魔王の子、DKと決別する。
竜族の長老達が出迎えてくれる。皆、ここでは人の姿で暮らしているようだ。少女に手を引かれ、ギルファス達は村に滞在することになった。
「今、人間達は我々魔族を滅ぼそうと動いております。既に、妖精族、亜人族などは、人間の配下に降りました。先日、我々の元にも、妖精族の使者が参りました・・・無論直ぐに追い返しましたが。」
「そんな・・・。オレが逃げたせいで?」
エリーは既に小屋で休ませている。オームとフラー、ギルファスは長老達と今後について話し合いをしていた。
「いえ・・・今回の事は、些細なきっかけに過ぎません。何故なら、二年ほど前、皇国は勇者の召還を行ったのです。貴方様の父上であらせられる魔王を討伐する為に。ただし、不完全な人間の魔術で、召喚は上手くいかず、異世界の者は別の場所へ飛ばされてしまった。・・・何処か、恐らく魔素の強い場所の近くに。」
(2年前・・・ユージがこの世界に来た頃だ。じゃあ・・・やっぱりユージは、異世界からの勇者、だったのか!?)
「長老よ、それならば・・・その勇者が見つかれば、やはり戦が起きるということですか?」
オームも同じ事を考えていた。ギルファスをちらりと見る。
(そういえば、オームはずっとユージの魔力を心配していた。)
「・・・そうなりましょうな・・・。魔王は、もはや不老不死ではありません。きっと、人間は、もっと前からこの機会を伺っておったのでしょう・・・。」
話し合いを終えたギルファスは、エリーが眠る小屋に入る。
エリーは久しぶりの寝台で、よく眠っている。ギルファスは、エリーの額に口付けをおとすと、エリーの髪を撫でた。
(・・・オレが、ユージを助けたせいだ。そのせいで、エリーも、オームも、フラーも・・・。それに父上達まで結局巻き込む事になってしまったのか・・・。)
人間が好きだった。人間界は楽しかった。だが、それは許されない事だったのか・・・ギルファスの眼からは涙が溢れる。
「ん・・・ギル?」
エリーが目を覚ました。ギルファスはエリーを抱き寄せる。もう方法がない。
「ギル、どうしたのですか・・・?なぜ泣いているのですか・・・。」
「エリー、ごめん・・・あのさ、君を巻き込むことになってしまうけど・・・オレは皆を守りたい・・・オレと、一緒に、魔王の城へ戻ってくれないか・・・?」
エリーは驚く、だが、分かっていた。この世界で、逃げる場所などないことも。そして、今、ギルファスの側を離れることなど考えられない。
「ギル、元はと言えば・・・私の我儘のせいです。私は貴方とこれからも一緒に居たい。」
「エリー・・・。」
「ごめん、お邪魔だったかな?」
ユージの声だ。2人はハッとして、辺りを見渡す。だがユージの姿は見えない。
「ユージ!どこにいる!姿を見せろ!」
「そこに、紙があるだろ?直接対決しても勝ち目はないからね。こうした。」
「紙、だと・・・?」
ギルファスが目を凝らすと、確かに小屋の入り口に、小さな人型の紙が落ちていた。
「なんだこれ・・・。」
紙からユージの声がする。
「それは、式神って言うんだ!陰陽師とかの・・・分かんないか。ま、依代ってとこ。」
「・・・ユージ、なんでここが分かった?なぜ、こんなことをするんだ・・・?」
ユージは笑う。ギルファスには、もうユージの心が理解出来なかった。
(矢張り、ユージの理性はもう・・・。)
「ああ、ここが分かったのは、ギルの魔素とオレが繋がってるから。あのさ、オレ、解ったんだよ。なんでこの世界に喚ばれたか!・・・なんとオレは、勇者だったんだ!!だから、さ、ラスボスを倒さないといけない。ギル、意味は分かるよな?」
「・・・ああ。」
「ってことで・・・ごめん。今までありがと。それだけ伝えたかったんだ。」
ユージの声がする人型の紙は突然燃え出す。
「っおい!!ユージ!お前、元の世界に帰らないと!!お前の理性が・・・!!」
しかし、燃え尽きた人型の紙は、もう何も言わなかった。
「まさか、エルが妹にマリと名付けるとは、驚いたな。母上の名だとは教えていなかったのに。」
「茉莉花でマリ、かわいい名前ですね。セル様、そういえばオームさんに教えてもらったんですけど。」
「うん?」
「歴代の魔王の妻って、みんなお花に関係ある名前だったんですね!」
「ああ、そういえばそうだったな・・・。しかし、曾祖母上は、エリカだったぞ?それに、祖母上はハナだ。」
「ふふふ、エリカって名前のお花があるんですよ!ヒースとも言うらしいんですけど。(おばあちゃんガーデニング大好きだったから前に教えてもらった!)」
「ほう・・・色々な名前が有るのだな・・・では、ハナ、と言うのは?」
「それはですね、おそらく・・・あ、ちなセル様のおばあちゃんって、生まれたのいつとか分かりますか?」
「さあ・・・確か、春の生まれだったと・・・記憶しているが・・・。」
「じゃあぜったい、桜って意味ですよ!!日本人で春の花といえば、桜ですから!!間違いない!!」




