はじまりの夢
そこは懐かしい、学校の教室だった。
教室のドアから窓のほうを眺める。
そこには制服の少女。
黒髪は胸元までのロングストレート。
かなり細身で、折れてしまいそうだった。
「何してるの?」
思わず声をかけた。
バッと少女が振り返った。
「び、ビックリしたぁ。」
少女に何故か懐かしく感じるほど、
顔立ちも声も、覚えがある気がした。
だが、誰かわからない。
「ごめん。脅かすつもりじゃ。」
「あはは、ぼーっとしてたから気にしない!」
とても親しげに話す彼女。
机に座ってたので、彼女の前の机に座る。
窓の外は夕方なのか、夕日が射していた。
「キレイだよね。」
そう話すと、彼女はうん、と呟いた。
「でも、見てるよりは何かしたいかな。」
彼女がそういうと、俺の手元には何故かボードゲームの箱があった。
「面白いゲームあるけど、やる?」
「え?やるやる!」
まるで、幼なじみのように彼女とボードゲームを楽しんだ。
このボードゲームは下らない部類の内容で、バカバカしくて笑えるゲームなのだが、
彼女は最初こそ真剣にやろうとしていたので、ちゃんとネタばらしをすると、
「やだー!真面目にやろうとしてたー!!」
彼女は笑って許してくれた。
楽しく3回ほど回すと、彼女があっと声をあげる。
ガタッと椅子から立ち上がる。
「さ、時間だよ?」
スマホのアラームがけたたましく、朝を告げる。
思わずスマホを取れば、朝の支度の時間だった。
「夢、か。」