おれは、力は強いが、そういう光るやつとかは出来ん」
キーポは文を叩いた。
「いらんこと訊いて失礼しました」
みんなは力を溜めながらゆっくりと巨大生物を迂回して進んだ。後もう少しで避けられるというところで、文が巨大生物めがけて力を放った。
「馬鹿、何してるのよ?」
「もう力を溜めておくのに疲れた。ごめん」
「いっていぞ、バカ」
地鳴りのような声が響いた。文の雷球は巨大生物に命中していた。みんなは逃げ出した。文だけは力を放った後で思うように体が動かなかった。
「僕、泣くよお」
巨大生物は地面を震わせながら歩いてきた、小石や倒れた木が破壊される音が続き、文の目の前に姿を現した。
「コアラか!」
巨大生物は耳だけが翼になっている、黄土色の毛の、巨大なコアラだった。
「オレはビッグコアラのバグンだ。いっていなあ」
「すみませんバグンさま。許して下さい」
「肉が食いたい。持ってきたら許す」
「え!?コアラは肉を食べませんけど」
「オレは変わったコアラだからな。耳みりゃ解るだろうが」
「確かに。翼だもんね」
「解ったらもってこい」
「Yes!」
文は肉を捜しに出かけた。
「あれ?あー文がおらん」
アー助が言った。アデは頭を抱えた。
「さて、引き返すか」
ザオが言った。
「いや。もう生きてはいないだろう。文君の力であの巨大生物を倒せるとは思えない。逃げ遅れたとしたら、もう生きてはいないだろう。先へ進もう」
ヤマ君は言った。
「そりゃあちょっとひどいっしゅねえ」
メガネ外人は抗した。
「引き返そうぜ」
タチバナさんは言った。
「もともと文君のミスなのよ。ヤマ君も言ったように自分の身は自分で守るしかないの」
サクライさんは説いた。
「どうするかはやく決めてくれ。おれは、力は強いが自分の意思は弱い」
キーポは言った。
「ヤマくん、引き返してみようよ」
テンネコは言った。ヤマ君の目に青い光が宿った。
「この世界のことを第一に考えるんだ。先へ進む」
みんなはヤマ君からとてつもない力を感じた。その力によってみんなの考えは流され、先へ進み始めた。




