表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
my都市鉄道経営記  作者: つぼみの紫陽花
8/10

part7

P:社長 紫川 陽一

M:主人公/鉄道事業本部 花守 裕也

W:同僚/鉄道事業本部 和方 明人

R:同僚/鉄道事業本部 李 伊陽

O:上司/鉄道事業本部車両課長 追船 正志

E:鉄道事業本部長 榎田 和寛

A:建設課長 葦沢 拓

T:設備課長 十島 圭史

H:運転士 橋本 博之

暫定開業から1週間、環状線は大きな混乱もなく運行されていた。運行本数に難はあるものの、積み残しも発生せず、ダイヤの乱れもほぼなかった。開業1週間の運賃の損益はギリギリ赤字の1日平均-103万円であった。翌週の損益は、開業直後の観光需要がほぼなくなったせいか、少し悪化し、1日平均132万円の赤字で、これは駅ビルの売り上げでギリギリ持ちこたえられる限界の値であった。 また、建設費等で約350億円の支出を計上しているので、今年度の赤字はほぼ確実となった。12月28日、今年の仕事納めギリギリのタイミングで、舞倉環状線舞倉中央〜東街堀〜あずま中央、舞倉貨物線東街堀〜舞倉貨物駅間の工事が完了した。これにより、トレーラーでの車両の搬入は終了し、舞倉港貨物北埠頭から機関車による輸送に変更された。

年が明け、1月4日、貨物営業の開始および車両輸送用の電気機関車6両、翌1月5日には1000型の全線開業用増備車(以下、2次車)34両(内訳:2×9、4×4)が舞倉港貨物北埠頭に到着した。1月6日から順次、陸揚げされた編成は試作車T01編成によって、まだ貨物列車の設定がない空っぽの舞倉貨物駅に仮移送された。移送された電気機関車は、併設されている舞倉機関区にてATC設置工事や、その他の改造工事が施された。

1月13日、航送された電気機関車のうち、状態が良く、早めに転用改造が終わったEF64 1030を用いて、舞倉貨物駅から舞倉車両センターへの配給輸送が開始された。6両ずつ運ばれ、3日間で輸送が完了した。これにより、舞倉環状線全線開業に向けた車両増備が完了し、2両編成14編成、4両編成8編成の計60両が出揃った。また、1月17日からは、舞倉中央〜あずま中央駅間で試運転も始まった。1月20日、残る舞倉空港トンネルの工事も完了し、1月23日には全線での試運転も行われた。並行して、舞倉貨物線舞倉貨物駅〜百ヶ丘駅間において、500tの荷重試験も始まった。全線開業の日付は、2月7日の日曜日に決定した。その決定がなされた頃、花守たちは車両の初期トラブルの対応の傍、頻繁に試運転に同乗していた。


M:これがラストナンバーの編成ですね。

R:ええ。これさえ無事に終わればあとは全線開業を待つのみですからね。

M:そうですね…あれ、橋本さんだ。

W:ほんとだ。あの人も異動してきたんだ…

R:お知り合いなんですか?

M:ええ。自分が新卒だったころの研修などで特に世話になった人で…

R:なるほど。


M:橋本さん、お久しぶりです。

W:お久しぶりです。

H:おー、ハナにワカじゃないか。お前らもこっちに飛ばされたのか。

M:ええ。まあ。橋本さんいつの間にこっちにきてたんですか?

H:え?去年の4月からずっといるよ?

M:え、そうだったんですか。こっちで見かけないのでてっきり本社に残っているのかと。

H:きっちりこっちに飛ばされてるよ。

M:それより最近何かありました?前よりテンション上がっている気がするんですが…

H:ああ。全線開業の一番列車の運転士に選抜されてね。

M:え、すごいじゃないですか?

H:まあな。あ、おいそろそろ出発だぞ。早よ乗り。

M:あ、はい。

W:にしても相変わらず運転上手いね。この人は。

M:むしろ前より上手くなってる。

R:確かに全然加減速の時に揺れませんね。

M:これが運転しやすい車両なのかそれともあの人が張り切ってるだけか…とか言ってる間にもう中央駅だ。降りるぞ。


そして迎えた2月7日。この日も先行開業時同様朝10時からの運行で、今回は運賃をしっかり徴収するのだが、以前にも増して、人はかなり増えていた。集計してみると、約5000人。しかも、朝8時の段階でこの数字で、まだ増え続けてるのだ。9時30分。ようやく改札が開き、乗客たちは切符を買い、ぞろぞろと2階の環状線ホームへ上がっていく。前回との違いは、先述の運賃の件と、3階の百ヶ丘方面のホームにも入れることである。これはのちに建設することとなっている空港線と、他地方連絡線のための設備である。2階ホーム環状線内回りの1番線にはM02編成+S02編成の6両編成が、外回りの2番線にはS01編成+M01編成の6両編成が停車していた。今回は出発式等はせず、駅長の合図で発車するのみとなった。10時丁度、内回り、外回りの一番列車が同時に出発した。全線開通後のダイヤは、休日は12分間隔、平日日中は18分間隔、朝夕ラッシュ時は6分間隔となっている。この日は休日なので、12分間隔での運転となった。所定は4両だが、この日に限り6両での運転となった。それでも日中の便はほぼ全便満員で、誰の目から見ても先行開業時より明らかに人は増えていた。0時52分。最終電車が舞倉中央駅に到着し、開業初日の営業が終了した。初日の利益は4172万円で、これに加えて各駅の駅売店や磯辺、舞倉中央の駅ビルの利益821万円を足して約5000万円の黒字となった。これは開業初日のため、普通の日はこれの3分の2程度になると推測された。

翌日、全線開業後初めての平日。朝ラッシュ時は4両編成の列車が6分間隔で運行することとなっている。


W:なんでうちらが乗降調査やらなきゃダメなの?

M:まあまあ…別にいいじゃん午前の仕事ないんだし。

R:それに開業直後の時期はどこの部署も忙しいので、手が空いてるうちの課が借り出されたってだけですし。

W:まあデスクワークよりはいいけどさぁ…

M:んで、まず舞倉中央から内回りを一周するのが1人、外回りも1人、舞倉中央で乗車率の目視測定をするのが1人、こんな感じでやれって言われてるから、それでいいよね。

R:では私は内回りに乗ります。号車はどこでしょうか?

M:2か3号車でお願いします。

R:了解しました。

W:じゃあ俺ここに残る。

M:じゃあ残りの外回り乗ってくる。


舞倉中央を外回りに乗って発車すると、百ヶ丘方面への支線を右へカーブしながらくぐり、真東へ進んで行く。しばらく行くと、百ヶ丘方から分岐して来た舞倉貨物線と合流して、もう一度右へカーブし、舞倉東駅へ到着する。ここから東街堀までは直線区間である。次の大学前で一気に学生が降車する。東街堀で貨物線と分岐し、右へカーブする。何箇所かのカーブを抜けた後、あずま中央へと到着する。あずま中央の南側で旧線跡と分かれた後、舞倉空港トンネルへ突入する。トンネル内で右へカーブすると、建設されたばかりの舞倉空港(2代目)へ到着する。ここでは乗客の6割ほどが入れ替わった。舞倉空港を発車し、右カーブを通過し、トンネルを抜けると、貨物地区西へ到着する。ここでは4割ほどの乗客が降車した。貨物地区北、新天大蔵と連続で乗客が乗り込んで来て、磯辺で7割ほどの乗客が入れ替わる。舞倉スタジアムでは乗降はほぼなし、西満天町でまた乗客が増え、舞倉中央で8割が降りる。このような乗降の状況であった。平均乗車率は120%ほどで、最大が西満天町〜舞倉中央の153%、最小が舞倉中央〜東舞倉の96%と悪くはなかった。内回りは、平均117%、最大が東舞倉〜舞倉中央の172%、最小が舞倉空港駅〜あずま中央の78%と、こちらもまあまあな数字であった。舞倉中央の降車人数は7時〜9時で約14000人と、これもなかなか好調であった。しかし、朝ラッシュが終わり、日中ダイヤになると、乗車率は悲惨なものになっていた。平均が10%、多くて30%台、少ない時は乗客0人の区間もあった。このままでは、採算が取れないのは明確であった。


M:部長、こちらが先日調査しました乗降調査の結果でございます。

E:ああ、ありがとう。あとで読んでおくよ。

M:それが…かなり厳しい状況で、おそらく赤字は免れない状態になってまして…

E:何?それは本当か?

M:ええ。朝夕ラッシュ時は概ね好調なんですが、それ以外の時間帯が悲惨でして…

E:確かにそうなってるな…わかった。とりあえず経営会議などでこれからの策を考えておくよ。ありがとう。

M:どういたしまして。では失礼します。


W:部長なんて言ってた?

M:とりあえず経営会議に持ち込むって。

W:まあ経営会議に持ち込めばあの社長がなんか提案してくるだろ。

M:うーん…どうだろう。結構無茶な案出してくるからな…あの人。

W:暴走しないといいんだけどね…

M:ああ…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ