魔王の子、DKの命を救う。
外伝登場人物紹介①活動報告アップしました。
「なあ、ギル、こいつ、もう死にかけてるんじゃないか?」
倒れている少年を小屋に運んでから3日。少年の顔色は青ざめ、呼吸は微かだ。
「・・・村の医者じゃ治せないって、ザックさんが言ってたな・・・。」
ザックはいま、村長として、村の真ん中に建てられた小屋で、会議を開いている。誰に王都まで行ってもらうか、医者を呼ぶ為だ。
「今魔力で見てみたけど。こいつは、もう肉体から精神体が離れようとしてるよ・・・。」
オームもまだ難しい魔術は使えない。辛うじて、少年の気配を感じる事が出来るだけだ。
ギルファスは考えていた。人間には治せないだろう。
(こいつは普通の人間だけど、この世界とは違う『ニオイ』がする。)
この少年が何処から来たかも分からない。だが、このまま放っておけば、確実に死に至る。
「・・・なあ、こいつさ、オレの聖魔術とかで、何とか出来ないかな・・・。」
聖魔術は癒しの効果がある。だが、ギルファスの様に魔素が強い者が、魔力をまったく持たない人間・・・しかも死にかけているところにそれを使えば、その人間は魔素を大量に浴びる事になり、普通の人間では居られなくなる。
「・・・出来なくは、ないと思う。だが、お前が魔素を使ったら、こいつはたぶん魔力を持つ事になるよな。ふつうじゃ居られなくなる。」
「うん、そこなんだよね。でも肉体から離れようとしてる精神体をくっつけるには、もう魔素で修復するしかないんだよな・・・。」
眠り続ける少年を前に、二人は悩む。
「うーん・・・、いや、でもどっちにしろこのままじゃやばいよな。ちょっと、やってみる。どうなるか分かんないけど。」
ギルファスはそう言うと、少年の心臓に左手をかざす。緑の眼が、元の紅い眼に戻る。左手から、ゆっくりと、魔素が少年の心臓に吸収されていく。その時・・・。
「ギル、オーム、王都に行く準備を調えたぞ!!・・・ん?」
((うわっ、やばい!!))
ザックは、扉を開けたまま、動かない。ギルファスが家出してきた12歳の頃から、息子の様に、弟子の様に接してきたギルファス。そのギルファスの眼は紅く、左手からは魔物と同じ魔素を放っている。
「これは・・・お前達・・・一体、どういう事だ・・・?」
「ザザ、ザックさん・・・えっと、これは・・・」
「・・・・・・・」
オームは黙ってしまった。ギルファスは慌てているが、放出している魔素は、止められない。
「その、黒髪に・・・紅い瞳・・・初めて森で会った時からまさかとは思っていたが・・・。」
((バレた!!!!))
思わずオームと視線を合わせる。次の言い訳が見つからない。だが、ここでやめたら、魔素が少年を壊してしまう。
「・・・・・・そうか。お前、魔王の子だったか・・・。」
ザックは何故か冷静だ。近くの椅子に腰掛ける。震える手で、パイプを咥えると、気持ちを落ち着かせるように大きく煙を吐き出してから、言った。
「・・・何となく、そうじゃないか、とは思ってたんだ。森に子供だけでいるなんて、有り得ねえからな・・・。最初からずっと不思議だったんだ。お前達の事はこの4年見てきたから良く知っている。・・・なあ、ギル、オーム、そいつを・・・助けてくれんだろ?」
「!!はい、あのっ、あ、後でちゃんと説明しますから!!!」
ギルファスは急いで少年の方に向き直ると、集中して左手の魔素を操る。
(まずは精神体を、魔素で肉体に縛り付ける。で、壊れた箇所は、聖魔術で回復させて・・・。)
「うう・・・。」
少年が身体を動かした。
(・・・やった!成功した、かな!?)
思わずオームと、静かに見守っていたザックを見る。二人とも、驚いた表情だ。
「うう・・・なん、だ?・・・あ、セーブしてない・・・。」
少年が、ゆっくりと目を開けた。
「イタッ!」
「ユリ!?如何した!?」
「あ、枝で手のとこちょっと切っちゃったみたいです・・・(大したことないや。)」
「なんだと!?いますぐに私の聖魔術で・・・いや、その前に消毒だな。」
「えっ!?舐めるの!?」
「?癒しの力があるのだ。恥ずかしがらなくて良い。」
「いや、無理です!!えっ、ちょセル様!!」
「ユリ、まだ痛むか・・・?」
「(いや、舐められた時点で痛みとか忘れてるから。)へーきです!」
「街に戻ったら、また回復薬を購入しよう。(ついでに発注もしておくか。)」
「えっ!?まさかまた買い占めるつもりですか!?(この魔王、やっぱり愛が重すぎるよ!!)」




