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my都市鉄道経営記  作者: つぼみの紫陽花
9/10

part8

P:社長 紫川 陽一

M:主人公/鉄道事業本部 花守 裕也

W:同僚/鉄道事業本部 和方 明人

R:同僚/鉄道事業本部 李 伊陽

O:上司/鉄道事業本部車両課長 追船 正志

E:鉄道事業本部長 榎田 和寛

A:建設課長 葦沢 拓

T:設備課長 十島 圭史

W:おいおい、空港線の建設始めるってよ。

M:は?マジで?金ないはずなのに?

W:3セク方式で建設するらしく、なんか舞倉高速鉄道建設株式会社とかに建設させて、うちは第2種事業者になるとか。車両は自社保有だって。

M:じゃあ舞倉空港から舞倉中央まで建設するってこと?

W:しかもそれだけじゃなくて、百ヶ丘以遠の建設も3セクでやるって。

M:すげえな…ってことはその3セクの株主って…

W:舞倉市とうちの会社が45%ずつだって。

M:え?残りは?

W:ここから北北東23kmにある白崎市が10%だって。

M:他の町村は?

W:さあ…わからんね…どうせ資金援助程度じゃない?

R:みなさんテレビ見ました?

M:え、いや、見てませんけど

R:来年4月に舞倉市が百ヶ丘町、瀬来町、文谷村を合併することが決定したそうです

W:うそだろ…マジか…

M:なーるほどね…どおりで3セクの株主に他の通過市町村がないわけだ。

R:なんの話です?

M:空港線と、百ヶ丘から先を3セクが云々(以下説明略

R:そんなことがあったんですね。だからお二人ともそわそわしていたんですね。

W:まあそういうこった。


その直後、メールが全社員向けに届いた。

その文面は、花守たちが話していたものとほぼ同じであったが、そこにはすでに詳細なルートが示されていた。百ヶ丘から文谷(仮称)まではほぼ直進し、そこから白崎市中心部まで北東へ進む。線路は全線複線で、最高時速140km/hまで出せるような設計になる(実際は最速でも130or120km/hになる)とされている。終点の駅からは、貨物線で白崎港内へ延伸する予定になっている。これは赤字になっている旅客輸送の巻き返しのために貨物輸送を前倒しに開始するということの表明でもあった。着工は4月上旬、完了が8月下旬、営業運転開始は10月、総工費500億円の社運をかけた一大プロジェクトである。建設費はmy都市鉄道が300億、舞倉市が120億、白崎市が残りの80億の負担となっている。もちろんこれは建設費の負担の内訳であって、建設完了後はmy都市鉄道に貸与される形になるので、電気代や保線、車両製造費等は全てmy都市鉄道の負担となる。線路使用料は設定されない見通しである。それらの出費を含めたmy都市鉄道としての総事業費は400億円となる。環状線の建設を終え、現在の資本金は550億であるため、これは相当なギャンブルになると予想された。ましてや、比較的堅実な経営を得意とする社長の紫川が、このようなギャンブルをしかければならないという状況に追い込まれているのも、ある種この会社の先行きに霧がかかっていることの暗示なのかもしれない。開業後の採算の予想は、鉄道事業のみで見ると、貨物輸送で1日1500万円、旅客輸送で1日3500万円、合計約5000万円の利益が予想されている。これは相当低く見積もった数値で、実際はこの予測より増えると見られている。また、予測不可の利益として、駅構内の売店や駅ビルの増収も見込まれている。


W:増収…ねえ…

R:相当なギャンブルを仕掛けてきましたね…

M:また新車の製造が…

R:そうですね。

M:では関係各所に性能についてのヒアリングをしますか。


〜1週間後〜


O:今日は空港線の車両を検討しよう。

M:はい、すでに関係各所から車両性能や設備について、ヒアリングを実施しました。

O:仕事が早いな。

R:えー、まずは車両部ですが、現在保有している車両のドア部の整備が少し面倒だということなので、そこの設備の簡略化をして欲しいとのことでした。他の機器や設備については、概ね整備上や運用上のトラブルはないので、出来るだけ、特にインバータやクーラー、運転台は同一の機器を使用して保守の簡略化をしたい、また、加減速の性能や台車の仕様は特に指定はないが、こちらもなるべく同一の機器で統一したい、とのことです。

W:次に、設備部からですが、現状運用上の問題は特にないので、トン数やカーブ通過時の車両の横圧が環状線車とほぼ同等であれば問題はない、とのことでした。

M:最後に運輸部からですが、車内放送装置の自動放送対応、またはその準備工事をしてほしい、ドア上の車内情報装置は千鳥配置ではなく各ドア配置にしてほしい、運転台の行路表置き場の位置を少し左に移設してほしい、座席を、一人分の区画をはっきりさせたバケットシートにしてほしい、とのことでした。

O:ん、ありがとう。とりあえず各部からの要求はこんなもんか。じゃあ早速それを詰めていくか。まずは、車両部と運輸部で主張が競合する運転台の行路表置き場の位置か。

M:これについては運輸部の意見を通して構わないと思います。行路表置き場は後付けですし、位置をずらすだけなら部品も同一品が使えますし。

O:じゃあ数センチ程度左にずらすでいいか。次…は特に競合はないか。では次に車両の大体の性能、主に加速、最高速性能だな。

M:加速は2.5〜2.8km/h/s程度でいいかと。

W:2.8欲しいね。

R:あのー、快速車両と普通車両に分けるのはいかがでしょうか?

W:え、なんで?

R:普通列車は120km/h程度出せればOKな線路条件で、実際駅間的に120でも130でも大して所要時間は変わりません。ですが電力の消費量は1.5倍になります。でしたら環状線と同じ加速度で、トラブル時に環状線との共通運用もできる、1000型のマイナーチェンジ車と、快速運用に使う130km/h対応の車両の2種類を導入した方が得策かと。車内設備はほぼ同一とし、デザインも大きく変えないことで、車両導入費もおそらく抑えられるでしょう。

M:でしたら乗客への案内上デザインは大きく変えるべきでは?

W:あと製造所は川重に変更したほうがいいかと。

M:川重より近畿車輛の方が質がいいからそっちの方がいい。

R:いっそ日立で統一したほうがいいと思うのですが。

W:ついでに拡幅車体にしない?朝夕の混雑率それなりにあるし、車両限界も大丈夫ならその方がいいと思うんだけど…

M:まあ必要だとは思うけど拡幅車は出来れば環状線に入れたいよね…空港線の需要そこまで高くないと思うし…

R:では、拡幅車体は普通車のみに導入するということにしますか?

M:いや、今後の動向次第で快速の混雑率変わるかもしれないから両方拡幅車体にしたほうがいいと思う。

O:では、普通用と快速用の2種類の車両を導入するということでいいな?ではこれで会議を終了する。



W:課長って自分の意見を全く言わないよね…

M:言われてみれば…確かに常に傍観してるというか…

W:なんか他人事というか他人任せというか…どうも信頼できないんだよね…

M:言わんとしてることはわかる。

W:あとよく社長や部長に呼ばれているよね。

M:あー、それな。しかもそのあと決まってテンション低いし。あとたまにこっちにまで八つ当たるし。なんかやらかしたんじゃない?

W:さあ?でもなんか不穏なんだよね。

M:まあどうでもいいだろ。どうせ上が変わってもうちらがやることは変わらないし。

W:それもそうか。

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