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潤、生ガキに踏み出す

 休日の午前。広瀬潤(39)と佐伯は、地元の道の駅に来ていた。


「潤、今日はカキだぞ。旬だぞ」


「うん……でも僕は焼きガキだけにするよ……ノロウイルスは……怖い……」


 佐伯は笑った。


「潤、慎重すぎるんだよ」


 ◇カキ小屋の香りにテンションが上がる


 道の駅のカキ小屋は、炭火の香りと海の匂いが混ざり合い、最高の雰囲気だった。


 潤は焼きガキを前にして目を輝かせた。


「うわぁ……この香ばしさ……焼きガキは安全で……おいしくて……最高だ……!」


 佐伯は隣で、生ガキを注文していた。


「俺はこっちだな。生ガキは海そのものだぞ」


 潤は横目で見た。


 ◇佐伯、生ガキをうまそうに食べる


 佐伯はレモンを絞り、つるん、と生ガキを口に運んだ。


「……うまっ……潤、これ本当にうまいぞ……海がそのまま口に来る感じだ……」


 潤は焼きガキを食べながら、佐伯の生ガキをじっと見つめた。


「……海が……そのまま……?」


 佐伯はさらに食べる。


「このとろっとした感じ……焼きじゃ出ないんだよな……」


 潤は焼きガキを見つめた。


「……僕の焼きガキは……海が……焼かれてる……?」


 ◇潤、揺れる心


 潤は自分の焼きガキを食べながら、佐伯の生ガキをチラチラ見た。


「佐伯……それ……本当にうまいの……?」


「うまい。潤、人生で一度は食べたほうがいいぞ」


 潤は悩んだ。


「でも……ノロウイルスが……」


「潤、道の駅の生ガキはちゃんと管理されてるぞ」


「でも……僕は……」


「潤、おいしそうだろ」


 潤は完全に揺れていた。


 ◇ついに決断


 潤は店員に声をかけた。


「すみません……生ガキを……一つ……」


 佐伯が笑った。


「潤、ついに来たか」


 潤は生ガキを前にして深呼吸した。


「……これが……海そのもの……」


 レモンを絞り、そっと口に運んだ。


 ◇潤、生ガキデビュー


「……うまっ……!」


 潤は目を見開いた。


「佐伯……これ……焼きとは……全然違う……とろっとして……海の香りがそのまま来て……なんか……すごい……!」


 佐伯は笑った。


「だろ?焼きもいいけど、生はまた別物なんだよ」


 潤は感動していた。


「僕……今日……新しい世界を知った気がする……」


 ◇帰り道


 潤は満足げに言った。


「今日は……“焼きガキしか食べない僕が、生ガキに踏み出す日”だった……カキは生と焼きのシュレーディンガーなんだ……」


 佐伯は笑った。


「潤、また来ような」


 潤は笑顔で頷いた。


 

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