近づく足音 1
「ッ、ああ!」
まるで息をすることを思い出して、大きく息を吐き出した。
「ハァ、ハァ。い、今のは何なんだ!?」
俺はあまりにもヒドイ悪夢に、思わず口元を抑えた。
「っ、たく!昨日の話は調べるべきじゃなかった!」
悪態付きながら、ベッドから起き上がる。
顔を洗って、気分を変えようとしたが、トイレを見て、再び気分が滅入る。
時刻は朝5時。
幸いだったのが、今日は休日だったことだ。
「二度寝の気分にならない。」
朝御飯を作りながら、気分を変えよう。
何とか持ち直したが、勿論リフレッシュにはならない。
どんよりとした気分で、だらだらと朝食の食パンをかじる。
ピロン、とチャット通知が鳴る。
スマホを見れば会社の同期だった。
「"由依ちゃん、ヤバいってさ。"」
聞きたくもない内容だったが、何となく聞くべきか悩んで、スマホに打ち込む。
「"まだ目が覚めないんですか?"」
「"昨日、課長と夜に見舞い行ったら、目の前で寝てるのに絶叫上げ出してさ!痛い!とかごめんなさい!とか言ってるんだよ!"」
誰も細かく話せとか言ってねぇよ。
「"終いには心臓止まっちゃってさ!医者から親御さんまでバタバタしてさ!"」
おい待てよ、胸くそ悪すぎるだろ!
「"死んだんですか?"」
「"追い出されたから、後から聞いたけど、持ち直したってよ。あーあ、また思い出して気分わりぃ。"」
話振ったの、アンタだろうが。
「"気分わりぃから、今日遊ばね?"」
あまり関わりたくないが、昨日の悪夢で気分が悪いので、付き合うことにした。
「"わかりました、どこ行きますか?"」
「"オケりてぇ。"」
「"じゃ、二次会で使ってるカラオケボックスで、10時でいいです?"」
オッケー、と返事が返り、支度を始める。
これで気分変わればいいな。
そう思いながら、私服に着替えた。




