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1-2 ナナの誕生②

  モデルラボ事務所にかかってきた、1本の電話。すぐに、受ける妻咲、


「はい、こちら、モデルラボ事務所。ああ、蓮津さん。はい、はい。生まれたのね。よかったです。おめでとうございます。わかりました。」


 事務所には、多くのモデルたちが、その知らせを待っていた。


「コスメの子供、今、生まれたそうよ。」


 事務所内では、多くのモデルたちから、拍手喝采。

「おめでとうーーっ!」

すると、妻咲から、

「赤ちゃん、1カ月は、病院にいるそうだから、会いたい人は、行ってあげてね。」

その頃、無事に出産を終えて、蓮津と蜂部先生は、ホッとしていた。


「蓮津君、それにしても、コトールルミナス人というのは、実に不思議な出産の仕方をするのだな。以前も、エレンだったか、やはりあの人の時も、どうしたらいいか困ったけれど、今回は、2回目で、とりあえず初めてではなくてよかった。まさか、500gにも満たないで生まれてくるなんて、日本だったら、早産すぎて、まあありえないけどな。」


「そうですね。私も、前回のエレンの時は、本当に信じられなかったですが、やはり、コトールルミナス人は、どこまでも見た目の綺麗さや、妊娠しても体型の見た目のバランスに影響がないように、小さく生まれて、ひと月で急に普通の大きさになってしまうんですね。実に、不思議な人たちですよ。」


 すると、モデルたちは、いち早く赤ちゃんが見たくて、次々とやってくる。すると、

「あら、かわいいわ、この子ったら、瞳が青いのね。すごいきれいで、かわいいわ。」

「どこどこ、あっ、ほんとにかわいい。普通、赤ちゃんって、生まれたてって、猿みたいだったりするじゃない。でも、この子ったら、なんでこんなに美人さんなの。それに、瞳が、赤いじゃない。」

「うそうそ、どちらかというと、ピンクじゃない、この色は。」


それを聞いて、コスメも別室からやってきて、

「何言ってるの、この子の瞳は、ブラウンよ。よく見てよ。」

すると、蜂部先生は、

「全く、青だの赤だの、皆で何を言ってるんだ。ブラウンなのに、慌てて見間違いもいいところだな。」

しかし、それは、あまりにも、1人1人の言うことが違いすぎた。

すると、改めて、よく見たコスメは、

「あら、本当!ブラウンだったはずなのに、今は青いわ。えっ、いったいどういうこと?」

「なんだよ。コスメまで、そんなこと言うのかい。そんな微妙な光のところで見ないて、ちゃんとよく見たほうがいいぞ。」

そう言うと、手に持ったライトで照らしながら見る蜂部先生、ところが、

「えっ、こ、これは、今はたしかに、瞳が赤いな。な、なんなんだ。まさか、身体の調子でも悪いなんてことはないよな。ちょっと体温とか血圧とか調べてみよう。」


調べた結果は、何も異常は認められない。

すると、そこにやってきたオービス、早速覗き込むと、

「わあ、かわいいわ、またこの青い瞳がすごいわね。」

驚くコスメと蜂部先生、

「な、なんだって!瞳が青いって!そ、そんなバカなこと!今、たしかに、赤かったぞ!」

すると、その覗き込んだオービスを見ると、

えっ、青い服を着ているが、まさか。

そう気づいたコスメは、自分の別の服に着替えてきた。

そして、再び、赤ちゃんを覗き込むとコスメ、

「ああ、たしかに、今は、青になったわ。これは、間違いないわ。私の着ている服のせいなのよ。」

それを聞いて慌てて駆け寄る蜂部先生、

「おいおい、言うに事欠いて、服のせいで、瞳の色が変わったって。冗談もいいかげんにしてくれよ。たしかに、今は、青なのは、間違いないけど、何か他に原因があるのかも知れないぞ。」


すると、コスメは、

「先生、いい、その子の瞳、もう一度、その色、よく見て下さいね。よく色を覚えてね。」

蜂部先生は、何を言うんだという顔で、

「おう、よく見たぞ。」

「じゃあ、私の服をよく見て下さいよ。」

「ええ、なんで、また、そんなこと、、、ええっ、同じだ、瞳が同じ色なんだ!どういうことだ、いったい。服の色と瞳の色が、全く同じなんだ。そうだよな!」


「そうでしょ。私もこの服じゃなかったら、すぐにはわからなかったけど、先生もこんな珍しい色の青色って見たことないでしょ。だけど、明らかに、この子の瞳の色は、今、この珍しい青色になってるから、この服を見て色が変わったとしか考えられないわ。」


 そして、コスメは、そのあと、10回に渡り、様々な色の服に着替えて、赤ちゃんに向き合って見た。すると、10回のうち8回は、瞳の色が変わっているのだった。ただ、そのうちの2回ほどは、変わらずであったが、その顔の表情から、もしかしたら、その色が好きなものでなかったのかも知れない。


そして、コスメから、

「これは、この子、好きな色を見ると、瞳をその色と同じに変えてしまうのかも知れないわ。着替えてきた服の色になっていたし、それに、その服の色と、その濃さや色合いまでも、全く同じ色になっていたわ。とても似た色になっていたわ。」


 横から見ていた蓮津も、不思議そうにして言った。

「これは、やはり、君がコトールルミナス人であることと、その上、美のエキスを飲んだことが影響しているのかもしれないな。こんな不思議なことって。」

「そうね、それに、こんなに赤ちゃんの時から、もうすでにトップモデルになれそうなこの子の美人顔、すごい子になりそうな予感がするわ。この子の瞳の色、ざっと見ても7色に変化してるのよ。もう、これは、この子の大きな魅力ね。それで、この子の名前だけど、7色だから、なな、で、どう。そして、それは、どんな漢字の意味も持たないという純粋な意味で、カタカナの、ナナ、でどうかしら。」

「ナナ、か、いいじゃないか。もう、この子に相応しいじゃないか。その色は、この子の才能そのものだからね。」

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