第6話 これからを撮りに行こう
最終話です。
彼らの笑い声が、風に乗ってこちらまで届く。
見えないスピーカーから、ようやくかすかなビートが流れ出したような気がした。
そのリズムに合わせて、私の意識も、ゆっくりと遠のいていった。
夢の中の彼らの笑い声が、目を覚ましたあとも耳の奥に残っていた。
あの東屋は、怖い場所なんかじゃなくて、彼らにとっての「思い出の場所」だったのかもしれない。
彼らにとって特別な場所で、ひとり宴会を始めた私の近くまで来て、
何となくフレームに入り込んでしまっただけなのかもしれない。
考えれば考えるほど、胸の中の恐怖は薄れていき、その代わりに、言葉にしづらい
ほほえましさがじんわりと広がっていった。
スマホには、もうヤバイ写真はない。
夢だったけど、ニヤリと笑った不思議な笑顔を思い出し、
私には「思い出の場所」はあったのだろうかと、ふと考える。
強気で会社を辞めてみたものの、これからしばらくは無職で、無収入で、
正直どうなるかなんてわからない。
それでも、夜景は期待外れだったあの公園が、ちゃんと誰かの青春の舞台だったように、
どこかにきっと、これからの私の居場所もあるのだろう。
大切な「思い出の場所」も無ければ、これから作ればいいのだ。
私はもう、写真に写った他人の思い出を眺めるだけでは終わらせない。
自分の足で、自分の「これから」を撮りに行こう。私はそう決めた。
そして数日後、noteの記事を読み返した私は、初めて気づいた。
私が行った東屋は、写真に載っていた場所とはまったく別の場所だった。
どうして、私はあの日、あそこへたどり着いたのだろう。




