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二十一話

不定期更新中です。他の作品も不定期更新中ですが宜しければ読んでやって下さい。┏○ペコッ

「通信長。この音を聞いて下さい」


 ソナーを担当する自衛官は自分の判断できない案件だと思い上官へと相談していた。


 通信長は音を聞いて何かしらの規則性は確認できたが、他国が使う暗号処理の通信ではなく、例えばイルカやクジラが仲間同士でコミュニケーションをとっている時の音に酷似していた。


 戦闘中であるために普段であれば静かな海域も今は普段と違う顔をのぞかせている。戦闘海域全域に響き渡る音は何かを伝えようとしている様にも思えた。


「異常は認めるところだが、艦長に進言できるほどではない。私達が沈められないためにもやらなくてはいけない事は多いが、留意はしておいてくれ」


 アクティブソナーで海域を探る事は現状では難しかった。敵艦に位置を特定されれば、艦員すべてを危険に晒す事になり、海上の爆発音によって普段よりもパッシブソナーで察知される確率は高くはないとは言え危険な賭けをするつもりは日本の自衛官にはなかったのである。


 響き渡っていた音はある時を境になくなっていたが、戦闘が終わる頃には再開されていた。音は指向性を持っていたが、敵対する意思は感じとれなかった。戦闘が落ち着いた事によって余裕はできたが、同盟国アメリカや監視していたロシアや中国の潜水艦がどうなったかまでは完全に把握していなかったのだ。


 初めての実戦で、訓練通りに行動できない事も多くあった。対潜装備を積んだ攻撃機や艦が少なかったのか敵潜水艦に多くの注意力を向ける事ができ、日本の潜水艦で撃沈された艦は皆無であった筈だ。


 戦闘が落ち着いても歌は響いていた。大音量であったために鯨しかもシロナガスクジラであると判断するしかなかった。戦闘水域に居た理由は不明だが、明らかに世界最大級の質量を持っていると確信に至っていた。


「通信長。依然として動きはありません。もしかしたら何かをこちらに伝えようとしているのかも知れません」


「現状では通信封鎖を解くことはできない。音のサンプルデータの収集に注力してくれ」


 エンジン音と排水音によって機種の特定ができる様に自衛隊は努力を欠かしていなかった。核ミサイルを搭載した原潜が日本を射程に捉えているのは国防上、無視できない問題である。


 そして、仮に何かを伝えようとしているならば再度の接触があっても不思議ではなく、意図は分からないが通常のシロナガスクジラとは違って知性と呼べる何かがあるのだ。


 変異と身体能力と知性の向上については因果関係ははっきりとはしていないが、特危獣に関して述べるなら明らかに身体能力の向上が見てとれる。


 特危獣駆除の専門家となりつつある藤堂に情報を伝える必要があり、また水棲型の特危獣の発見は時間の問題だったとは言え未知の発見である。


 そうなれば世界の物流が著しく制限される可能性は高い。大陸国家での問題は最小限になるだろうが、自給率の低い日本にとっては致命的な弱点になりかねないのだ。一般の船舶には特危獣に対抗できる武装はない。


 日本で言えば合法的に武器を所持できる人間は少数であり、民間船を自衛隊の護衛艦で護るのは現実的ではないのだ。民間船を護衛する戦力を抽出した分だけ日本の領海の守護が疎かになるなど政治家や自衛官でなくとも不味い問題だと理解できるだろう。


 海の戦いはほぼ終結していたが、空では未だに多くの戦闘機が飛び交っていた。特危獣の乱入もあって一時隊列を乱した自衛隊機であったが、今は編成を組み直し韓国機を撃墜も躊躇わない苛烈な攻撃を断行していた。


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 空野は時間の感覚が薄くなっていた。ロックオンされないために高速で機動しながらも細かく部下に命令を出して行く。電子戦を担当していた艦か戦闘機かは分からないが、電子戦を維持できるだけの余裕がなくなったという事は何かしらの損害を受けたのだろう。


 ロックオンの数秒で自身の命が決まってしまうともなれば油断は大敵であった。空幕の作戦指揮官も海自に艦の一部を間借りしていたが、命令は韓国機の撃墜の許可であった。


 特危獣は確かに脅威であったが、ミサイルでなくとも駆除できる種は多く、分類は未だに編集中であったが、ここにある確かな脅威である韓国軍を無視できる事は決してできなかったのだ。


 下からの攻撃は大きな水柱であった。移動しつつ戦闘していたために、飛行型特危獣を狙う攻撃が見えたのだ。鯨も鳥が嫌いなのかと思ったが、何故か自衛隊機が攻撃されていない不思議な状況に気付いてしまった。


 韓国機は容赦のない攻撃によって墜落しているのにも関わらずだ。敵性生物でないと判断するのはまだ早かったが部下には水面に近付かないことと特危獣・韓国機から距離をとって戦闘する様に命令するとともに他の編隊に対する警告を行った。


 空野の編隊に護衛艦への帰還命令が出て実質的な戦闘時間は一時間に満たない筈だが、生き延びた事を実感すると同時に行方不明となっている部下の捜索を空幕に対して上申した。


 日本が受けた損害は決して少ないとは言えない。戦闘停止に至ったのも艦対艦ミサイルが韓国の指揮戦闘艦を捉えて大破させたからである。再三に渡る自衛隊の呼び掛けを無視していた韓国軍は戦闘を続行させるかと思いきや停戦を提案してきた。


 戦闘艦を移動させることは出来ないが互いの救助活動については妨害を行わないという宣言の下に日本からは海野海将が韓国側からは(ゆん)の合同宣言が為され停戦にするに至った。


 日本の航空救難団は先ずは日本の自衛官の重症者をヘリで収容し、巡視船で用意された病院船での応急処置を行い始めた。


 病院船では施設が限定されるとはいえ手術も可能であるが負傷者が多い為に救える命の選別をしなくてはならなかった。


 治療に必要な薬品も血液も圧倒的に不足していた。生存が確認されていない戦闘機パイロットの捜索については韓国と協議しなくてはならない。


 両政府の行政の長の指示の下で戦闘停止は為されたが、戦闘に関する問題は解決しておらず寧ろこれからが交渉の本番であるはずだ。日本は既に安保理に対して既に不確かながら武装勢力との戦闘を報告していた。


 国会にも流された通り、韓国政府の関与は疑いの余地はなく、真意は不明だが日本は自衛のための戦闘を強いられる事になった。日本と韓国が戦争状態にあったのは公然の秘密であり、自衛のためとはいえ多くの命を奪った日本を中国は公然と批難した。


 一方アメリカは日本と韓国が戦闘状態になってしまった事に遺憾の意を表したが、それ以上のコメントは避けた。韓国がもし日本の国土に対して攻撃していれば、アメリカは日本と共同で軍事行動を起こすのは以前から宣言していた通りである。


 領土問題に介入しなくないと言うのがアメリカの本音であり、アメリカは既に沖縄を日本に返還しており、日米間に領土問題はない。ロシアは軍事演習中の軍に不用意に近付くことの代償を日本は払ったとしつつも韓国軍には救難チャンネルで勧告が行われていた事もあって日本に一方的に責任があるわけではないとコメントした。


 ロシアは不毛な戦争などしたくなかったのだ。日露戦争の事もあって日本を侮るのは痛い目にあう事を知っていた。


 仮想敵国アメリカの同盟国ではあるが、好戦的ではない敵と戦って疲弊するのは馬鹿らしく、中国のガス抜きの相手役となって貰わねばならぬ国が無くなると困るのはロシアなのだ。


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 藤家は韓国外交部との接触に成功したと倉橋外務大臣から報告が来ていたが、解決へのスタートラインに立っただけであり、戦闘行為の停止がゴールではない。


 韓国は日本を批判する声明を発表したが、国際社会の反応は冷淡であった。韓国も日本の国会で映像が流れたのは知っていた。


 そして(むん)は前大統領がしでかした真相も知っていた。だが、国としては認める訳には行かないのだ。


 藤家は韓国に対して大幅な譲歩をするつもりはないと言うよりも国民が譲歩を許さない状況まで韓国が自衛隊に攻撃した事によって陥ってしまったのだ。


 賠償問題で譲歩してしまえば藤家は国賊として最悪の形で名を残す事になるだろう。今回の戦闘によって日本が被った損害は一千億円を越えるだろう。護衛艦は安い物ではなく、戦闘機も高額だ。


 何より自衛官に支払う弔慰金や障害年金は一人辺りは安くとも塵が積もれば山となるのだ。そして、短期間とはいえ流通にも影響を及ぼしている。


 神田丸の船員たちも釈放されたという話は聞いておらず、韓国では日本人死刑囚が再審請求の最中で刑が執行されており、日本人の韓国に対する悪感情は嫌悪以上のものとなっていた。


 日本人が我慢強いと言っても限界はある。日本を攻撃しておいて、自分達が攻撃されると過去を持ち出して日本を批難する韓国に日本は呆れ果てていた。過ちを反省し償う必要があるのは日本も理解している。


 日本は他国から見ても十分な程に謝罪と賠償を韓国や中国に対して行ってきた筈だ。公式には日本と韓国の間には戦闘は無かった事になっている。韓国はあくまでも不慮の事故を主張しているからだ。


 物が壊れるくらいなら賠償のしようは幾らでもあるだろう。だが、今回は双方に多くの死者が出ており、取り返しのつかない重い障害を負った者もいる。


 韓国人よりも日本人が優先して救助されるのは当然であり、停戦ライン現場に近付ける船やヘリも限定されてしまう為に装備も人員も待機させていた日本でも救えない命があった事を報告書の中でしか藤家は知る事が出来ない。自衛隊の最高指揮者と言っても藤家は軍事に対しては疎い。


 防衛大臣も役職者として十分な知識があるかは疑問である。元自衛官が政治家となり大臣職を得られるほど活躍する。その可能性は零ではないだけであって限りなく低いのだ。


 その為の事務次官だが、彼らも身分上は自衛官であっても戦闘要員ではなく、あくまでもキャリア官僚なのだ。現場と上層部の認識がずれているなどよくあることであり、藤家は今回の件は政治的な失態であると認識していた。


 韓国がここまで横暴な態度に出れたのは日本が弱腰であったからだ。政治的な配慮は必要だが、増長するのは阻止しなくてはならなかったのを怠ったつけを払ったに過ぎないのだ。


 ネット上では韓国を徹底的に叩く事によって日本が軍事大国である事を周辺国家に対して認識させるべきだと主張する者もいたが顔の見えないネットでは幾らでも主張できる国会の証人喚問に応じると言うのなら話は別だろうが、実際に戦わずに口だけ出す輩の意見は一考の価値も無かった。


 日本はこれ以上の戦闘に耐えられる余裕がどこにあるのだ。自衛官の多くは生産人口であり、防衛と言った無生産に思える仕事でも給与を得て消費する経済の潤滑油としての役割を担う世代が多く含まれている。


 ただでさえ日本は多くの高齢者を抱えており、高齢者が高齢者を介護している様な状況で未来は決して明るいとは断言できないのだ。高齢者を戦場に連れていっても役にはたたないし、統率を乱すだけである。


 身体能力が落ちずに生産性を維持出来るのであれば光明になるだろうが現実はそこまで甘くはない。子供を育てるのにもお金はかかる。現状の特殊出生率では人口を維持する事すら難しい。


 親や祖父の世代であれば四人兄弟・姉妹であっても珍しくはないが今は二人以上の子供を養育する余裕はなく、一部の例外を除いて核家族化が進んでいるのが日本の現実だった。


 中国の様に人口が多すぎて抑制するための政策を採用しなくてはならないのは日本にとっては羨ましいことである。人口が重要なのではなく、構成が重要なのだ。


 若い世代が多いと言うことは成長の余地を多く残しているという事であり、国民の高齢化は国家にとって様々な弊害を呼ぶのだ。日本の政治が若者を軽視していると言うのも高齢者が持つ票は多く、若者が選挙に行かないからでもある。


 若者の投票率が幾ら高くとも高齢者の投票率を上回らない限りは後回しにされても仕方がないのだ。民意を実行する立場の政治家もより多くの幸福を追求するためには切り捨てざるおえないのだ。日本人の多くが韓国との戦争に賛同しても憲法が許さないだろう。


 憲法解釈の余地は多く、法律の硬直化は司法関係者に歓迎はされないが余地が広すぎるのもまた弊害が大きいのだ。政府見解として自衛権を否定するものでないとされているが、最高裁判所は司法判断を出したがらない。


 闘争を解決手段の一つが話し合いであり裁判である。公平な裁判を受けるのは国民の権利の一つであり、義務でもある。


 陪審員制度を参考にした日本の裁判員制度が民意を司法にどのくらい反映しているかは疑問であったが、判例と国民感覚に差異があるのも事実であった。


 死刑に反対する先進国が多い中で日本は死刑の廃止をしていない国である。死刑の犯罪抑止論は話すと長くなるために割愛するが、国家犯罪を裁く場として安保理が役に立っているかは藤家にとって疑問でしかなかった。


 だが、国際協調が求められ、世界で孤立して国家運営ができるほど日本の基盤は強くないのだ。日本国民にとって国連が出す妥協案は到底呑めるものではないだろう。


 精密機械の部品の輸出を制限することによって韓国経済に打撃を与える事は可能だが、日本一国の経済制裁はやらないよりはましと言うだけで効果を見込むのは夢想家がすることである。


 韓国の大企業に出資している投資家に配慮して先進国各国は賠償責任は認めるが韓国経済を破綻させないだけの範囲に留まると藤家は予測していた。それでは意味がないのだ。国民の血を流して得られたのが僅かな賠償金だけで誰が納得するのだ。


 日本が主導した戦争において想定より益がなかったと騒いでいるのではないのだ。貧した国家が博打を行い被った損害を正当に主張していてもこの有り様なのだ。


 第二次世界大戦で構築された秩序の限界と言えばそこまでだが、新たな秩序を構築するための戦争を日本はする気はないし、例えあったとしても日本の台頭を許すほど世界は甘くはないだろう。


 切り札とも為り得る特危獣ワクチンに公費を投資するのもワクチンを開発した国がどんな要求を我が国に突きつけてくるか分からないからでもある。


 無人兵器でも特危獣を駆除することは可能だろう。アメリカも既に軍事作戦に投入しており、一定の成果と信頼性を得ているのは事実である。


 AIが人類の知性を超え、人から職を奪うのもそう遠くはない未来だと予測されているが、特危獣はそれよりも差し迫った脅威であり、日本は隣国とこれからも近所付き合いをしていかなくてはならないのだ。


 日本が自衛隊と言う盾を失えば国土だけでなく国民が蹂躙されるだろう。戦闘区域以外にも日本は目を光らせていたが、中国の空母が日本の海域において軍事演習を行うとの発表が正式にされたのだ。


 日本本土を占領するためには中国でも多大な犠牲を支払わなくてはならないが、本土から離れた離島であればリスクを最小限に最大のリターンが見込めると判断したのだろう。韓国は日本を攻撃して痛い目にあったが、軍事大国である中国であれば確実な成果が得られると党は判断したのだろうか。


 中国は忘れてはならない。韓国は希望的観測によって行動し、窮地に立たされていることに。日本は継続して行ってきた日本の領海で活動する船舶に対する臨検を緩めてはいない。


 副次的な成果ではあったが、北朝鮮製らしい麻薬の取引現場を押さえており、麻薬の末端価格は三百億円を上回る稀に見る検挙劇となったのは警察・海保関係者だけでなく国民の記憶にも新しいだろう。


 麻薬で得た資金は核ミサイルの開発費用に転用されていると思われ、依存性の高い麻薬は一時的には快楽を与えるかも知れないが、国家にとっては害悪でしかない。


 近年のパチンコの規制も依存性を問題視しているが、それ以上に朝鮮半島への資金の流出を問題視しているとの噂もある。


 過去に自殺者を出す程の射幸性の高いギャンブルは確かに問題であったが、カジノ法案が成立されるまで競馬や競艇・競輪と同じ様に国が認めたギャンブルであったはずだ。


 パチンコは例外で三店方式を利用したグレーゾーンではあったが、検定を通過し警察の許可を得て営業していた。パチンコが駄目ならソープも摘発しなくてはならないが、五輪などの国家の威信をかけた一大イベントでもない限りは黙認されてきたのだ。


 行き過ぎた店には当然、捜査を行った上で摘発してきたが、大きくなり過ぎた市場を無くすのも弊害が大きいのである。カジノ法案は治安の悪化を招くが、経済効果は大きい。利権が絡めば政治家だけでなく、非合法なヤクザも動き出すだろう。


 日本のヤクザの抗争は落ち着いては来ていたが、それでも警察関係者の頭痛の種であり、警察にとっては特危獣の駆除よりも治安維持が優先されるために国民の武装を制限するためには警察や自衛隊に負担が行くのは仕方がないことでもある。


 だが、自衛隊の本分は国防である。特危獣から国民を護るのは逸脱した行動とまでは言えないが、負担を強いるのは事実である。銃刀法の改正も検討されたが、国民が危険を冒してまで特危獣と対峙する必要はなく、国民の武装化の方が問題視された為に現行法のまま施行されている。


 考えたくもないことだが、軍によって駆除できない個体が出現しないとは誰にも断言はできない。藤家に未だ報告はされていなかったが、白鯨は明らかに分隊級以上の脅威であり、自衛隊からしてみれば韓国艦隊以上の脅威であった。


 命令があれば戦うしかないが、ミサイルが有効かも分からない敵と戦うのは無謀でしかない。核によって殲滅できても不毛の大地が拡がってしまえば、限られた安全な土地を巡って人類は際限ない戦いへと身を投じるだろう。


 韓国と全面戦争になっても日本が負けるとは思わないが、受ける被害が大き過ぎる。対馬の国民を避難させるのは現実的でなく、一度でも韓国空軍の爆撃を許してしまえば日本は敗北したのと同義であったからだ。


 自衛官が殉職するのと国民が死傷するのは別問題であった。国の為に殉職した自衛官達を藤家は忘れる事は出来ないだろう。自衛官に国民を護る為に死ねと命じなくてはならない立場にある藤家は義務と共に責任を手放す事はできないのだ。


 自分が内閣総理大臣の時に限って何故にこんなにも国家を揺るがす大事件が起こるのだと信じてもいない神を恨んだ事もあったが、日本にとって変革期であると同時に人類にとっても大きな転換期であることを感じずにはいられなかった。


 自衛隊は責務を犠牲を出しながらも達成した。そうであるのなら藤家もまた政治家として困難に立ち向かい壁を乗り越えなくてはならない。


 休会となった国会も明日になれば再開される。日本は一丸となって国難に立ち向かわなくてはならないが、それも難しい事は理解していた。


 国民が自衛隊に好意的になっているのは事実だが、日本の軍事アレルギーは根強い。藤家内閣も国民の理解と支持を得てはいるがそれも絶対ではないのだ。数は力であり、たまたま現政権が権力を握っているに過ぎないのだ。


 他国の介入以前に民意に気を払わなくてはならない。失敗すれば個人の失敗に留まらず日本の命運をかけた戦いは既に始まってしまっているのだ。盟友アメリカを始めとした常任理事国が世界の運命を握っている。


 アメリカが現状の秩序を維持するために流した血は多く日本はアメリカに頼る事の危険性を理解していた。核の傘は現状では有効であり、技術革新が起きない限りは世界情勢に変化は起きにくいだろう。


 日本は韓国を打ちのめしたが、立ち直れないほどではない。藤家は精力的に政務にとりかかっていたが、比例するかの様に体調が悪化していた。

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