とある会社員の日常 3
残業込みで夜の7時を過ぎて、ようやく会社から家路につく。
クソ、追加発注さえなければ、あと30分は早く帰れたのにな。
ピロン、とチャット通知が鳴る。
見れば、親友 栄一からのチャットだ。
「"腹減ったー、そっち上がり?"」
あいつは今日非番だったか、親友からチャット来るのはだいたい非番の日だけだ。
「"おう、いつもんとこ行く?(*´∀`)"」
俺達定番の焼肉屋の話をふる。
「"いいぜ!先予約しとく~~~~~(m--)m"」
返ってきたチャットにニヤニヤして、電車に乗り込んだ。
「おーい、こっちこっち。」
馴染みの焼肉屋に入ると、あいつが手を振った。
近づいて席につくと、すでに酒が用意されてた。
さすおま。
「いつものやつから行く?」
「ああ、酒はハイボールかな。」
「お?珍しいな、桔梗が飲むなんて。」
タッチパネル注文で、個室に野郎2人で、寂しい焼き肉パーティーの開幕だ。
「追加発注するなら早めに言えってのに、あいつら!こっちの都合はお構い無しだぞ!」
酒が入って、野郎の愚痴大会に早変わり。
「そっちも大変なんだな。」
親友はあはは、とタバコ片手に酒を飲む。
ピロン、とあいつのスマホが鳴るが、親友はチラ見して無視した。
「おい、さっきから鳴ってるぞ。いいのか?」
「ああ、仕事じゃねぇし。」
そう話したが、直後にスマホは親友の好きなヴィジュアル系バンドの名曲を流す。
再び、チラ見して舌打ちをする。
「すまん、お袋だ。」
「ああ。」
席を立って離れた場所で通話をする親友。人より耳がいい俺には筒抜けの距離だった。
「ああ、解ってる。今更親ヅラすんな。」
珍しく怒気をはらんだ声で、タバコをふかす。
さては、見合い話か?
すぐさま通話を切って、席に戻る。
「すまん、最近うるせぇんだよな。」
「はは、見合い話か?」
「ん、ああ、そんなとこだ。」
親友は誤魔化した。
「医者だからな、モテるんだろ?」
「バカか?研究者のほうが近いんだぞ、いつも研究所なんかに篭ってんだぞ?モテ期なんかあるかよ。」
酒をあおり、親友は切って捨てた。
「はぁ、彼女か。」
そういう俺にもモテ期はあるわけがない。
「なんだよ、作る気あったのかよ。」
「ない。でも、そろそろ親父達がうるせぇんだよな。」
どこも変わらぬ平凡な野郎には、趣味がありゃいい。親友も同意見のようだ。
フラフラしながら、自宅の鍵を開ける。
なんだかんだで、夜の10時。
鍵をテーブルに放り投げ、スーツを乱暴に脱ぎ捨てる。
「あー、だりぃ。」
寝巻きにすら着替えるのが面倒だ。
さっさと風呂入って寝よ。




