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#62 お茶会①

「明日には王都ともお別れか」


「長いようであっという間でしたね」



 王都滞在も今日で最後となった本日。


 カスミはビフレストのメンバー全員と一緒に王城にやってきていた。


 とは言っても、今日は謁見などの堅苦しい行事などはなく、皆比較的ラフな格好だ。



「あっ、カスミー!」



 そんなカスミ達が王城内にある美しい草花に囲まれた庭園に赴くと、そこで待っていたミーユイアがカスミに駆け寄り、そのままの勢いでぎゅーっと強く抱きついてきた。



「わっぷ! ゆ、ユイ様っ」


「また会えて嬉しいわっ!」


「わ、私も嬉しいですっ」


「あら、ユイったら、はしたないですわよ?」



 いきなり抱きついてきたミーユイアにカスミがあっぷあっぷしていると、ミーユイアの母である第一王妃のアリレインが苦笑しながら近付いてきた。



「仕方ないのですわ!」


「全く…… カスミ様、ごめんなさいね。 ユイは貴女に会って感謝を伝えたかったようなの」


「そ、そうなんですね」


「カスミ、先日のパーティー、本当に良かったですわ! 料理も美味しかったですし、何よりデザート、そしてあの誕生日ケーキ! 本っ当に美しくて味も最高でしたわ!」



 先日のパーティーでは、カスミの存在を秘匿するために直接お礼を言ったりできなかったミーユイアだったので、もうカスミにお礼を言いたくて言いたくて仕方がなかったらしい。



「喜んでもらえたようでなによりですっ」


「私の人生であれほど幸せな瞬間はもう訪れないかもしれないくらい、本当に感動しましたのっ!」


「ユイ、気持ちは分かりますけど、他の方も集まってきましたよ」



 カスミへの感謝が迸り、なおもカスミのことをぎゅうぎゅう抱きしめてくるミーユイアだったが、アリレインに嗜められて渋々抱擁を解いた。


 そうこうしている間に、庭園には第二王妃のシャラミラ、第一王女のコレントも集まってきていた。



「お集まりいただきありがとうございます」



 そうして参加者全員が揃ったところで、この場を設けたアリレインが挨拶を始めた。



「本日は先日のミーユイアの誕生日パーティーの慰労会、並びに交流を深めるためのお茶会の場を設けさせていただきました。 堅苦しいことは気にせず、皆様思い思いに楽しんでいってください。 それでは、カスミ様、お願いしてもいいですか?」


「はいっ」



 アリレインに話を振られたカスミは、収納ポーチから3種類のケーキを取り出した。


 これらはミーユイアの誕生日ケーキを作るにあたって、興が乗ったカスミが個人的に作ったもので、ビフレストの面々に日を空けて一個ずつ出そうかと思っていたところに、今日のお茶会の話をもらったので、折角なら沢山の人に食べてもらおうと思い、持ってきた次第だ。



「これはどういうものなんでしょう? とりあえず、とっても綺麗ですね♡」


「まず、こちらがレアチーズケーキです」



 コレントがそう言ってうっとりしながら見つめていたのは、真っ白で見るからになめらかそうな見た目をしたレアチーズケーキ。


 こちらはビスケット生地を型の底に敷き、濃厚なクリーム生地を注いで冷やし固めて作ったものだ。



「2つ目はいちごのミルフィーユになります」


「これもまた見たこと無いですわね。 でも、とっても美味しそう」



 そう言うシャラミラの視線の先には、三層のパイ生地にそれぞれ白いクリームと苺が挟まったいちごのミルフィーユがあった。


 一番上のよく見える部分にも、クリームといちごが綺麗に盛られていて、どの角度から見ても美しく見えるような造りをしていた。



「最後はドライフルーツを使ったパウンドケーキになります」


「ドライフルーツ、ですの?」


「文字通り、果物を乾燥させたものですね。 食べてみたらどういったものか分かると思います」



 そして最後は、断面に様々な色のドライフルーツが埋め込まれているパウンドケーキを紹介した。


 どうやらこちらの世界にはドライフルーツというのは一般的ではないようで、ミーユイアが首を傾げていたが、食べてもらえば美味しさも伝わると思うので、説明もそこそこにカスミは人数分行き渡るようにケーキを切り分け始めた。


 その手際も見事なもので、実際にカスミが料理しているのを何気に見たことがなかった王家の面々は、手際よく切られていくケーキ達の断面の美しさと、カスミの技術に小さく歓声を上げたりしていた。



「よし、切れました。 どうぞ皆様」



 そうして切り分けた3種類のケーキが載った皿が人数分用意できたところで、各自それを受け取ってテーブルにつくのであった。




 

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