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#57 誕生日パーティー④

 大きな3段ケーキが登場してから少しの間、会場にいる者達は言葉を発さずそのケーキをうっとりとしながら眺めていたが、徐々に皆、どんな味がするんだろうと気になり始めていた。


 そんな空気を感じ取った料理長のムッダが、カスミに教わった方法でケーキを丁寧にカットし、一切れを載せた皿をミーユイアの前に置いた。


 ちなみに今回作った3段ケーキは、1段目と2段目に支柱が付いた透明な台が埋め込まれていて、それによって柔らかいケーキが崩れることなく重なり合うことができている。


 逆に言えばその支柱と台の部分以外は全て食べられるので、ここにいる参加者全員に行き渡るくらいの量は確実にあるだろう。



「まぁ、断面も綺麗ですわ……♡」



 そんなベリーがふんだんに使われたケーキは、内側がムースとスポンジ生地によって構成されていた。


 まずは土台として黄色いスポンジ生地があり、その上には濃いベリー色と薄いベリー色のムース生地が重なっており、ムース生地の中には細かく刻まれたベリー各種が埋め込まれていたりして、非常に華やかな断面になっている。


 そんなケーキを見つめながら、ミーユイアはフォークでケーキを一口サイズにした。


 そして、カスミの方をチラッと見て微笑みつつ、ゆっくりとケーキを口に運んでいった。



「あぁ……♡! 美味しいぃ……♡」



 その味は、まさに至高。


 まともなお菓子を知らないミーユイアからすると、シュワッと口の中で溶けるムース、しっとりとした程よい甘さのスポンジ生地、表面をコーティングしていた濃いベリーの味が感じられるソース。


 それらが全て一つになって調和しているカスミのケーキは、ミーユイアの心と体を幸福感で埋め尽くしていった。



「こんな、こんなケーキが作れるなんて……♡ もうずっとこの幸福感に浸っていたいですわ……♡」



 うっとりとした表情で、もう一口ケーキを頬張り、あまりの美味しさに体を震わせるミーユイアの姿は、周りの参加者達の期待感をこれでもかと煽っていく。



「皆様もどうぞ、この素晴らしいケーキを共に楽しみましょう♡」



 そんな参加者達の様子に、3口目を楽しんだミーユイアが気づき、参加者達にもケーキが振舞われることとなった。


 それから待ち切れない参加者達は、ケーキの前に列を作り、一人ずつケーキが載った皿を受け取り、それをすぐに口に運んでいった。



「んん〜っ♡! 美味しいですわ〜♡!」


「これが、ケーキか…… 今まで食べてきたものは、偽物だったんだな……!」



 そうしてケーキを口に運んだ者達からは、当然絶賛の声が続々上がり、中には涙を流す者まで現れた。



「んーっ♡! これ美味しいにゃー♡!」


「うまうま〜……♡」



 そして、当然ビフレストの面々もケーキを受け取っており、顔を蕩けさせていた。



「カスミ、本当にお前は凄いな。 ここにいる全員がカスミのケーキを食べて幸せになっているよ」


「そう思うと、とっても嬉しいですね」



 料理を喜んでもらえるのも当然嬉しくはあるが、やっぱりカスミはパティシエで、一番思い入れもあり、力を発揮できるケーキが喜んでもらえるのは、本当に嬉しかった。


 自分で作ったケーキも我ながら本当に美味しくて、カスミは改めてこの世界に来て良かったなと強く実感させられた。



「ああ、もうなくなってしまいそうですわ……」


「私はもう食べ終えてしまったよ」



 そんな美味しいケーキも、どれだけ味わって食べてもいずれは無くなってしまうもので、あれだけ大きくて立派なケーキは、しっかりと全て参加者達の胃の中へ消えていったのであった。



『皆様、ケーキはどうでしたでしょうか? 私はもう、満足を通り越してとても幸せな気分です♡』



 そうして参加者達がケーキを食べ終えたタイミングで、同じくケーキを食べ終えたミーユイアが、今回のパーティーの締めの挨拶を始めた。



『本当に、とてもとても幸せな誕生日パーティーでしたわ。 このパーティーを開催するにあたって、力を貸してくださった全ての方、そして参加して幸福を共有できた皆様に心よりの感謝を捧げます。 本日は誠にありがとうございました♡』



 そんな言葉と共に、美しく一礼をしたミーユイアに、参加者達は割れんばかりの拍手を送った。


 そんなこんなで今回のパーティーはこれでお開きとなり、参加者達は舞踏場を後にしていく。


 カスミもビフレストのメンバー達と共に出口に向かっていったのだが、ふと振り返ると、参加者達の背を見送っていたミーユイアと目が合った。


 すると、ミーユイアは心の底からの笑顔を浮かべながら、カスミの方へ軽く手を振ってきた。


 なので、カスミも小さくてを振り返し、今日の主役であったミーユイアに喜んでもらえた達成感に浸りながら帰路につくのであった。

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