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24話 前編 モンスターとの共存

 町に霧が発生すると十中八九モンスターが出現する。今現在霧が発生した町にやってきたのは白髪の少年とタキシードを着た金髪の男であった。

 白髪の少年は急いでいるようで金髪の男を急かす。


「急がないとクエストを受注してやってくる冒険者たちと鉢合ってしまう可能性がある」


「はい魔王様。急ぎましょう」


 霧の町を走る白髪の少年と金髪の男。

 霧の中でもやもやと蠢いている獣の姿がある。いや、獣に見えてその実態はモンスターだ。体表に電気が走りぴかっと光る。

 白髪の少年はその正体を口にした。


「雷獣だ」


 雷獣は馬の肉を食らっている最中であった。

 金髪の男は眉間に皺を寄せる。


「まずい。馬の肉を食らっている。あれでは害獣の対象だ」


 白髪の少年は「今すぐ保護してこの場から離れる」と言い、金髪の男はモンスターを召喚するための召喚板を少年の左腕に取りつけた。


「僕は、三頭の飛竜を召喚!」


 カードが一枚召喚板に配置され召喚される三つの頭を持つ巨大な飛竜。


「この最強で強靭無敵なドラゴンで、お前を愛を持って捕まえてやる」


 雷獣が三頭の飛竜に警戒し体中に電気が走る。


 ――ガルルル。


「馬や家畜は食べてはいけないことを教えてやる! いけ! 三頭の飛竜! 閃光のバースト!」


 三頭の飛竜の口から光線が発射され雷獣に命中。雷獣は光線により体が引きずられ背中が建物と衝突してしまう。

 金髪の男は鎖で弱った雷獣を拘束して捕獲し、封印の壺を用意しその壺の中に雷獣を封印したのだった。


      〇


 吉塚がクエストを受注し雷獣討伐にやってきたところ、馬の死体が転がっているだけでモンスターの姿はどこにもなかった。


「やれやれ、逃げられたかね」


 一緒にやってきたナナも同じ感覚のようだ。モンスターがここらにいる気配はない。


「逃げちゃった後かもしれませんね」


 吉塚とナナは馬の死体だけがあったことを報告するため、一度ギルドに戻ることにした。


      〇


 魔王の城の中ではモンスターが封印された壺が並んでいた。

 魔王の玉座に座る白髪の少年は金髪の男に先ほど捕まえた雷獣の封印を解くように命じる。


「さあ、先ほどの封印を解こう」


 少年の左腕には召喚板が取り付けられている。金髪の男は封印の壺の封を切り雷獣を解き放つ。


「魔王様!」


「分かっている!」


 雷獣は戦闘体勢をとっていて体中から電気がほとばしっている。


「雷獣をカードで召喚できるようにする。そうすればもう君は狙われることもなくなるのさ」


 少年は真っ白なカードを取り出しそれを雷獣に向けた。真っ白なカードに雷獣の絵が転写されるように描かれ、それを見た少年は満足げに笑った。


「成功だ」


 雷獣はリラックスしはじめてその場にしゃがみ込む。

 少年は雷獣の元へ歩き、雷獣の体毛を撫でた。


「いい子だ。君はもううちの子だ。名前は、そーだな。……ライオウだ」


      〇


 魔王の名前は酒井王林(さかい おうりん)。この世界へやってきた所以は女神の異世界転生によってだった。彼の異世界転生を担当したのは女神イズルン。彼に与えられた祝福は獣人との混血であり、召喚魔法であった。モンスターの気持ちを理解することができ、さらに召喚し使役することができる能力。


 金髪の男の名はオーウェル・スカッシュ。彼も半分が獣人の血が流れている。


 神の世界で神オーディオデは女神イズルンと共に新たな魔王である酒井王林の様子を窺っていた。

 オーディオデは顎に手を当てながら語る。


「どうやらモンスターの保護活動が目的のようだな。まあ、少々様子するとしよう。これが吉と出るか凶と出るか。見ものだな」


 イズルンは頭を下げて「はい」と答えるのだった。

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