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【長編連載中】クソスキルのせいでハードモードでニューゲームしたref 〜人生はクソゲーの連続だ!〜  作者: 九楽
第三章 麗しのエルフ王国編

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第七十一話

「…でも、なにか他に方法があるかもしれない」

「そんなのないわよ! …もし、方法があるとすれば私の魂と身体に直接触れてリカバリーを使えばできるかもしれないけれど…。そもそも幽霊になんて触れられないし、そんな達人クラスのリカバリーができる神族なんて生きていない。……もう全員殺されちゃったのよ!」

「…リカバリーなら一応できるけど君に触れることはできないみたいだ。…少し相談してくるよ」

 念の為に僕は透けた彼女の身体に触れようとしてみたが、スッと通り過ぎてしまう。幽霊に触るなんてことは、雲を掴むような話なのかもしれない。

「ちょっと待って! あなた、リカバリー使えるの!? 神族なの? 何段階まで使えるの!?」

「いや、神族じゃないんだけど…。…使えるんだ。一応、リカバリースリー…。…三段階目まで使える…はず……。使ったことないけど…」

「…信じられない。でも、よくよく考えれば幽霊になれる人間なんて今まで聞いたことないし…。…一体何者なの?」

「まぁ、話せば長い話になるんだけど…。まあ、神の使いかな…」

「…勇者の末裔とかではなくて、神の力を与えられた本物の勇者ってこと?」

「一応…そういうことになるかな…」

「どっ、どういう事…。もう…頭パンクしそう…。頭ないけど…。…って、あれ!?」

 シルフィーは驚いた声をだして、シオンさんの所に移動し顔をまじまじとみていた。シルフィーはぐるぐると体を回転させながら、悩んだ声をあげている。

「…どうしたの? …シオンさんがどうかした?」

「……シオン!? …この子、シオンなの!? 確かに面影があるわ…。生きていたのね…。本当によかった…。涙でそうよ…。でないけど…」

「知り合いなんでしょ?」

「ええ…。この子を逃がす為に、私達のパーティーは戦ったの…」

 …この子を逃がす為? …どういう意味だ?

「…勇者のパーティーがシオンさんを助けたってことか?」

「違うわよ。…やつらは私が珍しいリカバリーを使えるから、勘違いして私を消しにきたけど…。私はそもそもエルフとのクォーターだから違うわ…」

「……」

「この子こそ…神族の王の子…。正統な勇者の末裔…。つまり、勇者なの……」

「…えええっ!? …シッ、シオンさんが勇者!? …えっ、ちょっ、ちょっと待ってくれ。…魔王から逃げる為にきたってこと?」

 いや…そうか…。そうだったのか…。

 僕は王道RPGのやりすぎで盛大な勘違いをしていた。つまり、勇者のパーティーは魔王を倒す為にエルフの王国にきたんじゃなくて、魔王から逃げできたのだ。

「ええ…。恥ずかしい話だけどそうね…。ただ、あんな化物相手に勝てる奴がいるなんて思えないけど…」

 シルフィーは身体を震わせていた。よほどひどい記憶のようだ。

「…そんなに強いのか?」

「…正真正銘の化物よ。あいつは…倒した敵を吸収するの。初めは気持ちの悪い…ただの醜い化物だった。でも…神族を一人殺すたびに醜い化物は人間に近づいていったわ。…そして、同時に神族の強さも吸収していった」

 まさか…僕と同じスキルを持っているのか? だとしたら…。

「…一体…何人殺したんだ?」

 僕は恐る恐る尋ねた。シルフィーは目線を下に落とし、顔を横に振りながら答えた。

「わからないわ…。私達は逃げるので必死で…。ただ、当時神族は末端まで入れると百万人くらいいたといわれてるわ。平均ステータスはHPだけでいえば一万程度っていうところかしら…。その内、数の多い竜族に九割やられていたとしても…」

 十万かける一万は…。…いくらだ?

「…十億? そっ、そんな馬鹿みたいな数字…。…計算間違いか?」

「いえ…あってるわ。ただ、魔王は値踏みするように神族を殺していったから、実際にはそこまではないかもしれないけれど…。最低でもHP一億はあるかもしれない…」

 HP一億…。恐ろしい化け物だな…。僕の一千万超えのHPが可愛く思えてきたぞ…。

「…よくそんな化け物から、シオンさんを守りながら逃げ切れたね」

「ええ…。まあ、シオンの顔が広まってなかったから、助かったのかもしれないわね」

 シルフィーは右手をシオンさんの頬に嬉しそうに置いた。シオンさんを見ると当たり前だが、なにも表情も変わらない。

「…そうなの?」

「ええ…。宗教的な理由でね。神族の王の子は成人するまで、民衆に絶対に顔を見せないの…。…なぜかわかる?」

「うーん。…全然わかんない」

「答えはね…。神様だから…。つまり、人間じゃないから、最初は現世には存在してないってことね。そういう設定なのよ…。…面倒くさいわよね」

「…設定って……」

「成人したら顔を見せるの…。現世に現れた神…勇者としてね。…っていっても、お世話係の私は知ってたんだけどね。まあ…本当の名前までは知らないんだけど…」

「…本当の名前? …ってことは…シオンさんって名前は偽名ってこと?」

「ええ…私がつけたの…。人の名前にも使われるような花の名前をね…。もしバレても…これならギリ…誤魔化せるわって…。…花言葉まで調べさせられたのよ…。このことを知ってるのは勇者のパーティーくらいかしら…」

「…どういうこと?」

「…この子が名前をいえって、本当の名前を教えようとするのよ…。…大体…知るだけでもアウトなのに、呼んだのを誰かに見られたら、確実にアウトよ、アウト! 途中から、私が困るのを面白がってたけど…」

「…イタズラっ子のシオンさんなんて、想像つかないな……」

「そう…? 結構…イタズラ好きよ…この子……。全く…苦労させられたわ…。はぁ…懐かしいわね……」

「そっか……」

「……」

「……じゃあ、話も終わったみたいだし、そろそろ戻るよ…」


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