1-5 ナナの誕生⑤
そして、コスメは、実槌麗亜が東京に出てきて、身寄りもないことを知ると、まだ18才の若さでもあるし、合わせて、とても好かれる性格なこともあって、とても可愛がった。
彼女は、コスメの印象通り、全く磨かれていない素材にもかかわらず、とても美人で、そこらではまず見かけないほどの綺麗さで、また、うれしい時にニコッと笑う、その笑顔は、また格段に綺麗さを引き立てる。
コスメは、彼女なら、いつかオービスと並ぶくらいになっても不思議ではないとすら思っていて、これから、事務所のモデルたちの質をレベルアップするためを考えると、絶対にこの子は必要だと思ったのである。
そして、モデルラボの仕事を覚えてもらうことにして、まず、事務の仕事は、担当者の実務から色々と指導してもらい、受付や電話対応は、妻咲の担当。お茶組みやコピーとりなどの細かい雑用をこなしていく。
それから、ある時は、モデルの仕事に、1日密着取材させてもらって、モデルの仕事といっても、CM撮影から始まって、雑誌のグラビア、インタビュー、ガールズコミュニティでのランウェイや、今時のテレビのバラエティ番組のゲスト出演など多様なもので、実槌麗亜は驚きの連続であった。
しかし、どれも華やかな仕事であって、グラビアやインタビューなど、モデルの美貌がアピールできる場所であったり、テレビのバラエティ番組などにおいては、一見こんな俗っぽい番組とおもいきや、モデル業界に興味のない人たちからも、顔と名前を覚えてもらえる特別な機会なので、意外にも珍しい良い機会なのである。モデルたちが、決まりきった雑誌やランウェイなどにだけ、その顔を見せてアピールする時代は、もう終わりで、多様性のある新しい時代が始まっているのである。
実槌麗亜も、これまでモデル業界のことなど全く知らないことで、すべてが新鮮なのと、様々な仕事の華やかな現場で、毎回行くたびに、その緊張感で目を白黒させて、あたふたしながらも、一生懸命に頑張っていた。それをみていたコスメは、彼女の頑張りと可愛さに、さらに、この子のために、トップモデルになれるまで、いくらでもあと押しをしてあげたいと思うのであった。
そして、その頑張りに対して、コスメは、自分が様々な現場に行く時は、必ず実槌麗亜を連れていくようにしていた。もちろん、自分の身の回りのことをやってもらうためであるが、彼女はモデルデビューなど、まだまだ先のことだというのに、事務所の新人さんとして、業界関係者に、先々デビューする予定ですと、今のうちから、顔を覚えてもらおうと紹介していたのある。これは、コスメがいかに彼女に対して思い入れが強くて、期待しているかがうかがわれるのであった。
ある時、コスメに連れられて、ナナが事務所にやってきた。すると、麗亜の元に、サササッと近づいて、
「お姉さん、すごいわね、オーラが。お姉さんのって、珍しいのね。あまり、見たことないわ。」
「えっ、あ、あら、そう。ナナ、そういうあなたこそ、とてもいいわよ、そのオーラ。ちょっと、皆と違うのね。」
「本当に。ありがとう。またね。」
そう言うと、また、サササッと帰っていった。
すると、麗亜は、思った。
やっと、会えたわね、ナナ。探していたのよ。それにしても、この年で、私の隠しているオーラを見抜ぬくとはね。思った通り、いいえ、思った以上に、大したものだわ。これからのあなたを、私、最後まで、どこまでも見届けるからね。




