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二十話

 空野は無意識の内に強く操縦棹を握り締めていた。機影は日本の航空機でないことは確実だった。防衛省は国土交通省に対して当該空域への立ち入りを禁止する措置を通達した。


 藤家も経済的損失が出る事を承知した上で内閣で承認した。人の命には代えられないのだ。このまま直進すれば、日本の領空へと侵入する。日本が設定した防空識別圏に近い航空機に対して勧告をしている余裕は本来ならない。


 武装した戦闘機を領空に近付けさせる訳にはいかない。例え本来の任務であれば自衛官に犠牲が出なければ反撃する事が出来ないとしても。


 例え撃つ命令をした者が法律違反となり、厳罰に処される事態になったとしても警告はしなくてはならないのだ。救難チャンネルで呼び掛けるのは慣れた手順だった。


「こちら日本航空自衛隊。貴機は許可なく、日本の領空に接近している。転針されたし。繰り返す・・・」


 返信はなく、突如として警報が鳴った。ミサイル照準のレーダーに照射されたということだ。完全にロックオンされた訳ではなく、敵機も完全に捉えようと機動していた。


 空野は編隊へ散開を命じた。撃墜されない為には止まる事はできない。空野は外国語に精通していない。必要最低限の英語は喋れるが、航空管制に必要なものでしかなく、敢えて日本語で通信している。


 どうせ、相手は聞くつもりはないのだ。ミサイルの安全装置を外す。撃墜は死へ一直線である。高度が高いほどに衝撃は強くなる。


 水も高ければ墜落した時の衝撃はコンクリートと同等の強度になるために、飛行機が不時着しなくてはならない状態になった時に胴体着陸はリスクが高いのだ。


 エンジンの不調でも簡単に墜落する。ミサイルが直撃すれば機体が無事で済む筈がない。チャフやフレアがあっても確実には回避出来ないのだ。一度、レーダーを照射される必要があったとは言え気持ちの良いものではない。


 自分が撃たれる可能性があったという事は死ぬかも知れなかったのだ。訓練をしていても事故は必ず起こる。人為的に起こるミスは決して無くなることはない。まして友軍との訓練でなく、実戦だった。


「アルファワンより全機。防衛行動に移行する」


 重力が体を締め付ける。ブラックアウトする様な無様な真似はしないが、戦闘速度で飛び続けるのは体を酷使する行為だ。全身筋肉痛で済むのであればまだ良い。


 雲野も何とか脱落することなく着いてきている様だ。敵機を照準に収めようと行われる高速の鬼ごっこ中に乱入者が現れるまでは両者共に撃墜数ゼロだった。兵長級の特危獣【ビックバード】は雲野機に体当りし、操縦できなくなった雲野は緊急脱出した。


 コックピットが開き操縦席が射出された。報告を求めたが、雲野は必要最小限のザバイバルキットだけを持って勢いは減退したとはいえ水面へと叩き付けられた様だ。単純に比べる事は出来ないが、遭難の場合には海の方が危険である。


 山であれば飲料水や食糧を手に入れられる可能性はあるが、海ではまず水が手に入らない。下は海水であり、容赦なく体温を奪うのだ。魚が体を啄くのは遭難者の希望を奪っていく。


 サメなどの強力な肉食獣が現れようものなら無神教者すら神に祈りたくなるだろう。メディックであったとしても雲野を救うのにはリスクが高いとしか言えないのだ。他者の為に命を懸ける彼等は救いの神である。


 藁をも掴む気持ちで最後に縋るのが空自の航空救難団であった。パイロットスーツに付けられたGPSによって捕促はしているはずだ。韓国空軍と協力して特危獣の駆除にあたる事は不可能だ。


 停戦を決めるのは現場レベルで判断できる事ではない。レーダーと妨害電波が飛び交う戦闘空域では斑鳩(いかるが)に連絡することも難しい。


「アンノウンとの接触。等級は不明。アルファファイブが墜落した。アルファスリー、アルファフォーは空域から離脱して報告しろ。残りは所属不明機を牽制しつつも特危獣の情報を収集せよ」


 出撃前から既に韓国空軍の撃墜は許可されていた。韓国空軍だと推定はしているが、艦隊も未だに所属不明扱いなのだ。政治的に必要だと藤家が判断したのだ。


 現場の判断で覆す訳には行かないのだ。協定によって領空・領海外の特危獣を駆除すること自体には問題はない。軍隊を向けることは軍事的緊張を招くが、相互理解を求める事が必要なのだ。


 空野はロックオンしてミサイルを発射した。ミサイルは特危獣を狙ったものだったが、機動上に韓国機が入り命中。パイロットと共に機は墜落した。


 元々、韓国空軍は特危獣よりも執拗に自衛隊機を狙っていたが、仲間が撃墜されたとあっては引く訳にはいかなかった。


 空対空ミサイルであれば兵長級を駆除できるのは経験上、確かな事であり、情報の共有が為されていた。アクセスレベルも兵士級であれば一般隊員でも閲覧は可能なのだ。


 兵長級になれば基本的には班以上で駆除することが内規で決まっているために曹以上の階級があれば閲覧が許可される。図らずとも韓国機を撃墜してしまった空野は報告書を作成する際に特記事項として韓国兵を殺害してしまった可能性を記入しなくてはならない。


 だが、今は殺人を悩むよりは自分が生き残る事が大切であり、部下の命と比べれば敵兵の命は軽くなるのだ。


「管制より・・・アルファワン。・・・現状を報告せよ」


 雲野の識別信号が途絶えた事により、指揮所も異常事態を知った。無線が不調であり途切れてはいたが、最悪を想定して動かない軍人は無能であり、仲間を殺す前に殺した方がましであるために指揮官には無能はいない事になっている。


 想定通りにいかない事など指揮所も理解していたが、それでも現状を把握するのは責務であった。部下を仲間を戦場に送り出した以上は無事に帰還させることが上官の義務であり、少なくない死傷者が出ているためにこれ以上の損失は歓迎されるものでは無かったのだ。


「現場空域に特危獣が乱入した。アルファファイブはアンノウンによって撃墜され。三つ巴の戦闘が継続中。対応を請う」


 無線を無事に受け取ったかは分からないが、編隊長である空野が決断しなくてはならない。特危獣だけを狙い続けるのにも限界があり、損害はこれからも出続けるだろう。


 搭載したミサイルが無くなれば撤退するしかないが、本土からの部隊に引き継ぐまでは空域を離れる事は出来ない。韓国艦隊が日本の護衛艦によって無力化されつつある今は艦対空ミサイルは飛んできていないが、韓国艦隊に援軍が無いとも言い切れない。


 講和の糸口を見つける頃には両軍の死体の山が築かれているだろう。そして空野は眼下で動く巨大な影に気付いていなかった。


 ----


「一度、体制を調えるべきです。韓国艦隊は無力化されつつあり、今なら後退は可能です」


「所属不明艦と言え、政府も批難表明を行ったが、断定された訳ではない。そしてどの様な言い訳が聞けるのかは分からないが、戦闘は継続中だ。こちらの呼び掛けに応じない者に対しては対処が限定される。つけ込まれる隙になりかねないぞ」


 木野は艦隊の後退を進言していた。日本の体質では敵を幾ら撃破したことよりも味方に損害がない事が重視されるのだ。だが、海野は却下せざるおえない。


 水際で阻止しなくては国民に被害が出る。そうなれば二国間での問題では済まずにアメリカも集団的自衛権を行使せざるおえない状況へと陥る可能性は決して低くはない。


 在日米軍のある土地を狙うとは考えにくいが、日本としても同盟国であっても借りを作るのは良しとしないのだ。高射群の出番があると言うことは既に取り返しのつかない時点を越えてしまった事を意味する。


 自衛官に死傷者が出ており、漁協関係者も行方不明と不当に拘束されているが、本土が攻撃可能ともなれば一億を超える人質を与えるのと同意なのだ。艦対艦ミサイルには余裕はないが、艦対空ミサイルについては未だ余裕がある。


 領海ギリギリで待機している艦にも薬だけでなく弾薬が積まれている。自衛隊の武器弾薬庫からかき集めたそれらの武器は潤沢とは言えないが、日本を護る盾であり剣なのだ。


 自衛隊は侵略者を撃退する能力と意思があるのだと示さなくてはならない。自衛隊が護るのは国民の命や財産だけではない未来を護る義務があるのだ。


 ダメージコントロールを終え沈む事を免れたが、戦闘は不可能な艦は多い。自衛権の行使が藤家によって許可される迄に出た損害はあまりに大き過ぎた。辛うじて浮いているだけであって本来であれば総員退避命令が出ていても不思議ではない艦もあり、護衛艦には医官を乗せない方針が採られた為に今の内に戦闘に耐えられない艦だけでも下げるべきだと木野は進言したのだ。


 海保の巡視船が戦闘海域に入るのには勇気を通り越して無謀でしか無かったが、後方待機となっているメディックからは命に関わる重傷者の回収任務に志願する声が後を絶たなかった。


 彼等は消防や海保のレスキューが救助が困難だと判断された場合でも出動する全天候対応型の救助の特殊部隊だ。他者のために命をかける彼等の訓練が優しいものである筈がなく、自衛隊でも一・二を争う訓練の厳しさで有名なのだ。


 特殊部隊員になれる可能性は限り無く低い。一度でも適性なしと判断されれば他の特殊部隊で採用される事はなく、日本の精鋭中の精鋭であるレンジャー徽章保有者であってもなれるとは限らないのだ。


「海野海将。それならば自力で下がれない重傷者に対する救助だけでも認めて頂きたい。命を賭して闘った自衛官には適切な治療を受ける権利があるはずです。メディックは出動命令を待っています。彼等に仲間を救う機会を与えて下さい」


「分かった。私から幕僚長に進言する。応急手当てだけでは限界があるのは承知しているが、戦闘空域が近い。その間に救えるだけしか許可は出来ない」


「有り難うございます」


 海野の許可を取りつけて木野は旗艦として全艦に重傷者の後送の為の準備を命令した。遺族には申し訳ないが、蘇生が見込めない医師によって死亡確認にされていないだけの隊員はボディパックに入れられ、艦から直ぐに移送できる様に準備はされていたが、生存者を優先するしか無かった。


 海保の巡視船が待機している日本の領海まで辿り着けば後は本人の生命力次第である。日本の自衛隊・警察・国立病院では受け入れ態勢が出来ており、後方待機組にはドクターヘリも用意されているのだ。


「報告。未確認の生命体が当海域に急速接近中。水棲型特危獣だと推測されます」


 第一報を入れたのはきりみね型潜水艦であった。核不搭載型としては世界に誇れる戦闘継続力を持ち日本の技術力の塊とも言えるのだ。韓国潜水艦を沈める事に成功し、自衛隊の潜水艦には被害は無かった。


 攻撃すれば当然、敵に居場所を察知される可能性は高くなるが静音性においても優れた潜水艦であるのだ。韓国の兵器はアメリカ軍の物が多いが、自国で開発された兵器もある。


 だが、韓国の技術力は決して高いとは言えず世界に誇れる傑作機は皆無である。装備の共食いなどまともな軍隊であれば起こらない。


 他国のライセンス契約を結んだ兵器であったとしても良好な関係と一定数以上を調達する契約すればライセンスを持つ国よりは調達コストは高くなるがパーツを調達することも不可能ではないからだ。


 韓国は政治的にも孤立無援となりつつあるが、神原島の疑惑が拍車をかけたのだ。国際社会から除け者にされても自国内の問題を解決しなくては韓国には未来はない。


 韓国内向けには日本に強硬姿勢をとるしかなく、一定の成果はあったが、致命的な失策であったと知った時には全てが手遅れであるのだ。韓国軍は(ちぇ)の目付け役として優秀な副官を派遣した事で義務は果たしたと考えていたのだ。


 不慮の事故による攻撃だとしても攻撃した事実は国内を纏めるには十分なものであった筈だ。韓国にとって不運であったのは標的艦と誤認していたのもそうだが、攻撃を続行したことであった。


 大統領令では、自衛隊からの警告があった時点で戦闘の停止。後の解決は政治的決着をする。韓国が強硬な姿勢を示し日本に譲歩を迫る。誤認し攻撃した事によって謝罪は必要となるかも知れないが、日本側も韓国が演習海域に設定した場所に不用意に近づいたのだ。


 責任が皆無であるとは言えない。そうなる予定であった。現場指揮を崔に任せたのがそもそもの間違いであり、軍令に従わない高級士官がいるなど先進国でなくともあるまじき事態である。


 日本は戦後、財閥を解体しており、もし特権意識に囚われた人間が自衛隊の指揮を執るとなれば同じ様な失態を犯していたかも知れないのだ。自衛官に求められるのはまず生き残ることだった。


 無理をして敵を撃退しました。でも、部隊も壊滅しましたでは話にならないのだ。空野は部下達が少しずつではあるが堕とされていても劇的に改善する策を提示することはできなかった。


 志願したとはいえ撃墜された部下達が生き残れる可能性は低かった。脱出できなかった部下については生存を諦めなくてはならない。幕僚長達も退任へと追い込まれるだろう。現場指揮を執った木野や空野でさえ生き残れても自衛隊に残れるかは別問題なのだ。


 誰かが死傷者に対して責任をとらなくてはならないのだ。飛行型特危獣が現れても特危獣対策警備隊が出動することはないだろう。陸上型に対して特化しており、飛行型は空自や高射隊が対応するしかないからだ。海自の護衛艦に乗艦してもできるのは一般隊員と変わらないだろう。


 寧ろ移動が制限され経験を積んだ精鋭達が失われる方が日本にとって大きな損害となるだろう。戦闘機動をしている事で体が痛むが、生きているからこそ痛みを感じる事ができるのだ。


 そして、下から何かが上がってくる感覚がした後に後方から爆発音がした。高速で移動していた為に回避できたが、それは運が良かっただけだ。数秒タイミングがずれるだけで死亡していたのは自分だったかも知れないと空野は思い部下に警告を発した。


「下からも攻撃されている。攻撃源は不明だが、ミサイルではない。眼下にも注意しろ」


 そう巨大な影を持つ何かは自身のテリトリーを荒らされてとても攻撃的になっていたのだ。


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 私が自意識を明確に持ち始めたのはいつ頃だろうか。以前の自分とは全くの別の生物になった事を本能で理解した。仲間だと思っていた気の良い者達も私と同じ様に変異した者を除いて離れていった。


 海には危険が多く、生まれた時から弱肉強食の環境に置かれれば離れていった者達を批難することは難しい。元仲間を喰わないだけの理性を獲得していたが、それを理解しろと言うのも無理な話なのだ。


 海の覇者となった私はテリトリーに侵入した敵は追い出すが、同族を襲う事はない。元仲間達も同族であり、強くなった私には彼等を敵から護る義務さえあると思い始めていた。


 水上を我が物顔で移動する生物には変異した今でも極力は接触しない様にしている。幼き頃に兄弟が捕らわれて帰って来なかった。仲間も何名か捕らわれてそのまま戻って来なかった過去が戒めとなっていたのだ。


 それは人類にとって幸運だったし、お互いのためでもあった。自然界には自然界のルールが存在し、時には人類にもその脅威は振るわれるのだ。


 水棲型特危獣【白鯨】は旅団級に分類はされたが、個体の個性なのか。種族としての特性なのか特危獣としては異質な存在であった。


 日本近海を統べる王となりつつあり、それ以上はテリトリーを拡げるつもりはないのか、同族の変異種を眷属として海域を支配していた。


 大きさはそのまま力となる。中には象を倒す蟻も存在するが、それは一部の例外だけである。変異したことで知能だけでなく、体も大きくなり、皮膚も堅くなった。幾ら騒音を撒き散らす存在であっても普段であれば見逃していた。


 だが、数少ない仲間達が脅威に晒され子を妊娠した妻を護るのは父親としての義務であった。通常の水棲生物であれば私の敵ではなかったが、同じ様に変異したサメなど同族達では抗うのが難しい敵もまだいる。


 私は若い時に群れから離れたはぐれでもあった。世界は広く多くの生物が暮らしていると言うのに一部の地域に留まる事を信じられない行いだと確信していたのだ。


 若さ故の過ちであり、私は多くの敵と戦いながら終の住処としてここを選んだのだ。私の同族を見つけるのは困難になりつつあった。世界を旅すればまた違ったのかも知れないが、近年では仲間に出会う機会は少なくなっていたのだ。


 群れで移動していたのも数年だけに思えたが、繁殖期に群れを為してある程度の子育てが終われば後は各自で生活するものだと大人になって知った。私達には遠距離を通話できるだけの能力があった。


 大人になってしまえば天敵と言える存在は少なく、私の同族は海の覇者であった。ヒトと呼ばれる者達によって仲間は捕らわれていたのだと知ったが、ヒトは私達が極端に数が減った事によって協定を結んで捕獲を制限しているらしい。


 変異前は理解できなかったが、水上や水中を移動するヒトが乗るフネなるものは様々な情報をやり取りしていた。ここがニホンと呼ばれるクニの近くであり、ニホンはチュウゴクやロシアといった存在を警戒しているらしい。


 ここ最近では、カンコクと呼ばれるクニに特に過激な行動をしていたが、ヒトは水中を移動できる手段はあまり多くないらしい。私達は当然の様に水中で息をし、生きるのに必要な分だけの食事をする。


 同族で争う事もあるが、積極的に殺し合うほど殺伐とした関係ではない。だが、ヒトは違うらしい。クニ同士で争いがあり、それは私達にもあったが本格的な殺し合いもするらしい。チジョウなる場所にヒトは住みクニと言う大きな群れで生活している。


 ヒトは単一な種族ではないらしく、情報収集の為に観察していたが、話す言葉もクニ毎に異なるらしい。まだヒトなる生物を観察し始めてから多くの時間が経過していない為に言葉については不明な部分が多いが、ニホンはクニを為すヒトの中では温厚な種族らしいのだ。


 爆音が水中に響き渡る前にニホンはカンコクに警告らしき言葉を発していた。中には別のクニに対しての言葉もあるみたいだが、ヒトとの完全なコミュニケーションは現時点では不可能である。


 同じ水中に住む者同士でも完全なコミュニケーションは出来ず、私に挑んでくる生物も少数ではあるが存在している。ヒトと争えば幾ら海の覇者である私でも被害なしで居られる保証はない。


 窓口となるクニはニホン以外には考えられず、他地域を支配している同族の話ではアメリカなるクニとチュウゴクには注意が必要らしい。アメリカと言うクニは一部地域ではニホンのフネを追い回しているらしい。チュウゴクは他種族が絶滅する勢いで乱獲を行い、私達の住む環境を破壊していくならず者であった。


 危険ではあるが、私はヒトに脅威であると思われなくてはならなかった。同族を護るためには迂濶に手を出せない存在になるしかなく、そうやって私はこの海を支配してきた。


 ヒトが気付かなかっただけで海の覇権争いは行われていた。ヒトを襲っても生き延びるだけの知性を獲得した者は私以外には存在せず、私以外の他の海を支配した同族はヒトと接触する気はないみたいであった。


 だが、私はヒトに興味を持ってしまった。友好的な接触の機会は失われてしまったが、ヒトに接触することにしたのだ。当然、相手として選んだのはニホンである。私に攻撃を仕掛けてきたヒトが乗るフネには沈んでもらった。


 騒音を撒き散らすソラを飛ぶフネにも水を吹き掛ける事によって沈んで貰った。ヒトが私の言葉を理解できるかは分からないが、私の支配海域をこれ以上は荒らさせない為に必要なことであった。

読みにくいですが白鯨が電波によって得た情報はカタカタ表記にしています。

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