おまけ 雑な世界設定と主要キャラ紹介④
■アストライア
本作の舞台となる世界の名称。
現在はアストライア歴1206年が終わり、1207年を迎えたばかりである。
この世界には複数の国家が存在するが、主要なものは以下の四つ。
・ローズレッド王国
・バルガ帝国
・ククルス自由経済国家
・カイバル海上国
この他にも、小国や亜人の国、魔族の国などが点在している。
中でもバルガ帝国とローズレッド王国は隣接しており、過去には領土を巡って争いを繰り返してきた歴史がある。
現在は一応の均衡状態にあり、大規模な戦争は起きていない。
時間の概念としては、1年を360日とする共通認識は存在するが、月という区切りはなく、日付の概念も一般には浸透していない。
王族や貴族、商人などは日単位で正確な記録を残しているが、平民の多くは日が昇れば1日の始まり、日が沈めば1日の終わりという大まかな感覚で生活している。
そのため、誕生日などを正確に把握することは難しい。
ただし、王族や貴族は厳密に管理しており、一部の平民も同様に把握している場合がある。
■ローズレッド王国
第一章から第四章までの主な舞台となる国家。
主要国家の中では比較的新しく、女神教の教義が変質した後に成立した国である。
そのため宗教との結びつきが非常に強い。
表向きの支配者は第12代国王だが、実際の権力は教皇が握っている。
国内は深刻な腐敗状態にあり、
・度重なる重税
・治安の軽視
・強制的なお布施
・無能な貴族の優遇
といった問題が制度として定着している。
現在は次期王を巡る政争の最中であり、
・教皇べゼブと第一王子アルゼン派閥
・枢機卿ルドバと第二王子ベジール派閥
が水面下で争っている。
ただしこの争いの本質は王位ではなく、次期女神教教皇の座を巡る争いである。
そのため、どちらが王となっても民の生活が良くなることはないと見られている。
しかしそこへ第三王女が参入したことで、状況はさらに混迷を極めることになる。
■女神教
ローズレッド王国の実権を握る最大宗教。
元々は真に女神を信仰する宗教であったが、約200年前に女神が神託を与えることをやめたことで状況が一変した。
その空白を利用して作られた「新女神教」によって、教義は歪められ、現在に至っている。
現在の女神教は、
・権力維持のための装置
・民衆支配の手段
として機能している側面が強い。
しかし――
アストライア歴1206年、最後の日。
ローズレッド王国王都パルキノンの大教会で起きた不可思議な現象により、その支配体制にわずかな揺らぎが生じ始める事になる。
それは同時に、新たな争いの火種を生む事でもあった。
■女神
アストライアを管理する存在。
女神教において信仰の対象とされている。
しかし約200年前、最後の神託を境に一切の干渉をやめた。
その結果、女神教は抑制を失い、現在の腐敗と増長を招くこととなる。
それでも教義が変わる前の古い信仰――いわゆる旧女神教の信徒は今なお存在しており、
女神の権威が完全に失われたわけではない。
本来、女神は自身が加護を与えた存在――「御使」を通して世界を観測しているとされている。
だが新女神教は、
「神託がない=女神は現状に満足している」
と解釈し、教義を都合よく歪めてきた。
その結果、
・御使の神格化
・多神教化
・女神そのものの信仰の希薄化
が進み、現在では女神を直接信仰する者は少数派となっている。
しかし――
アストライア歴1206年、最後の日。
王都で起きた不可思議な現象により、その前提は崩れ始める。
それを契機として、旧女神教は再び勢いを取り戻すこととなる。
だが当の女神は、依然として世界を見ていない。
ただ一人――
ある少年のためだけに、自らの存在が未だ健在であることを示したに過ぎない。
■フィギル子爵領地
ローズレッド王国辺境に位置する貴族領。
第一章から三章までの主な舞台。
広大な領地を持ちながら人口は少なく、長らく発展から取り残された土地であった。
主な拠点は以下の通り。
・バルナバ(子爵の直轄地)
・カルララ村
・オルババ村
しかし近年、情勢の変化により状況は一変する。
・人口の増加
・資金の流入
・新たな村「メキララ」の誕生と鉱山の発見
などにより、急速に発展を遂げている。
一方で、不意に割り当てられた新たな街スパールの出現により、拠点バルナバとの距離が問題となり、新たな統治課題も生まれている。
地理的にはバルガ帝国の要塞と隣接しているが、
その間に存在する「禁断の森」の影響により戦争の被害はほとんど受けてこなかった。
過去の侵略戦争においても、領地自体は無傷である。
またこの地域は
・低級魔物が中心
・賊にとって旨味が少ない
という特性から、元々治安が良く、「駆け出し冒険者に優しい土地」として知られていた。
近年では中級魔物の出現により、実践的な経験が積める環境となり、冒険者の流入はさらに増加している。
さらに
・街道整備
・治安維持への投資
が進んだことで、一般人にとっても安全な土地となり、人口は現在も増加傾向にある。
加えて、フィギル子爵はフォスター公爵家の後ろ盾を得ており、新女神教も容易に干渉できない領地となっている。
その影響力は徐々に王国全体へと広がりつつあり、
政治的にも無視できない存在へと変わり始めている。
■バザーム砦
王立学園の実地試験の舞台となった前線基地。
表向きは、異民族「ティガル族」から王国の領土を守るための防衛拠点とされていた。
しかし実態は、
・ティガル族の拉致および奴隷売買
・古代遺産の発掘と独占
・旧国の扉の強制開放実験
といった非道な行為が行われていた施設である。
管理者は第一王子アルゼンおよび教皇ベゼブ。
だが政治的駆け引きの末、現在は第三王女ジーナの管理下に置かれている。
砦自体は戦闘により半壊しており、再利用には時間がかかると見られていたが、フォスター公爵家の支援により再開発が進行中。
現在は
・ティガル族
・傭兵団「灰狼」
・ジーナ派へと転じた兵士
によって再編され、ジーナの理想を実現するための最初の拠点として機能し始めている。
またティガル族との共存を目指し、
・共通言語の教育
・ティガル語の習得
など、双方に文化的な歩み寄りも進められている。
■ティガル族
ローズレッド王国の山脈地帯に古くから住む異民族。
これまで王国では
・野蛮
・好戦的
・脅威となる存在
として扱われてきた。
しかし実際には、長年にわたり迫害を受け続けてきた側であり、現在では滅亡寸前まで追い詰められていた。
その正体は――
かつて女神を信仰していた「旧国」の民の末裔。
しかし旧国の歴史は失われており、現在では単なる移民族の成れの果てとして認識されている。
生き残っているティガル族は全員が旧女神教の信徒であり、強い信仰を受け継いでいる。
現在はジーナ第三王女と協力関係を築き、
・種の存続
・外界との関係構築
・新たな生き方の模索
を目的として行動している。
なお、かつて攫われた同胞の多くは奴隷化され、
一部は既に処理されている。
山脈に住んでいた生き残りの全てがアイオンに対しての誓約を行っており、アイオンの不利益になる行動はできない。
しかしアイオン本人の願いは自身を御使=女神と通じる存在と表に出さない事だけなので、自主性は損なわれていない。
■旧国の扉
旧国の財宝に繋がるとされる謎の扉。
ティガル族にとっては「罪の眠る場所」であり、
王国側にとっては「古代遺産の宝庫」とされていた。
扉を開く条件は明確ではなく、
・扉に認められる存在であること
のみが確認されている。
御使であるアイオンは正当な資格により開扉に成功した。
一方、バザーム砦の副官は
・ティガル族族長に連なる血
が偶然作用し、強引に扉を開いた。
■旧国
かつて存在していたとされる国家。
しかし
・いつ存在していたのか?
・どのように滅びたのか?
その詳細は一切伝わっていない。
現在のローズレッド王国は、この旧国の跡地に建てられているが、一般には「荒野に新たに建国された国」と認識されている。
確かな事実はただ一つ。
旧国は女神と共にあった国という事のみである。
■命のない世界
旧国の扉の先に存在する異世界。
そこには
・大地
・空
・風
・空気
といった環境は存在するが、生命だけが存在しない。
しかし、
・女神への謝罪と思われる言葉
・巨大な魔物の骨
が残されており、かつては生命が存在していた可能性がある。
この世界は女神の加護なしでは存在できない空間であり、アイオンは無事帰還したが、副官は長い年月を彷徨い、老い、しかし死ねずに狂っていた。
現在は完全に生命が消え失せた静寂の世界となっている。
その正体は、禁断の森と同質の「禁足地」
かつて起きた何らかの出来事により、役割を果たせなくなった場所。
アストライアに確かに存在しているが現在は侵入手段も失われており、永遠の静寂に包まれている――はずである。
■雑なキャラ紹介
■アイオン(15)
本作の主人公。
実戦経験を重ね、着実に成長を続けている。
これまで苦手としていた火魔法も、自らの腹を焼くという荒療治によって制御を習得した。
また、自身に合う武器という長年の課題も、思いがけず手に入れることとなる。
しかしその武器はアイオン以外には扱えない性質を持ち、妖刀(あるいは魔剣)ではないかという疑念が付きまとう事になる。
精神面では、前世の経験により「他者を許す」という行為ができないことを自覚している。
一度敵と見なした相手には強い拒絶を示し、その感情を覆すことはない。
ラガが持つ「憎しみを手放す強さ」に対しては、羨望の念を抱いているが、フォスター公爵の失言はどうしても受け入れられず、結果として決別する形となった。
現在は単独で旅を続けており、目的地はヘルケイル山を擁するククルス自由経済国家。
ローズレッド王国の街や村には、極力立ち寄らずに出国することを考えている。
■女神
アストライアを管理する存在。
久しぶりに本編へ登場し、さらに世界そのものに干渉を行った。
基本的には世界に関わる意思はなく、人の営みに介入することもない。
今回その存在を示した理由は、教皇ベゼブの行動があまりにも強引であり、かつて自身が世界から距離を置いた理由すら踏みにじるものだったためである。
女神自身にとっては些細な干渉に過ぎないが、その行為は結果として世界全体を揺るがす引き金となった。
しかし当の本人はその影響を重要視しておらず、
あくまでアイオンの問いに応えるという、個人的な理由による行動に過ぎない。
その中で示された答えは一つ。
現在の女神教の在り方を、女神自身も認めていないという事実である。
■教皇ベゼブ(96)
女神教の頂点に立つ教皇であり、ローズレッド王国の真の支配者。
薄くエルフの血を引いており、九十六歳という年齢に反して若々しい外見と長い寿命を持つ。
自身が支配者として生き続けるためであれば、他者を踏みにじることに一切の躊躇を持たない。
他者の苦しみの上に自らの繁栄が成り立つことを、
当然のものとして受け入れている人物である。
これまでに王族 、大多数の貴族 、各種ギルドのトップを掌握し、揺るぎない支配体制を築いてきた。
しかし、フォスター公爵家がジーナ第三王女を擁立したことを察知した事で状況は一変する。
自身の地位を永遠に守るため、女神教そのものを「ベゼブ教」へと改めるという暴挙に出た。
結果として――
女神像の前で起きた不可思議な炎の現象により、
その権威は大きく揺らぐこととなる。
これまで他国への奴隷売買、異民族の搾取、有力者への資金供与によって築いてきた地位は、今やすべて逆風へと変わりつつある。
箝口令によって事態の収拾を図るも、枢機卿派閥の工作により噂は拡散。
さらに隠蔽していた奴隷問題まで拡散、その支配体制は急速に崩壊へと向かっている。
かつて絶対であった教皇の座は、今や不安定なものへと変わりつつある。
■枢機卿ルドバ・ザルゼイン(59)
女神教第二席に座する野心家の男。
第二王子を擁立し、教皇ベゼブからその座を奪うため暗躍してきた。
しかし、有力貴族の多くはベゼブに取り込まれており、味方となるのは力の弱い者ばかり。
そのため戦略を転換し、他の王族に目をつけ、第一王女を第二王子側へ引き込むことで勢力拡大を図った。
だが――
年の瀬に起きた「女神の戒めの炎」を目の当たりにし、女神の実在を強く認識することになる。
それまでの自身の行いがすべて不義であったことを自覚しており、
「次に裁かれるのは自分ではないか?」
という恐怖により、一歩退くこととなる。
しかしその一方で、枢機卿派閥がこの事件を派閥拡大に利用しようと情報を拡散したため、結果的に事態はさらに拡大。
これまで行ってきた過剰なお布施の強要と権力を利用した搾取といった行為から、民からの不信を集めることとなった。
権力に固執し続けてきた結果、その行動すべてが裏目に出始めている。
■アルゼン・ローズレッド(34)
ローズレッド王国第一王子。
次期国王に最も近い存在。
傲慢不遜で、自らの立場にあぐらをかき、他者を顧みることのない凡庸な人物。
しかし「第一王子」という生まれ持った権力は絶対的であり、その立場を利用して数々の愚策を行い、国力の低下を招いてきた。
王都パルキノンに存在する過剰な兵士の多くはアルゼンの管理兵であり、現在は貧民街の排除と兵舎の拡張を進めようとしている。
一方で教皇ベゼブには頭が上がらず、重要な判断はすべて彼女に委ねるという依存体質を持つ。
そのため、自らの意思で統治する王ではなく、「支配される王」としての資質においては極めて優れている。
バザーム砦を第三王女ジーナに譲渡したことも深く考えることなく受け入れており、その慢心と油断はやがて致命的な結果を招くこととなる。
――傲慢でありながら、何も選ばない男。
■ベジール・ローズレッド(25)
ローズレッド王国第二王子。
本来は上に複数の王子が存在していたが、現在は減少したことで繰り上がった立場にある。
理知的で現実主義的な思考を持ち、感情に流されやすいアルゼンを内心では見下している。
女神教による支配や王国の在り方に疑問を抱いているが、同時に「女神教なしでは王国は存続できない」という現実も理解している。
そのため、ベゼブではなくルドバを支持し、より現実的な支配体制への移行を目論んでいた。
しかし――
「戒めの炎」を目の当たりにしたことで、
女神が未だこの世界を見ていることを実感する。
さらに、恐怖に怯えるルドバの姿を見たことで考えを改め
・女神教の支配からの脱却
・貴族の統制
・王族主体の国家運営
という道を模索し始める。
現在は、新女神教の不正や悪行を意図的に噂として流し、体制の崩壊を内側から促している。
だがその根底にあるのは、「王族として生きる」という欲求に他ならない。
――理を選んだようで、結局は権力を求める男。
■ジーナ・ローズレッド(15)
ローズレッド王国第三王女。
王立学園の実地試験を経て、「自分が最も望むもの」のために生きることを決意し、王になる道を選んだ。
当初は
・王位継承順位第六位
・後ろ盾なし
・政治的影響力も皆無
という、誰からも注目されない存在であった。
しかし――
教会の事件や王国最大の貴族であるフォスター公爵家の支援を得たことで、一気に次期王争いの中心へと躍り出る。
本来であれば王族という立場を捨て、一人の人間として生きる選択もあった。
だがそれは選べなかった。
ジーナは、ローズレッド王国すべてを巻き込み、自らの望みのために生きる道を選んだ。
現在は王立学園において
・家を継げない貴族
・現体制に不満を持つ者
と関係を築きながら、バザーム砦の再建を進めている。
卒業後は砦へと移り、本格的な都市建設に乗り出す予定である。
その選択が歪んでいることも、多くを巻き込むことも理解している。
それでも進むことをやめない。
――自分の望みのために、生きると決めた王女。
■レオ・フォスター公爵(50代想定)
ローズレッド王国屈指の大貴族。
かねてより王国の腐敗と、新女神教による支配を憂いており、強い怒りを抱き続けてきた人物。
しかしそれはあくまで「思うだけ」に留まり、現実を変えるために動くことはなかった。
だが、ある“まばゆい光”と出会ったことで、その在り方は変わる。
静観という諦めを捨て、舞台に立つことを決意。
第三王女ジーナを旗頭として掲げ、王位継承争いへと参入する。
しかし不意に過去の忌まわしい出来事の真実に触れたことで揺らぎが生じる。
戸惑いの中で、女神を疑い、そしてその御使であると確信していたアイオンに問いを向けてしまった。
その結果、両者の関係には決定的な亀裂が生まれる。
それでもなお――
大きな恩を受けた相手として、アイオンへの義理を捨てることはなかった。
いつか再び、許しを得ることを願いながら。
現在は、反女神教の貴族や各地の兵団をまとめ上げ、ジーナ派の中核戦力として勢力拡大を担っている。
■ラガ(13)
ティガル族の若き族長。
過酷な境遇に置かれながらも、他者を許すことのできる強さを持つ人物。
一族の存続のため、過去から受け継がれてきた願いを捨てる決断を下した。
無自覚にティガル族を見下していたジーナに対し、
それを自覚させた上で、「対等な関係としての取引」を持ちかけるなど、年齢に似合わぬ冷静さと覚悟を備えている。
前族長シャルから一族の歴史すべてを聞き継ぐ立場にあったが、シャルの病の悪化と自身の幽閉が重なり、核心部分を知ることは叶わなかった。
その事を悔やみながらも、「今できることをする」
という意志のもと、現在は共通言語の習得に励んでいる。
その容姿はアイオンに似ていると評されることがあり、ジーナや灰狼のギルバートもそれを指摘している。
ローズレッド王国にいる姉の身を案じている。
■アルテア(15)
銀灰色の髪を持つ、女神教見習いシスター。
ティガル族の少女であり、ラガの姉。
幼少期に誘拐され、ティガル族の女性に救われた過去を持つ。
その女性に強い憧れを抱いていたが、後に卑劣な罠によって命を落としたことを知る。
その復讐のため、自ら女神教へと身を置いた。
本来は旧女神教の信徒であり、現在の歪んだ教義に強い嫌悪を抱いている。
それでも復讐の機会を得るために、あえてその中に身を置き続けている。
族長に連なる「魂を見る力」を受け継いでおり、その能力は弟ラガを上回る。
アイオンとは運命的な出会いを果たし、互いの存在を強く心に刻み込んだ。
目的が果たせるのであれば、自身がどうなろうとも構わないと考えている。
それでも、故郷へ帰りたいという想いは捨てきることはできずにいる。
幼少期に失った首飾りは、母にねだって手に入れた大切な宝物であり、教会に知られれば奪われる可能性があるため、現在はアイオンへと預けている。
次の再会がどのような形になるのかは、まだ誰にも分からない。
■セドリック
「無敵のセドリック」として語り継がれる、確認されている限り最後の御使。
圧倒的な力をもって数々の偉業を成し遂げ、その存在は御使として認定された。
しかし、その詳細は多くが失われており、具体的に何を成したのかを正確に知る者はほとんどいない。
ティガル族においては名のみが伝わっており、その功績や実像は語られていない。
前族長シャルに至っては、その名を口にすることすら避けていたとされる。
数少ない記録として残る冒険譚には、レッドドラゴンとの三日三晩に及ぶ戦いが記されている。
その戦いは、世界そのものを破壊しかねない規模であったと伝えられる。
決して折れない剣を携え、数多の魔物を討ち続け、最後には「災厄の化身」とも称される最上位のドラゴンを討伐した。
そして――
その後の行方は、誰も知らない。
ただ一つ確かなのは、彼がこの世界に存在した、最後の御使であるということだけである。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
第四章、ようやくの完結となりました。
気づけばかなりの分量となってしまい、自分でも驚いています。
今回は大きな戦闘は少なく、人物や世界の動き、そしてこれからに繋がる要素を中心に描いた章となりました。
物語としては、ここから大きく動き出すための土台でもあります。
少しでも楽しんでいただけていれば幸いです。
次章は戦闘を中心とした、比較的テンポの良い章になる予定ですが未定です。
一時完結とし、話を練ります。
それでは、また次の章でお会いできれば嬉しいです
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