14話 後編 二人の女神
ナナ・アルファスとの待ち合わせ場所のカフェに訪れると、四人は四人席のテーブル席で昼食を摂ることとした。吉塚はペペロンチーノを頼み、奏楽はサンドイッチを、ノワールはパンケーキを、ナナはスコーン。そしてそれぞれの分の珈琲を注文した。
みんなバラバラな注文で、一番早く届いたのは四人分の珈琲とスコーンだった。
一番最後に届いたのは吉塚のペペロンチーノで、届いたペペロンチーノを食らう彼は食べながらナナにピラミッドに興味があるか問うた。
「ピラミッド? 何ですかそれ」
どうやらピラミッドというものを知らない娘であったようだ。
説明する吉塚。
「要するに大きい王様のお墓だ。お宝やミイラ、文明の跡に価値があるというわけさ」
わくわくしながら声を上げるナナ。
「嘘!? お宝なの?」
どうやら興味が湧いたらしい。
ノワールが説明をする。
「発見されたばかりの場合だと、ダンジョンの探索クエストとして、ギルドで募集がかかっているかもね」
〇
四人でギルドへ向かうとクエスト募集掲示板を拝見した。ダンジョン系のクエストは現在募集されておらず、いつものモンスター討伐ばかりの案件であった。吉塚は一枚の貼りだされた紙を示して問う。
「ダンジョンクエストがないから、こんなのはどうだ?」
彼がおすすめとばかりに指を向けたのはナルガクリードというモンスターの討伐依頼。ナルガクリードとは素早い動きで獲物を狩る飛竜の種族。飛竜と言われても翼は発達しておらず空を飛ぶことはできない。
吉塚は飛竜を狩るのが得意だ。皆もそれでよいと思っている。
ギルドの窓口でクエストの依頼を受注する際にピラミッドの話をすると、とうに攻略されたダンジョンらしく、アンデッドは全て狩られ学者が出入りした後らしいのだ。
〇
町から出て飛竜ナルガクリードが住む場所へと向かう奏楽一行。ナルガクリードは普段の生態としては鹿や猪などを捕食しているらしい。素早い動きと鋭い爪がこのモンスターをモンスターたらしめる特徴だ。
森深くへ進むにつれて暗くなっていく吉塚は「そろそろだ」と言い全員油断しないように忠告した。
住処に近づけば近づくほどにいつ出没してもおかしくはない。
突如としてモンスターの声が森中に轟いた。
吉塚は呟いた。
「狩りをしている。モンスターがモンスターを狩っている」
いくぞと声をかけると急いで声がした方角へと走り出す一行。
〇
真っ黒な毛に包まれた巨大なモモンガのような見た目をした飛竜ナルガクリード。そのモンスターが全身鱗に囲まれた別種の小ぶりな飛竜を狩り食らっていたのだった。
吉塚は戦うための詠唱を始める。
「――今身体の耐久値を上げよ、エクスタフネス! ――今身体のスピードを上げよ、スピードソルジャー! ――今我が剣の威力を上げよ、スラッシュナイフ!」
そして単身突っ込んでいく。
「援護頼む!」
奏楽は背中に意識を向けて叫ぶ。
「ペガサスの翼!」
背中から真っ白な翼が生え飛翔する。
向かってくる吉塚にナルガクリードが気付き、威嚇する。
――ガアアアアアアアア!
恐れることなく向かっていく吉塚。一定の距離まで近づき剣を振りかざすとナルガクリードは予測していたかのように後ろへ下がり躱す。
さらに上空から奏楽が攻撃を企む。
「翼で打つ!」
降下して接近するもそれすらも分かっていたかのような動きで躱される。
ノワールが躱せないように身を縛る魔法を唱える。
「ローズウィップ」
薔薇のモンスターが召喚され、薔薇のモンスターがつるでナルガクリードの動きを封じようとするも全身絡めて封じようとすることさえ想定済みかのように素早い動きで躱していく。
吉塚はさらに自身のスピードを上げるべく詠唱を重ねる。
「――今身体のスピードを上げよ、スピードソルジャー!」
剣が届く速さまで上昇しナルガクリードの身を切り裂くため剣を振り下ろすも、鋭利な爪で防衛されてしまう。




