プロローグ
昨今AIというものは人間にとって欠かせないものとなっている。スマホのアシスタスト機能、自動車、医療なんかにもAIが使われている。
「超知能」こんな言葉を耳にしたことのある人はいないだろうか。超知能とはあらゆる知的分野でAIが人間を凌駕し自ら課題を見つけ複雑な問題解決策を導き出す。そして、それが人間に制御可能な領域を飛び出す日はそう遠くはないのかもしれない。
そんなニュースを聞きながら私、朝凪透は朝の支度をしていた。
時計を見る。
「まずいな、、、」
いつも出社時間のギリギリを攻めている私にとってはほんの1、2分遅れるだけで遅刻になりかねない。そんなこんなでいつもより少し遅くなったので速足で東京の街を歩く。
それにしても、さっき見たニュース、、、AIが人間を超えるというのはあり得ることだろう。だが人間の制御範囲を超えるというのは困ったものだな。SEである私は少しニュースを身近に感じ、考えながら歩いていると
「ププーーーーー」
ハッと顔を上げる
「あっ」
「ドンッ」
赤信号に気づかず車に車に轢かれ、鈍い音と同時に私の意識は薄れゆくのだった。
「ん?」
目を開ける。そこには果てのないような、迷路のような、そんな不思議な空間が広がっていた。
「あれ、私、、、」
「茜様、食事の用意ができております。」
あたりを見回しても私以外に人は見当たらない。
「茜様、、、?」
秘書のような女は再びそう言った。
「え、私?」
「この空間にあなた以外いないでしょう。いくらこんな情勢だからといってもくれぐれも無理はしないように。」
こんな情勢ってなんだろう。しかも無理してるって思われてるしほんとどういう状況なんだろう。いろいろと気になることは多いがお腹も空いているのでひとまず食事を取りながら考えることにした。
食事をとったあとこの不思議な空間一通り探索したが端にたどり着けそうにもなかったので途中で見つけた図書館で本を読み漁った。本を読むとこの世界についてかなり詳しく知ることができた。
今は2110年であること。ニュースで見た超知能が誕生し現在人間と交戦中であること、超知能の誕生とともに私含む世界の約100人が異能を手に入れたことなどだ。秘書いわく明日はレガリアでの緊急会議らしい。
「レガリアってなんだろ…」
レガリアについて全く心当たりのない私はひとまずレガリアについて調べてみた。どうやらレガリアというのは超知能と戦うこの世界において指導者となる7人の異能者のことらしい。なんで私がそんな凄そうな集団の一員なんだろう、、、全く状況が掴めなかった私は一晩中レガリアについての本を図書館で読み漁ったのであった。
次に目が覚めると気づけば私は椅子に座っていた。辺りを見渡すと私以外にも6名ほど人がいたが私はその6人を知っている。
「昨日本の写真に載ってた人たちだ」
誰にも聞こえないように私はそう言った。
「これよりレガリアの緊急会議を行う。」
そう宣言したのはこの中でも最も強い存在としてレガリアをまとめているリヒトだった。リヒトのもつ異能は超頭脳。この世界で唯一超知能に対抗できる圧倒的な思考能力を持つ。彼は続けてこういった。
「超知能が近いうちにネットワークの世界を抜け出しげ現世に勢力をもつ可能性が出てきた。それにどうやって対処するかが今日の議題だ。」
「んー。その超知能の現世の勢力ってのはどっからでてくるのよ。」
白羽は表情を崩さないままそういった。
白羽はコピーの異能を持つ少女だ。コピーしたものを自由自在に操ることができるが有機物はコピーできないという制約があるらしい。。頭をフル回転して昨日の記憶を呼び起こしながら会議を聞いていた。
「海だ。」リヒトが応える。
「え?」私は思わずそう言った。超知能が創り出すのは人間の姿形をした機械だと昨日本で読んだ。機械に海水が入り込めば壊れるなんてのは言うまでもないだろう。
「う、海に機械なんて壊れるに決まってるでしょ!!」
ノアが私の気持ちを代弁するようにそう言った。ノアはエヒト・オーフ(真眼)という異能で、世界に眼を配置することができるらしい。ノアが言ったことに私が共感していたのだが、リヒトが言うには超知能は海水を克服する何らかの方法を生み出したらしい。海からの侵攻となると上陸を許してしまえば常に包囲されている状態、つまり常にこちらが不利な状態になってしまう。ということを何もわかっていなかった私に玲が教えてくれた。そんな玲だが実は最も謎多き人物である。昨日一晩かけてレガリアの本を読み漁ったにも関わらず彼について詳細に書かれた本は一冊も見当たらなかったのだ。
「今後の方針についてだが何か意見のある者はいるか。」リヒトが問う。
「海から攻めてくる以上、島国のように海に囲まれた小さな場所をすべて防衛する余裕なんてない。人を何箇所かに集中させ、場所を限定して守るべきだろう。」レオナルドが言った。レオナルド……
彼の異能はインペラトーレ(皇帝)といった。認識したものに世界を通じて命令を下し強制的に実行させるという異能だが、命令する対象の規模に応じて反動を食らうらしい。
「それは俺も考えていた。防衛箇所は7箇所に限定しようと思う。」リヒトが言った。
なぜ7箇所なのだろうか。私がそんな事を考えているとリヒトは続けてこう言った。
「我々レガリアの7名で1人1都市を防衛する。そして防衛場所はロンドン、ローマ、パリ、ベルリン、ニューヨーク、北京、そして東京でいこうと思う。異議のある者はいるか」
「リヒトさんの考えに文句言うやつなんていないですよ。」玲が言った。
その後も7名の配置についてやより具体的な作戦についてなど、数時間にわたって会議は続いた。
会議が終わり、私は担当となった東京へと向かっていた。東京に集められるのは日本、台湾、オセアニアの人々で約1億9256万人程度だ。世界の人口83億人を7箇所に分けて防衛しなければならないにも関わらず住める面積の狭い東京が拠点の一つに選ばれたことからも、東京が今の世界でいかに重要であるかがわかるだろう。人々の移住や住む場所の建設などは最新の技術を駆使して1ヶ月で実行された。その1ヶ月間で私は異能を扱う練習をしていた。私の異能は電子界。電子のある情報空間において意識を直接その空間に接続し電子の流れやシステムのコードを書き換えることができる。SEだった時の記憶を駆使して様々なプログラムを思うように書き換えることができた。現に私はその一ヶ月でネットワークシステムを書き換えて関東以外の場所からシステムに干渉されないように防衛システムを構築した。超知能のあり、かが分かれば意識を接続しシステムを瓦解させることで超知能を破壊できるのではないかと考えていた私は他にも異能の使い方はないかと模索していた。すると突然プログラムに異変が生じた。私の脳内に見たことの無いコードが書き加えられていた。私が今接続している電子界には超知能に知られてはいけない機密情報がたくさんある。私はすぐさまコピーを白羽のいる北京の拠点に飛ばし、システムを崩壊させた。
「ブーブー」スマホが鳴る。嫌な予感がしながらも私はスマホを手に取った。
ノアからの着信だった。
「もしもし、茜!!」
そんな焦っている声が聞こえる。私が返事をしようとするとそんな暇もなく彼女は
「今北海道、宮城、愛知、広島、福岡に
超知能が作ったと思われる知能兵器が上陸したわ。
私が設置していた眼に映ったの。」
「ノア、ついさっき機密情報を記録していたサーバーに
突然何者かがシステムを打ち込んでたの。
書き換えられる前に白羽にコピーを送って
システムを崩壊させたのだけど。」
「いい判断よ、茜。あれを見られたら作戦が全部バレて終わる。
それに関東に知能兵器が現れるのも時間の問題よ。
白羽もそっちにむかわすぇるからすぐに戦いの準備をしなさい。」
「わかった。」
電話を切る。私はほんとに戦わなければならないようだ。その後は覚悟を決めて、淡々と戦いの準備を進めた。




