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職人の街
中庭の一番、
日が当たるところにシェリーを帆咲が抱きかかえて埋めてやったのだった。
「これでシェリーも喜ぶ。ありがとう、帆咲」
「いいえ、このくらいなんでもないよ」
「感謝しても感謝しきれない」
「やっぱり、シェリーさんとこ来てよかったね」
「ああ」
「……」
「どうしたの」
「私の本名」
「え⁉」
「風雨京樹だ」
「きょうき?」
「下の名前。昔、シェリーがつけてくれた」
「何か人間みたいな名前だね」
「シェリーが自分の想い人の名前をつけてくれたのだ」
「私にその想い人と重ねていたが……それでも」
一呼吸おいて百万回生きた街猫は静かに言った。
「うれしかった」
と風雨は後ろを向いた。
泣いているようだった。
帆咲は風雨とは反対の方向を向いて、しばらく風雨が泣き止むのをただ待っていた。
もう夜だった。
「風雨、満点の星空が綺麗だね」
「ああ」
夜空にたくさんの星がきらめいていた。
「明日は職人さんの元に行こうと思っているんだけど、つきあってくれるよね?」
「構わんぞ」
「オルゴール」
「オルゴール?」
「パフェルベルのカノンだよ」




