第222話 正解は温熱石
朝食を食べ、準備をすると、土の国の別荘に飛ぶ。
すると、本当にタマヒメ様が布団を敷き、すやすやと寝ていた。
「起こすか?」
「いや、さすがに寝させてあげましょうよ」
多分、どちらにせよ、ついてこないし。
「まあ、そうじゃの。では、エントランスに下りるぞ」
サクヤ様がさらに転移を使い、エントランスにやってくると、受付にいる教会の人に会釈をし、外に出た。
「日本はだいぶ涼しくなったというのにこっちは朝から暑いのう」
確かに暑い。
30℃は超えてそうだ。
「朝だからマシな方ですよ。行きましょう」
「そうじゃの」
俺達は日焼け対策の外套とタオルを被り、町中を歩いていく。
「やっぱり暑いね……」
「そうですね……この国の難点はここです」
ホントにね。
「風の国は涼しいと良いのう……」
「名前的に涼しいんじゃないですかね?」
「風が強いらしいですしね」
というか、ノーラさんが強風が吹いてるって言ってなかった?
やはりサクヤ様が言うように本格的に冬になる前に行った方が良い気がする。
俺達は暑い町中を歩いていくと、魔法ギルドにやってきた。
ギルドはやはり受付に3人の職員がおり、ドリスさんの姿も見えたのでそちらに向かう。
「こんにちはー」
「ああ。こんにちは。遺跡巡りはどうだった?」
「すごかったですよー」
「砂漠も綺麗でした」
「暑かったがの」
そこはまあね……
「皆、そう言うね。暑いのは私らでもわかるんだけど、砂の何が良いかはわからない」
地元の人はそうだろうな。
「ノーラさんに車を出してもらいましたし、快適でしたよ」
「それは良いかもね。安全だったろ?」
「ええ。何も出ませんでした」
他の冒険者にも部族の人にも会わなかった。
まあ、ガーディアンに会ったけど。
「なら良かったね。まあ、楽しんでくれたのなら何よりさ。もう出るのかい?」
「また来ると思いますけど、風の国に行こうと思っています」
「ここまで来たら次はそこだわね。そこに行くなら配達の仕事を頼むよ。書類と本がある」
風の国への配達ならちょうどいいな。
「ええ。やります」
「じゃあ、ちょっと待っててね」
ドリスさんは立ち上がると、奥の方に向かった。
「ちょうどいい仕事があったね」
「ですね」
そのまま待っていると、ドリスさんが本と封筒を持って戻ってくる。
「お待たせ。これを教会に渡してくれればいいよ。宛先が巫女様だから直接渡した方が良いかもね」
風の国の巫女様宛か。
「わかりました」
「どれくらいで着くんだい?」
うーん……
「逆に風の国ってどれくらいで着くんですか?」
「列車があるから着くのは早いよ。ここを夜に出て、翌日の朝にダルト王国の王都に着く。そこから列車を乗り換えて、レンダーの町まで半日だね。そこからさらに列車を乗り換えれば数時間で風の国だよ。とはいえ、聖都まではトロッコで移動だね」
土の国と風の国は列車で繋がっているわけだ。
じゃあ、今回は車はなしか。
となると、平日には動けないな……
「ちょっと待ってくださいね……来週、いける?」
「ええ。予定もないですし、大丈夫だと思いますよ」
じゃあ、来週だな。
「ドリスさん、ちょっと色々と寄るところがありますので来週くらいになると思います」
今回は早く持っていくプラスはないな。
「了解。報酬は金貨5枚ね」
「わかりました」
本と書類を受け取ると、サクヤ様に渡す。
「それでドリスさん、風の国で気を付けることってありますか?」
「風の国ね……風が強い」
うん……
「それだけ?」
「あそこは大人しい風土だからね。ウチみたいに盗賊はいないし、騒がしい感じではないよ。静かなところで引退した貴族が移り住む場所としても人気だね。ただ、年中、肌寒い」
寒いのか。
「雪が降る感じですか?」
「今の時期ならそこまでじゃないよ。ただ、朝晩は冷える」
ふーん……春秋って感じかな?
まあ、その辺は着いてからの感覚だな。
幸い、外套は持っている。
「わかりました。それでは行ってきます」
「気を付けてね」
俺達はギルドを出ると、人がいない裏道に入る。
「それではフロック王国に飛ぶぞー」
「お願いします」
俺達はサクヤ様の転移でフロック王国の王都にある倉庫に飛んだ。
ちゃんと棚の中にはさっき受け取った本と書類もある。
「まずはカーティスか?」
「そうですね」
ギルドは……ギルドに行っても仕事があるかな?
まあいいか。
俺達は倉庫を出ると、カーティスさんの研究室に向かう。
「こっちは暑くもないですし、快適じゃな」
「今は過ごしやすい季節ですしね」
「日本でも暑さはかなり和らぎましたし、良いですよね。まあ、すぐに寒くなるんですけど」
すでに朝晩は冷えるからね。
最近はお布団が温かいけど。
「例の剣が売れたらまた魔導帝国で暖房石を買おうよ」
夏に冷却石を買った時は入荷していなかったが、そろそろ入荷している頃だろう。
「暖房石って言うんですかね?」
「冷却の反対……加熱石?」
ファミレスでハンバーグを頼むと付いてくるやつみたいだ。
「料理の道具っぽくなりましたね……暖房石なような気がしてきました」
だと思う。
「今年の冬はそれとコタツで乗り切ろうか」
「良いと思います」
あとは火の国の温泉と水の国のカニ鍋だな。
良い冬になりそうだ。
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