表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/77

#28 まさかの移動手段

評価まだ送ってない人は送ってくださると嬉しいです^ ^

「よし、行こうか」


「はいっ」



 早朝、カスミはお出かけの準備を整えて、クリスタ、そしてアネッタと家を出た。


 今日はこれから、以前ライスを売ってくれたマキが住むメッコ村に行く事になっている。


 ちなみに、クリスタとアネッタが一緒に行く事になった理由としては、アネッタはとある事情で同行が確定し、残りの一人はじゃんけんを行い、そこで勝ったクリスタが同行する事になった。


 全員で行けば良いのではと思うかもしれないが、流石に留守番が一人は欲しいし、普通の農村に大所帯で行ったら目立ってしまうからという理由で、今回はカスミ、クリスタ、アネッタの3人で向かう事となったのだ。



「そういえば、どうやって行くんですか? 確か、マキさんは少し離れた位置にあるって言ってましたけど」


「ギルドで調べた感じ、馬車で大体一日かかるくらいの距離みたいだな」



 カスミの質問に、クリスタはそう答える。

 


「えっ、それなら、もっと作り置きしなきゃダメでしたね……」



 外出するにあたって、カスミは今日の昼食の分は作り置きしてきたのだが、思っていた以上に帰ってくるまでに時間がかかるかもしれないと聞いて、ちょっと心配になってしまう。



「ああ、気にしなくとも、私達は馬車では行かないぞ?」


「えっ、何で行くんですか?」


「まぁ、それはお楽しみにだな」



 そんな風に言うクリスタにはてなマークを浮かべつつ、とりあえずクリスタとアネッタにカスミは付いていった。


 結果、3人はそのまま街を出て、街道から外れた人気のない草原のど真ん中までやってきた。



「ここなら良いだろう。 アネッタ、頼むぞ」


「ああ」



 そこでアネッタは、腰のポーチから笛のようなものを取り出して、それを強く吹いた。



 ――ピュゥゥゥ……!



 すると、特徴的な高音が辺りに響き渡り、それから1分ほど経った頃。


 急にカスミのいる場所に影が落ち、何事かと思ってカスミが目線を上に向けると、そこには大きな翼をはためかせながら降りてくる、赤色の体色をした巨大な生物の姿があった。



「え、えぇっ!?」


「ふふ、大丈夫だぞカスミ」



 巨大生物の出現に、思わず慌てふためくカスミだったが、クリスタとアネッタは全く慌てたりしていなかった。


 その後、バサ…… バサ…… と翼をはためかせながらゆっくりと降りてきた巨大生物は、カスミ達のすぐ目の前にズゥゥゥン…… とその巨体にしては静かな着地音を響かせながら降り立った。



「よぉ、割と久々だな。 元気してたか?」


「グルゥ」



 その巨大生物に向かってアネッタが近寄って話しかけると、巨大生物は頭を下げてアネッタに鳴き声を返した。



「く、クリスタさん、あれは……?」


「あれはアネッタの…… 実際なんて言うんだろうな……? まぁ、友達のドラゴンだ」


「ど、ドラゴン……」



 地球のゲームや空想の物語によく出てくるので、ドラゴンという言葉自体は知っていたカスミだったが、実際にそれが目の前に現れるともの凄い迫力だった。



「カスミ、こいつはガリュウ。 今日はこいつに乗って行くぞ」


「の、乗るんですか!?」


「ほら、ガリュウも挨拶しろ」


「グルル」


「あ、ど、どうも、ガリュウさん…… か、カスミって言います……」



 アネッタに挨拶しろと言われたガリュウは、カスミの方に首を伸ばして頭を下げてきた。


 カスミがそれに対して、めちゃくちゃビビりながらも挨拶を返すと、ガリュウは心なしか嬉しそうな鳴き声を返してくれた。



「お、カスミ、気に入られたみたいだぞ」


「あ、ありがとうございます……?」


「んじゃ、早速乗るぞ」


「きゃあっ……!」



 驚いたりビビったりしているカスミを、知ったこっちゃないと言わんばかりにアネッタは抱え上げると、そのままピョーンとジャンプして、10mくらいの高さがあるガリュウの背中に着地した。


 その身体能力にも驚いたカスミだったが、まさかのドラゴンの背中に乗るという体験に、もうおっかなびっくりといった感じになってしまう。



「そんなビビらなくても、クリスタが風の影響受けないように魔法かけてくれるから大丈夫だ。 足滑らせて落ちても、私が助けてやる」


「え、縁起でもないこと言わないでください……」



 カスミはそう言いつつ、ガリュウの背中に降ろしてもらったのだが、そこはツルツルとした鱗に覆われているが、滑ったりはしなさそうな感触だったので、ちょっと安心した。


 それからクリスタもジャンプしてガリュウの背中に飛び乗ってきて、アネッタが言っていた通り、風魔法で風圧や気圧の影響を受けないように、見えない風の膜のようなものを作ってくれた。



「よし、ガリュウ飛べ。 クリスタ、方向指示は頼むぞ」


「分かった。 まぁ、ガリュウは賢いから距離と方角を指示すれば大体目的地に辿り着いてくれるがな」



 そう言葉を交わすアネッタとクリスタを横目に、ガリュウがその大きな翼をはためかせると、ブワッと一気に空へと飛び立ち、みるみる内に地上が遠ざかっていった。



「わ、わぁぁ……!」



 その光景はあまりに非現実的だが、クリスタの魔法のおかげで風圧や気圧の影響は全くなく、カスミは何だか映像作品を見ているような感覚になった。



「距離的に1時間くらいか」


「そ、そんなすぐ着くんですね?」


「俺らを乗せてなきゃ、多分5分くらいでいけるぞ。 流石にそこまでスピード出すと、風圧とか気圧が魔法じゃ防げないレベルになってくるからな」


「ガリュウさん、凄いですね……!」


「グルゥ♪」



 カスミがそう感嘆の声を上げると、聞こえていたのかガリュウのご機嫌そうな鳴き声が返ってきた。



(見た目はちょっと怖かったけど、なんだか可愛く見えてきたかも……)



 そんな風に思いつつ、カスミが下に目を向けてみると、そこにはとても広い草原と、それよりもさらに広い、大きな森の姿が見えた。



「あの森が魔の森だ。 思えば、カスミと出会ったのは魔の森だったな」


「あんなに大きい森なんですね?」


「世界で一番大きな森だな。 その中心部に行くにつれて、かなり強い魔物が現れるから、私達もちょくちょく行くんだ」


「強い魔物と戦いに、ですか?」


「ああ。 強い魔物が増えすぎると、生態系が一気に壊れるからな。 時折間引かないといけないんだ」


「冒険者って、そんな事までするんですね……」



 クリスタの話を聞いて、改めてビフレストの面々は凄いんだなと、眼下の景色を眺めながらカスミは思った。



「そういえば、アネッタさんとガリュウさんはどういう間柄なんでしょう?」


「昔こいつをボコったら懐かれたんだ」


「え、アネッタさん、ドラゴンさんよりも強いんですね……」


「ドラゴンも強さは個体によるな。 その時のガリュウはまぁ、ドラゴンの中だと真ん中くらいの強さだったから、ボコれた」


「グル……」



 その時のことを思い出したのか、ガリュウの背中がちょっと震えた。



「今のガリュウは割と上の方になったから、本気でやり合ったら良い勝負かもな」


「グルゥ……」


「ガリュウさん、戦いたくなさそうですけど……」



 アネッタの言葉を聞いたガリュウは、嫌そうに首を左右に振っていた。

 


「何だよ、お前も随分丸くなったな」


「グル……」



 どこか遠い目をしているガリュウは「あの時は若かったんです……」と言っているようにカスミは見えた。


 そんなやけに人間らしいガリュウの背で、メッコ村に着くまで暫しの空の旅を楽しむカスミなのであった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

まだ送ってない方は★★★★★評価やブックマーク、いいね等を送ってくださると嬉しいです!

作者の執筆のモチベが上がりますので!

感想もいつでもお気軽に送ってください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ