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週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~   作者: 出雲大吉
第6章

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220/220

第220話 おめでとう


 冒険をした翌日はディーネさんのところに行き、クルージングを楽しんだ。

 やはり暑さも和らいでいたため、かなり気持ちが良かった。

 もちろん、船が壊れることなんてなかったし、無人島に漂流なんてことも起きなかった。

 そして、翌日の3連休最後の日はサクヤ様に魔導帝国にある部屋に送ってもらった。


「さて、マージェリーじゃな。どこにおるかの?」


 サクヤ様が聞いてくる。


「検問のところで聞いてみましょう」

「それがええか」


 俺達は部屋を出ると、階段を下りた。

 そして、ジュリアさんが運転するということなので助手席に乗り込み、3層と4層の検問に向かう。


「土の国とは全然、違いますね」


 街並みを見ながらジュリアさんが苦笑いを浮かべた。


「まあねー。暑さも全然違うし、何よりも砂がないね」

「先代の巫女様も故郷が恋しくて、あんな部屋にしたんでしょうね」


 多分、そう。

 生活も環境も全然、違うんだもん。


 3層と4層の検問までやってくると、車から降り、兵士のところに向かう。


「こんにちはー」

「あ、どうも。大佐ですか?」


 挨拶をすると、兵士さんはすぐに察したようだ。

 まあ、それ以外にないからな。


「ええ。どこにおられますかね?」


 どこぞの喫茶店ではありませんように。


「大佐は今日、休みですね。家におられると思いますよ」

「家……」


 確かマージェリーさんって……


「ええ。彼氏さんの家ですね。4層にありますよ」


 親に内緒で同棲してるって言ってたもんな。


「どうする?」


 ジュリアさんに確認する。


「うーん……今日じゃなかったら来週になっちゃいますね」


 今日は月曜日であり、3連休の最後の日だ。

 別に急ぎではないし、来週に回してもいいのだが、そろそろ風の国を目指したいと思っている。


「行く?」

「ええ……せっかく来ましたしね」


 それもそうか。


「あのー、マージェリーさん……というか、彼氏さんの家はどこですかね?」

「地図を描きましょう。ちょっと待ってくださいね」


 兵士さんが親切にも地図を描きだした。


「ありがとうございます。ちなみになんですけど、マージェリーさんの普段の姿って知ってます?」

「知りませんし、それはタブーですね。聞かないでください。誰も知らないと思いますよ」


 やっぱり皆、知ってるんだ……

 そりゃそうか。

 あんなに堂々とイチャついてたもんな。


「そっすか……」


 その後、兵士さんが地図を描いてくれたので車に乗り込み、4層に入った。


「あそこを左ですか?」


 ジュリアさんに言われたので地図と先にある十字路を見比べる。


「そうだね。そこを曲がって、ちょっと行ったところのアパートらしい。青い屋根って書いてある」

「わかりました」


 ジュリアさんが運転する車は先にある角を左に曲がり、さらに進んでいく。

 すると、青い屋根のアパートが見えてきた。


「あれっぽいね」

「じゃあ、止めますね」


 ジュリアさんがアパートの前に停めたので車から降りる。


「ここか……マージェリーってお偉いさんじゃなかったか?」


 サクヤ様がアパートを見て、首を傾げる。

 アパートは高級感もないし、広さもウチと変わらないくらいの普通の集合住宅に見えるのだ。


「まあ、恋人の家ですからね。それにマージェリーさんから借りているあの部屋も普通だったじゃないですか」

「そんなものかのう……」


 結婚したら屋敷でも買うんじゃないかな?


「ハルトさん、部屋はどこですか?」

「3号室らしいよ」

「あそこですね」


 俺達は3号室と書かれた表札がある扉の前に行くと、呼び鈴を鳴らす。

 そのまましばらく待っていると、ばたばたという足音が聞こえ、扉が開いた。


「はーい……んー? お前らか」


 軍服姿ではない私服のマージェリーさんだ。

 なお、満面の笑みがいつもの仏頂面に変わった。


「こんにちは。ちょっとお話というか、相談がありましてね。お休みなのにすみません」

「ふーん……」

「マージェリー、誰ー?」


 奥から彼氏さんの声が聞こえる。


「あ、私のお客さんだよー。ちょっと出てくるね。すぐに帰ってくるからー」


 この変わりようよ……


「わかったよー」

「うーん!」


 きゃぴきゃぴマージェリーさんは部屋から出てくると、扉を閉め、再び、マージェリー大佐に変わった。


「いや、ホント、すみません」

「構わん。別に何かをしていていたわけでもないし、出かける予定もない。それで相談とは?」

「実はまた珍しいものを手に入れたんでマージェリーさんにお願いできないかなと思いまして」

「ふーん……物は?」

「これじゃ」


 サクヤ様が2本の剣を取り出し、マージェリーさんに渡した。


「ほう? 魔剣か。見たことがないタイプだ。これはどこで?」


 マージェリーさんが剣をじっくり見ながら聞いてくる。


「実は土の国に行ってましてね」

「そう言ってたな……遺跡から出てきたのか」

「ええ。土の国の巫女さんの遺跡調査に同行しましてね。その際に遺跡の地下を見つけまして、そこで黄金の剣を守っていたフルメイルのガーディアンが持っていた剣です」

「ほう……となると、年代物の魔剣か。その黄金の剣とやらは?」


 まあ、気になるよね。


「普通の黄金の剣みたいですね。ただ、歴史的な価値があるそうですし、巫女のノーラさんに調べたいから売らないでと言われました」


 普通の黄金の剣っていうのも変な言葉だ。


「ふむふむ……そっちの方も売れそうだが、まあ、巫女がそう言うなら仕方があるまい。それにこの2本の剣の方が高く売れると思う」


「そうなんですか? ノーラさんが言うには魔剣は金貨数百枚程度だけど、黄金の剣は1000枚は軽く超えるって言ってましたよ」

「それは単純な価値でしかない。正直に言えば、この魔剣から感じる魔力はそこまでだし、魔剣の質的な価値から言えばそんなものだ。そして、黄金の剣は黄金なんだから高い。ただ、はるか昔の未知の魔剣となると、研究者共が食いつくし、この魔導帝国なら大金を出しても買いたいという者が多い。例のオークション形式でいけば1000枚は超えるぞ」


 おー……


「いけます? あと、この前みたいなトラブルは嫌ですよ」


 ナイジェル議員ね。


「トラブル? あんなものはトラブルとは言わん。ただのクレーマーだ。私がすぐにでもしょっ引く」


 しょっ引くのが好きだもんね。


「持っていき方を考えた方が良くないですか?」


 正直、そのせいで揉めたのではと思ってる。


「わかった、わかった。それでどうする? 私に一任するか?」

「他に伝手もないのでお願いしたいです」

「わかった。では、これは預かるぞ」

「ええ。どれくらいの時間がかかりますかね?」


 そう聞くと、マージェリーさんが悩みだす。


「うーん……まあ、3週間だな。色んな金持ちや研究者に声をかけ、値段を吊り上げていくからそんなものだろう」


 3週間か……また11月の3連休の時だな。


「わかりました。では、そのくらいに伺います」

「ああ。期待しておくといい」


 そろそろ涼しくなるし、冷却石の暖房版でも買おうかな。


「お願いします」

「あ、そうだ。貴殿らは風の国に行くのか?」

「わかりますか?」

「まあ、順番で言えばそうなる。道中のフロック王国の王都に寄る予定はないか?」


 行くつもりではある。

 カーティスさんやギルドに話を聞きたいし。


「ええ。そのつもりです」

「なら叔父上に伝言を頼む。多分、近いうちに結婚する」


 …………ん?


「あ、はい。おめでとうございます」

「おめでとうございます!」

「おめでとうなのじゃ」


 なんとなく拍手をする。


「うむ。感謝する。そういうわけでそんな感じのことを伝えておいてくれ」

「ご自分で連絡しないんですか?」

「それはする。ただ、まだ正式な話じゃないし、ウチのうるさい親に話すのが先なんだ。そういう感じだったと伝えてくれるだけでいい」


 なるほど。


「わかりました。伝えておきます」

「うむ。頼むぞ。じゃあ、3週間後に来てくれ。ではな」


 マージェリーさんがそう言って、部屋に戻っていったので俺達も車に乗り込み、3層に戻っていった。


お読み頂き、ありがとうございます。

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