雷と綺麗な姉ちゃん
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1:雷と綺麗な姉ちゃん
十五歳の少年、糸尾文は自転車をこいで下校している途中、落雷に遭った。体を稲妻が貫き、いーやいーや、と無意識に叫びながら倒れた文は体を海老のように動かしていた。
「あらっ夢か、そーかそーか」
文は気が付くと壁に飾られたグラビアポスターを眺めていた。自分の部屋のベッドで横になっている。
「かーさん!飯!」
「馬鹿たれ起きたか。十五分待てい!」
「お前、今日、すごかったよ」
十五分後、文と母さんは円卓を挟み夕食を食べている。
「何が?」
「横になって浮いてたじゃないか。そのまますすすーとベッドに行くんだもん。たまげたよ」
「母さん」
文は母さんの目を覗き込んだ。
「今日もボケてるね」
「馬鹿たれ。ボケとるのはおまえだけじゃ」
夜の九時には、文は明かりを消して寝た。その体は暗闇の中で青白く輝いていた。
次の日、学校へ登校中、不良にからまれた。朝から自転車が見当たらず、しかたなく歩いて登校している最中だった。
「おい。エロ本くれ!」
「は?エロ本?持ってませんけど」
「ウソ付け!お前みたいなスケベ顔のやつがエロ本を持ってねえはずがねえ」
「失礼な!」
「何だと!」
「確かにボクはスケベ顔でした」
その時、文の足元にノラネコが擦り寄ってきた。にゃああ。
「のみ!のみじゃあないか。久しぶりだな」
文は知り合いのネコに挨拶した。にゃああ。にゃああ。
「うるさいネコだな!」
不良はのみを蹴り上げた。
「文はついにキレます」
文は大きく振りかぶった拳を不良に叩きつけようとした。不良はすばやく身をかわしたが、文の拳から青白いボールのような光が飛んで、それに触れた不良は弾かれてこけた。
「なんかこりゃ!」
文は自分の手をみて言った。拳からはぴぴぴぴと音を立てて五、六本の細い雷が生えていた。三十秒くらいでそれは消えた。
「なんだったんだろ?ま、いーやいーや」
文の視界が無数の斜線で遮られた。すぐに斜線は綺麗な姉ちゃんになった。
「たまげた。なんで突然キレイなネーちゃんが?」
「私は影地球の者よ。あんた力あるみたいね。私に協力してくれない?」
「是非に!」
「じゃ家の人にサヨナラしてきなさい。影の地球に行くと当分は地球に帰って来れないから」
「Yes!」
文は母さんにサヨナラすると、すぐに綺麗な姉ちゃんと供に影の地球へ旅立った。母さんは、良い旅して来い馬鹿たれ!バーイ!と言って文に手を振っていた。




