魔王の子、魔王になる。
この後エピローグ17時分で完結です!!
「ルイ!!無事だったのですね・・・。」
ルイと再会したエリーは涙を流した。
「姫君・・・いや、エリー。無事で良かった・・・。」
ルイとエリーは、幼い頃から兄妹の様に育ってきたと言う。エリーは幼いアルファスも連れていた。アルファスは母の背に隠れている。
「その子は・・・もしかしてエリーの・・・。」
「ええ。私の子です。・・・ルイ、私は今、ギルと一緒にいられて幸せなのです。」
エリーは涙を拭い、ルイに言う。エリーは笑顔だった。
「・・・・・。そうか、やはり・・・連れ去られたという訳ではなかったんだな。エリーの事は、幼い頃から一緒に育ってきたから、わかるよ。幸せなんだな。良かった・・・。」
ルイは、これまでの経緯をエリーから全て聞くと、ギルファスとエリーを祝福してくれた。だが、戦争の爪痕は大きい。ルイは、魔族と決着をつける為に人間界の使者としてこの城に来たのだ。
各地で戦争の後処理を指揮していたギルファスの兄達も到着した。会議室に場所を移し、この10年の被害を、どう立て直していくか、今後どの様に魔族と人間が共生していくか、多くの課題についての会議を行った。
会議は1日では終わらず、数日間続いた。そうして取り決めをいくつか交わした後、ルイはもうひとつ、戦争を終わらせる為の条件を提示した。
「そして、これは一番の問題ですが・・・今回の戦の責任を、誰が取るか、という事です。此方は、戦争を始めた皇国の皇太子とその側近達、その者達は、死刑に処すつもりです。まあ、自分が何者かすら覚えていない様ですが・・・魔族側も、無関係というわけにはいかないかと。」
「確かにそうだ。ユージの事もあるし、全ての責は・・・オレにある。」
「ギルファス!お前には、王位を継いでもらわなければならない。責ならば、私達兄弟が取る!」
「兄上に賛成です。総ての魔族を纏める事が出来るのは、ギルファス、お前しか居ない。」
「私もそう思います。ギルファスが死を選ぶなら、アルファスはどうなる?今後魔力を正しく使える様に導かねばならないというのに。」
「ですが!!兄上達はオレの為に・・・戦ってきて下さったではないですか!!オレがユージを助け、エリーを妻にしたから戦が起きてしまった・・・。兄上達には何の責も有りません!!」
ギルファスも3人の兄達も決して譲らない。そこに突然、魔王と聖女が現れた。
「話は全て聞かせてもらった。」
力を使い眠りについていた父は、最早1人では立つ事すら出来ない。妻に支えられながら、ゆっくりと椅子に腰掛ける。
「父上!まだ起き上がっては・・・。」
魔王はギルファスを制し、口を開いた。ルイは、初めて見る魔王の姿に戸惑っている。
「・・・お前達、今回の戦は総て儂の業だと言っただろう。人間の使者よ。儂はかつて人間界から生贄の娘達を妻に娶り、子をもうけ、そして殺した。・・・愛というものを、知らなかったのだ。だが儂は、ここにいる妻に愛を教わった。魔王種は、もはや只の魔物ではない。どうか、今回の件、儂の命一つで、人間達に納得してもらえないだろうか?」
魔王は静かに言った。ルイは思う。これが、魔王か?思い描いていた魔物とは、全く違う。魔王は青ざめている4兄弟にも言う。
「儂の命は、もう長くはない。どちらにせよ死はじき訪れる。最期の力で、お前達にそれぞれ贈り物を与えよう。人間よ、今ここで、儂が消滅する瞬間を、その目に焼き付け、人間達に魔王は滅びたと伝えてくれ。頼む。」
魔王が頭を下げた。誰も、次の言葉を発しない。妻の聖女だけが、魔王の隣で微笑んでいた。
ルイは恐る恐るゆっくりと頷く。魔王は微笑み返すと、己から出る、黒い炎に突然包まれた。
「父上!!」
父上はこのまま消滅するつもりだ。弱っている限界の身体で、今力を使えば、もうギルファスにも助ける事は出来ない。立ち上がり掛け寄ろうとするギルファスを、兄達が制する。今こそ、次の魔王が誕生する瞬間だ。
黒い炎は大きくなっていく。魔王は微笑み、そして炎に包まれると・・・消えた。
「あ・・・父上・・・。」
魔王が消えた後、床には4つの指環が転がっている。茶色、黒色、緑色に、金色。
「これは、守りの指環です、父上から貴方達への、最期の贈り物です。大陸は4つに割れました。ギルファスだけでは、総ての魔物を治める事は難しいでしょう。ギイ、ナール、ヴァダー、そしてギルファス。4兄弟で協力して、生きていきなさい。私からも、貴方達に最期の贈り物が有ります。それは、この指環と対になるもの。」
4つの指環を聖女が拾い、ギルファス達4兄弟にそれぞれ渡す。
「指環は貴方達が、そして私からの贈り物は妻となった娘に着けさせなさい。身に付けた者を守り、縁を繋ぐ物になる筈。貴方達兄弟のそれぞれの特性に相性の良い素材です。きっと・・・その素材に縁のある娘を選ぶ事が出来るでしょう。私達は、ずっと、貴方達を見守り続けます。愛しているわ・・・」
「母上!?」
聖女も光に包まれ、消えていく。聖女は、初めから魔王と一緒に消滅するつもりだったのだ。突然の事に驚き、呆然とするギルファスだけでなく、兄達3人もギルファスを制しながら、皆涙を堪えていた。
「そんな・・・母上・・・。」
聖女が消えた後には、腕環が4つ。指環と同じ素材で創られている。
ギルファスは、震える手で腕環を拾い上げ握りしめると・・・静かに、決意を口にした。
「オレは、魔王になる。そして、人間達とは今後関わらないとここに誓おう。魔王の妻となる生贄の娘は、もう必要ない。今回が最後だ。4大陸は、我が一族が其々治め、今後二度と人間達と戦はしない。そして、我が一族の妻となる娘は・・・異世界から召喚された縁のある者とする。」
「セル様にもらった指環の素材、これ、ゴールド、あ、金ですよね?」
「ああ、私の特性に相性の良い素材だそうだ。」
「こないだ、麗蘭さんとエイミーさんと、あとサハイ君にも、腕環の素材を教えてもらったんですよ。」
「ほう・・・何と申していた?」
「北国は翡翠。西国はスモーキークオーツ。南国はヘマタイトっていう素材です!あ、ちな東国のマリー(王妃)は国石がサファイアです。」
「きっと、それぞれ相性が良いのだろうな。」
「はい、石言葉もぴったりでした。その素材を、それぞれの特性が持つことで、より万能になったり発展させるらしいんですけど・・・サハイ君のだけは・・・。」
「うん?」
「悪い考えを改めて、暴走しないよう落ち着かせるって意味らしいです!!」
「ああ・・・なるほど・・・。」
「ちなみに、金の石言葉は、確実な助言と力、至福の時、成功、らしいです。意味は、栄華、豊かさを求める、あとは・・・暗闇からの脱出。ね?引きこもりのセル様にぴったりの素材でした!!」
「ああ・・・(当たりすぎててこわいな・・・。)」




