第百三十八話
「さて…どうするかな…」
さっさと設備を破壊をしたいけど…。やっぱり、魔法が使えないことを先に調べないといけないな…。神様のバッグに入ってるネズミの尻尾も取りだせないし…。
「はぁ…。時間ももったいないし、さっきいってたやつに会ってみるか…。…そういえば、ポケットはどこだ?」
胸ポケットがあった辺りを触ってみたが、透明になっているせいでポケットの場所がわからなかった。
「くそー…。服だけ透明にならないのかな…」
僕が何気なくそうつぶやくと、服が透けていき胸のあたりに薬が浮かびあがった。
「すごいな…。この服…」
僕は感心しながら、ポケットから赤い薬を取り出し飲み込んだ。目線がだんだんと下がっていき、肌も日焼けしたくらいに黒くなっていった。
「ごくっ…。…ん? すっ、すごいな…。小さくなってる…。…しまった。服がブカブカだな」
僕はドワーフ達の後についていこうとすると、あることに気がついた。神様からもらった服がブカブカで歩くのも難しい感じになっていったのだ。
「小さくならないかな…。仕方ない…。少し腕まくりでもして…」
僕が諦めていると服が勝手に引き締まっていき、ちょうどいいサイズになった。
「…すごい機能だな」
…でも、なんで魔法が使えるんだ?
少し考えてみたがわからない。試しにファイアーボールを使ってみたが、やはり使えなかった。
「うーん…」
…もしかすると、神様の装備は使えるのか? いや、バッグが使えなかったのにそんなことはないか…。どういうことなんだろう…。
「…まぁ時間もないし、街に入ってみるか」
僕は辺りに兵士やモンスターがいないか警戒しながら草むらを歩いていった。草むらを抜けると、ピカピカと妙な光が光っている場所が目についた。さっきのドワーフ達か入った村の入口のようだ。
「ついたな…」
街の入口につくと特に兵士たちの姿もなく、代わりに『ようこそカジノへ』と電光掲示板のようなものが書かれていた。
「意外だな…」
ドワーフといえば、真面目でモクモクと作業しているイメージがあったから、こんな施設があるなんて思わなかったな。いや、真面目だからこそこういうのにハマってしまうのかもしれない。そんなことを思っていると周囲が僕に視線を向けていることに気付いた。
「…ん?」
…どうしたんだ? …みんな、僕の方を見てる。まさか…うまく変身ができてないのか?
「お兄さん…カッコいいですね…。おひとりですか?」
「…はい?」
僕は顔を下げながら前へ進むと一人のうさぎ姿の女の子が声をかけてきた。その途端に入口にいた他の女の子達がぞろぞろと集まってきて僕はもみくちゃにされた。
「ちょっ…。ちょっと、はっ、はなし…」
「嫌がってるでしょ? 離しなさいよ!」
「あんたでしょ!? 嫌がられてるのは!」
「さっさとどきなさいよ!」
「おいっ、お前たちなにをしてる!?」
「…なっ!? …ちょっとごめん!」
…まずい! 兵士たちがきた。
僕は焦って女の子達をなんとか振り払い、路地裏に逃げ切ることができた。辺りは人の気配もなく、缶がコロコロと転がっている。
「…とりあえず逃げ切れたな」
でも、あの子達どうしたんだろう。急に目の色を変えて…。確か僕のことカッコイイとかなんとかいってたな…。急に襲ってくるなんてどんな悪い意味だ? とりあえずバレないように顔を隠さないとな。
僕は地面に落ちていたボロボロのハンカチを手に取った。穴だらけで乾いた土がついている。
「これは…汚いな…。これじゃカッコ悪い…。他に顔が隠せそうな…。…ん?」
カッコ悪い…? カッコ悪い…。…カッコ…いい?
僕は地面に落ちていたガラスを急いで手に取り覗き込んだ。すると、小さな欠片の奥から美少年が僕を見つめていた。
「確かに小さい頃はモテモテだった記憶はあるけど…」
僕は大人になるにつれて段々とモテなくなり、そんな事をすっかり忘れていた。…っていうかこれじゃない。余計なフラグは折るっていったけど…これじゃないだろ。
「はぁー…」
…って、ふざけてる場合じゃないな…。さっさとあのドワーフ達が話していたやつに会わないと…。
僕は立ち上がり目的のカジノを探すことにした。街の中の看板には、いくつか小さなカジノはあるようなことが書いてあったが、中心にある一番大きなカジノの中に僕は入ることにした。まぁ…大きいところから探すのは無難だろう。




