03話 後編 異世界転生
明日の朝、警察署へと向かうと異世界研究捜査部というところに案内された。そこには段ボールに入ったエクスマキナの少女と黒ずくめの恰好をした男の警察官2人が待っていた。
警察官の2人は自己紹介をする。警察官の一人目の名前は大島輝幸。ちょっとだけ太っている。四十歳の警部である。もう一人の長い髪を縛っているのは佐々木和則。三十七歳の警部補である。ちなみに異世界研究捜査部はこの2人しかいない。
「よろしく頼みます。転生者としての力を頼りにしています」
2人の警察官は奏楽に頭を下げるのであった。
ではさっそく異世界へ行く方法だが、一つ目はエクスマキナの少女によって右手を外し右腕の先から発生させる光の輪を潜って異世界へ行く方法である。もう一つが遭難といわれる異世界に巻き込まれる方法。奏楽が今まで経験した異世界行きの方法は2つ目の方となる。
これから遭難した者を保護したり、怪物いわゆるモンスターが発生した場合は倒して保護対象を守ることになる。
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さっそく町へ繰り出す警察官2人と奏楽。相変わらず怪しげな黒ずくめの恰好で一生懸命段ボールを運んでいる。異世界の問題は機密事項でエクスマキナの少女を他人に見せるわけにはいかないらしいのだ。
奏楽はアドバイスの言葉をかけた。
「台車使えば楽じゃないだろうか」
その通りらしく警察署でどこからか台車を借りてきてその上に段ボールを置いた。これで押すだけで運ぶことができる。
ふと急に町中でエクスマキナの少女が起動した。
「反応キャッチ。起動完了。これより任務を開始する」
段ボールの中から立ち上がり右手を外して右脇に挟んで右腕から光の輪を発生させる。警察官2人はタブレットを取り出してエクスマキナの少女の視界を共有する。
「じゃあ、よろしく頼むよ」
大島警部に頼まれ光の輪の中に入っていく奏楽、そして奏楽の後を追う形で異世界に入っていく右手を外したままの少女。
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異世界で出た場所は無人の霧の町だった。霧がモンスターがいることを教えているようなもので、この世界の住人はそれを理解しているため人がいないのは当たり前なのだ。霧が出る前に住民たちはどこかへ避難している。
霧の町を歩く少女と奏楽。
空を飛んでみてみようと背中に意識を集中させる。
「ペガサスの翼!」
白い翼が広がり、そのまま羽ばたいて飛翔する。だが結局霧のせいで上から地上を観察しようとも見えない。
「駄目だ。何も見えない」
そのまま地上へ着地しペガサスの翼をたたんだ。
このまま歩き続けるしかない。エクスマキナが起動したということは何か異世界の反応があったということだ。そしてこの霧が出ている状態を思えば確実にこの霧の中に何かがいるはず。
〇
大きな橋にたどり着いたところで少女の反応があった。
「反応キャッチ」
橋の向こうに何かがいる。また赤子のような泣き声が聞こえてくる。
「どっちだ? 遭難者か? モンスターか?」
赤子を抱く女。あれは前にも見たことがある。女の顔面にはミミズのようなものが這って赤子は巨大なミミズのような怪物であった。
少女はナイフを抜いて走って向かっていく。
「やはりそっちか!」
奏楽は翼を広げて低空飛行をし赤子を抱く女へと向かっていく。だがこの時はっきりと人間の赤子の顔が見えたのだった。
「何?!」
少女の方はナイフを持って駆けだしている。
「いけない! そいつは本物だ! 遭難者だ!」
少女は赤子を抱く女の首を切り落とす。するとはねた首から羽の生えた虫が飛び出しては歪な羽音を立てて赤子にストローのような口を突き刺そうとする。少女は羽虫のストローのような口の筒を掴みへし折った。
「保護対象確認。任務了解。これより保護対象を確保する」
少女は赤子を無理やり奪い取り、首から上が羽虫のモンスターを蹴り飛ばす。
すると羽虫は羽ばたいて今度は空から地上の少女と保護した赤子に向かって飛んでいく。奏楽は翼を羽ばたかせて羽虫のモンスターに向かって飛んでいった。
「させるかよ!」
対向して飛ぶ奏楽のペガサスの翼が羽虫の羽を切り刻み羽虫のモンスターは地上へ墜落していった。地上でもがく羽虫のモンスターに少女は背中のホルスターから拳銃を引き抜いて数発撃ち込む。
羽虫のモンスターは動かなくなり、無事赤子の遭難者を保護することに成功したのだった。
「任務完了。一名の乳児を異世界から救出するため脱出の許可を申請――了解。これより異世界から脱出する」
これから奏楽はこのエクスマキナの少女と共に戦っていくことになるのだろう。




