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#82 甘くて綺麗ないちごパフェ

 時刻は15時くらい。


 カスミの前世で言うところのおやつの時間に、カスミはフィオにリクエストされた甘いものを作っていた。



「何作るの〜……?」


「秘密です! まだ出したことないものを作るので、完成を楽しみにしててください」


「分かった〜……」



 ウキウキとした様子でカウンター席で待っているフィオを横目に、カスミは今日使うものを用意し始めた。


 その中には、最近密かに作っておいた新たな食材がいくつか含まれていた。



「なんか見たことないのがある〜…… その黄色い小さいのはなに〜……?」


「これはコーンフレークですね」



 その中のまず一つは、カスミが作ったコーンフレークだ。


 これはとうもろこしをペースト状にしたものをオーブンで焼き上げ、さらにそれをレネが作ってくれた食材の脱水をしてくれる魔道具に入れて乾燥させたものだ。


 その魔道具は以前、ドライフルーツを作るために作ってくれたものだが、コーンフレークを作るのにも使えて一石二鳥だった。



「その横の白いのは〜……?」


「こっちはバニラアイスです」



 そんなコーンフレークの横には、こちらもカスミが手作りしたバニラアイスが置かれていた。


 これはカスミのスキルでアイスクリームメーカーという、効率よく質の良いアイスが作れる調理器具を作り出し、昨日のうちに仕込んでおいたのだ。


 バニラアイスは簡単な作り方もあるが、今回のように前日から仕込みをしたりして、時間をかけて作ればそれはもう美味しいものが作れる。



(そういえば、アイスクリームメーカーは結構大きいけど、割と魔力に余裕を持って作れたな。 魔力量が上がってるのかも?)



 カスミはほぼ毎日何かしらの魔法を使って魔力操作の練習をしてるので、その甲斐あってか体内の魔力量がこの世界に来てすぐの時よりかなり増えているようだった。


 そんな日々の練習の成果にちょっとした達成感を抱きつつ、カスミは透明なガラス製のコップを用意して、まずは底にこちらもお手製のいちごジャムを注ぐ。


 さらにそのいちごジャムのすぐ上の側面に、外からも見えるように薄切りにしたいちごを貼り付け、その内側にはコーンフレークを敷き詰める。


 そして、コーンフレークの上にはいつでも使えるように、中に入れたものの時の進みがほぼ止まるカスミの収納ポーチに、常備してあるホイップクリームを注いでいく。



「おお〜…… 層になってる〜……」



 そうすると、フィオの言う通り、ジャム、いちごのスライス、ホイップクリームが、器を外側から見ると層のようになっており、非常に綺麗に見えた。


 あとはもう一度同じ工程を繰り返し、最後にお手製のバニラアイスを、これまたスキルで生み出した、アイスを綺麗に掬うアイスディッシャーという道具を使ってクリームの上に載せれば完成だ。



「できました! 特製いちごパフェです!」


「おお〜……! 絶対美味しい〜……」



 そんな食べる前から美味しいと分かる見た目をしたパフェを人数分作ったら、カスミは自分の分とフィオの分をリビングのテーブルに運び、残りは冷蔵庫にしまっておく。


 今日は珍しく他のメンバーは全員出払っており、いない人の分は作らなくていいとは言われているものの、流石にこのパフェを食べられなかったら皆悲しむと思ったので、作り置きしておいた。


 いつぞやのローニャのように、賭場に行って遊んでいる訳でも無く、皆ちゃんとした依頼や仕事で出払っているというのも作り置きをした理由の一つだったりする。



「食べていい〜……?」


「どうぞどうぞ」



 それはさておき、もう我慢ならなそうなフィオと共に、カスミはパフェを口に運んでいった。



「ん〜……♡! 美味しい〜……♡」



 まず、上に載っているバニラアイスとその下にあるホイップクリームを口に運んだフィオは、心底幸せそうな表情を浮かべながら、口の中に広がる幸せな甘みに酔いしれていく。


 そんなリアクションも当然で、時間をかけて作られたバニラアイスは、濃厚な牛乳と卵黄の旨みとバニラの風味がダイレクトに味覚と嗅覚を刺激してきて、確かな甘さはあるのに全くくどくない素晴らしい仕上がりを披露してくれた。



「下の層も〜…… ん〜……♡ パリパリしてて美味しい〜……♡ ジャムも甘くて良い〜……♡」



 そんなバニラアイスとホイップクリームの下には、パリパリとした食感のコーンフレークに、酸味のあるいちごのスライス、甘さの強いいちごジャムの層もあり、バニラアイス、ホイップクリーム、コーンフレーク、いちごのスライス、いちごジャムと、どれをどう一緒に口に運ぶかによって、様々な美味しさが口の中に広がっていった。



「やっぱりカスミちゃんは凄い〜……」


「喜んでもらえてよかったです」


「あと10個くらい食べたい〜……」


「そ、それは流石に体に良くないんじゃないですかね?」


「一回カスミちゃんの作る甘いものでお腹いっぱいになってみたい〜……」


「うーん…… まぁ、たまにそういう贅沢をするのは良いかもしれないですね」


「やってくれるの〜……?」


「可能だとは思いますよ」



 幸いこちらの世界には時短するための魔道具が沢山あるので、大量に甘いものを作るのはカスミ1人でも可能ではある。



「でも、そういうのをするならフィオさんは運動とかしないとダメですよっ」


「え〜…… 私、太らないし〜……」



 確かにフィオは他のビフレストの面々と比べて動かないのに、毎食かなりの量を食べても全く太っていない。

 


「で、でも、そうやって油断してると、いつの間にか体質が変わってたりして太るんですよ? 健康とかお肌にも甘いものの食べ過ぎは悪影響を及ぼしますし……」


「ん〜…… じゃあ、定期的にカスミちゃんの買い物に付き合ったら甘いもの食べ放題やってくれる〜……?」


「折角なら運動もしましょうっ」


「えぇ〜……」


「運動頑張れば、睡眠もより気持ちよくなりますよ」


「ん〜〜…… 分かった〜…… 甘いもののためなら〜……」


「じゃあ、運動する時はフィオさんも誘いますね。 まずは少しずつ始めましょう」


「は〜い……」



 不健康な生活を送るフィオの生活習慣を改善させる見通しがつき、カスミ的には一安心だった。


 さらに甘いものを食べるためというちょっと不純な動機ではあるものの、しっかり運動をして生活習慣を整えれば、定期的に沢山甘いものを食べても病気になったりはしないとカスミは思うので、甘いもの作りとフィオの健康管理は今後も頑張っていこうと内心思うのであった。



 

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