表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
主人公は僕ですか?  作者: 澤井あき
1年2学期編
70/70

69.二学期が始まる

9月1日、二学期が始まった。


「2学期は体育祭に文化祭があるからな、色々忙しいと思うが勉強も疎かにしないようにな~!」


と、担任が先生らしいセリフを言っている。


体育祭は10月、文化祭は11月にあり、規模は文化祭の方が大きいため、どちらも9月から準備が始まる。

そのため二学期のオリエンテーション時には両実行委員が前に出て企画の説明や役割の担当を決め出す。

今日からイベント当日までは、恐らくほぼ毎日体育祭や文化祭についての用事がついてまわるのだろうと思うと実に面倒な気もする。


「直哉は体育祭どーするの?応援?設営?」


いつものように壁側に背中をつけて横をむいて椅子に座り、こっちを見ながら戸田が聞いてくる。

体育祭の役員以外の生徒の役割は2つ、応援と会場設営だ。

応援担当からはリーダーと言う団全体を引っ張る選ばれし者も選出される様だ。


「…設営だね。僕に応援指導とか企画とかめちゃくちゃ向いてないと思う。」

「んーじゃあ俺も設営にしよ~。」

「浅葱さんは絵が上手いから絶対タテカン(立て看板)に指名されると思うし…野崎さんは…」

「陽菜ちゃんはリーダー頼まれそうだよね~」

「だね。似合いそう。」


──本音を言えば、クラスの皆は多分戸田にはリーダーになって欲しいんじゃないかな?


「戸田は応援したいとかないの?僕に合わせなくてもいいよ。」

「うーん。いや、いっかな~!」

「そっか。」


じっと戸田を見つめたけど、気を使ってるとか無理してるとかはなさそうだな、と何となく思って安心する。

なんたって僕の今の目標は「人を大事に」なのだ。

よく考えたら当然のことだし、人間一周目みたいなレベルの低い目標な気がして恥ずかしいが黒歴史時代から考えるとかなりな成長なのでよしとしようと僕は自分を納得させた。


文化祭はクラス単位では演劇、やきそばや揚げ物などの出店系飲食、メイドカフェやコスプレカフェなどのコンセプト系飲食、お化け屋敷や射的とかアイデア次第ではなんでもできるアクティビティ系、クラスの出し物では1番不人気な展示系でどれをしたいかをクラスで話し合う。

第3希望まで決めて、人気なものは抽選、不人気なものを選べばそれでいけるらしい。

それと別で部活や個人の有志でショータイプの出し物をするという申請も出来る。バンド演奏やお笑いコントの演目などは毎年恒例らしい。

3組の希望は第一がカフェ、第二が出店系の飲食、第三がアクティビティ系になった。


僕としては演劇以外だったらどれでもいいなと思っていたので特に異論もない。

むしろ「…なんか特に希望もないから展示系にする?」という可能性もうちのクラスならありえるなと感じていたので意外なくらいだ。

とくにまとまりもないクラスだと思っていたが、一学期を経て少しクラスメイト同士も馴れ合うようになってきた様子だった。

特にバスケ部の木村くんが大きな声で発言してクラスを引っ張っていってくれてる気がする。

そういえば木村くんとはお祭りで遭遇しなかったな、なんてことをぼんやり考えていたらオリエンテーションは終わっていた。



「体育祭、リーダーになっちゃったよ~。皆は設営なんだよね?いいなぁ」


始業式は3時間で終わるので、学校帰りにお昼を食べようと行ったファミレスで、野崎さんはボヤいた。


「あ、やっぱり野崎さんはリーダーなったんだね。」

「うん、リーダーは練習大変って聞いてたから、出来れば逃げたかったんだけどね~。」


野崎さんの逃げたかった、は僕みたいに面倒と言うよりは″勉強時間が減る″とかが心配なんだろうな、と僕は思う。

華やかな見た目と今どきの女子っぽさからは想像出来ないほど、野崎さんは勉強に対して真面目なのだ。


「女の子は学ラン着るんだよね~、陽菜ちゃんの応援姿楽しみにしてるよ~。」


戸田がそう言うと、野崎さんの隣に座っている浅葱さんも目をキラキラさせて頷いている。


「あ、そうだ!高田くん体育祭の日に学ランかしてくれない?申し訳ないけど…クリーニングして返すから!」

「え、え、別にいいけど、僕のでいいの?」


なんとなく、中学校の頃の体育祭の応援にも女子が学ランを着ていて、″着る学ランは好きな男の子にかりるもの″みたいな噂があったのを思い出した僕は少し動揺して変な反応をしてしまう。

野崎さんにそんな他意なんかあるわけないだろう!自意識過剰だ!と急いで自分に言い聞かせる。


「うん、借りれる男友達なんて、高田くんと戸田くんしかいないし。」

「そっか、全然大丈夫だよ。」

「ありがとう!助かるよ~!!」


あれだけ男の子とも気さくに話すのに″男友達は僕らだけ″と言われたことに驚いたけど、それと同時に友達と思ってくれてることに改めてほんわりとした気持ちになる。

戸田のはサイズが大きすぎるし、戸田に借りたなんて他の女子たちに知られたら大変なことになるだろうなと思いついて、僕は納得した。


「体育祭とか久しぶりだな~、文化祭は初めてだし~。」

ニコニコと戸田がポテトをつまみながら言うので「中学は?」と僕が答えを分かりきった質問をすると「サボり~」と予想通りに戸田が答えた。


「戸田くん、中学の時悪かったらしいもんね、ふふ、有名だから聞いたことある」

野崎さんが揶揄うように言う。

「うん~。恥ずかしいけどなかなかにグレていたなと自分でも思う~。」

「そんな風には見えないね~、むしろ優しくて穏やかなイメージなのに。」

「いや~、けっこう短気なとこあるよ俺~」

「そうなんだ、意外!」


戸田と野崎さんの会話を聞きながら、戸田は不良に向いてないよなと考える。

母も言っていたが戸田は基本的に育ちがいいのだ。

毎日一緒にいると、戸田が、子供らしいわがままさと共に、まともな倫理観を持ち合わせているのが痛いほど分かる。


「高校で知り合ってから、戸田の短気さを感じたことないから、短気さが出るポイントが不良だった環境下では多かったんじゃない?トラブルに巻き込まれなければ温厚、みたいな。」

「…なるほど!そうかも~!」


またしても素直に納得してる戸田。


「戸田もだけど、今いるメンバーが怒ってるとこ想像つかないよ僕は。」

「ほんとだね!私は…怒らないってことはないけど、怒っても表に出さないかも。」

「野崎さんは大人だよね。」

「だね~、俺は前科あるからな~。」


前科とは1組の女子2人組にキレた件だろう。


「莉央ちゃん、最近怒ったことある?」

野崎さんがそう聞くと浅葱さんは「…ない。幸せだから。」と答えた。

この中では莉央だけが喜怒哀楽の中の怒がかなり薄いタイプです。

他の3人はポイントが違うだけで、人並みに怒りの感情を持ち合わせてます。


次は「この気持ちはなに」です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ