潤と佐伯、翌日そろってカキにあたる
◇潤編:生ガキデビューの翌日
翌朝。広瀬潤(39)は布団の中でうめいていた。
「……お腹が……海になってる……」
昨日、生ガキデビューした潤。その感動は一夜で終わった。
潤はトイレへ走った。
「うわぁぁぁ……これは……海の怒りだ……昨日の“海そのもの”が……今日も“海そのもの”で来てる……!」
潤は苦しみながらも、なぜか冷静に分析していた。
「これは……生ガキの“2形態”だ……昨日は“おいしい海”……今日は“暴れる海”……」
母が心配して声をかけた。
「潤、大丈夫なの?」
「母さん……僕の中で……カキが……暴れてる……」
「病院行く?」
「いや……これは……“生ガキの洗礼”なんだ……」
潤は苦しみながらも、なぜか誇らしげだった。
「昨日の生ガキは……航海だった……今日の生ガキは……後悔だ……人生は……海……」
潤はトイレで哲学を語り続けた。
◇佐伯編:こちらも別の場所で苦しむ
同じ頃。佐伯は自宅でうめいていた。
「……なんだこれ……腹が……波打ってる……」
昨日、生ガキを“海そのものだぞ!”と潤に語っていた佐伯。その自信は一夜で崩れた。
佐伯はトイレへ走った。
「うわぁぁぁ……昨日の海が……逆流してきてる……!」
佐伯は苦しみながらつぶやいた。
「俺……昨日……あんなに生ガキをすすめたのに……自分のほうがあたってるじゃねぇか……」
佐伯は床に倒れ込みながら言った。
「生ガキ……お前……裏切ったな……」
しかし佐伯はすぐに立ち直った。
「いや……これも含めて……カキだ……昨日の“うまい海”……今日の“荒れた海”……どっちも飲み干してこそだ……」
佐伯は苦しみながらも、なぜか納得していた。
ふたりは別々の場所で同じ結論に至る
潤は布団の中でつぶやいた。
「生ガキは……おいしいけど……危険だ……」
同じ頃、佐伯もつぶやいた。
「生ガキは……怖いけど……うまいんだよな」
ふたりは全く別の場所で、同じように苦しみ、同じように納得していた。




