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『魔法少女の初仕事』②

『魔法少女の初仕事』②

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「ここが……」


「そうじゃ」


 マスコットに先導されるがままやって来た。

 街の郊外、大型のアミューズメント施設があり放課後何度か友達と来たことのある場所だ。

 だが、その街並みは見慣れたものとはだいぶ様変わりしていた。


「ここら辺でヴィランを目撃したとの通報が入ったらしいのじゃが、」


「ひどい、な」


 ヴィランが暴れたのだろう、そう一目で理解できた。

 酷い有様だ。

 悲鳴を上げ逃げ惑う人々、街はかなり破壊され炎こそ見えないもののあちこちで煙が上がっている。


 あ、あそこは……


 昔、妹と行ったことのあるファーストフード店だ。

 窓は割れ、壁は砕け、まるで廃墟の様な有様。


 今までテレビ越しか被害にあったその後の被災地としての光景しか見たことなかったが、そうかこれがヴィランによる被害のリアルか。

 これまで妹が守ってきた、そしてこれからは僕が立ち向かわなきゃいけない光景。


 そして、その破壊の中心にいる男。


「あれ、だよね?」


「じゃな」


 周囲の反応など全く意に返さず、薄ら寒い笑みすら浮かべている。

 苛立つように足踏みをすれば、それだけで道路にはヒビが入り大地が揺れる。

 まさに化け物だ。


 完全に分かりあうことのできない敵、ホモ・サピエンスとは全くの別種の新人類。

 テレビかどこかで聞き齧った話だが、なるほど。

 見た目こそ似通っているが、直接見るとより強くそれを実感させられる。


「あれが、ヴィラン。魔法少女が戦う敵……」


「見るのは初めてかの?」


「こんな近くで見るのは初めてかも」


「そうか、じゃが心配することはない。お主は我と契約し魔法少女になったのじゃ。ヴィランの天敵、それが今のお主じゃ」


「お、おう」


 天敵……


 そうだ。

 僕が戦わずに誰が戦うんだ。

 誰がこの街を守るんだ。


 覚悟はとっくに決めただろ?

 本物を目にして臆するなんて、それじゃ今までの僕と変わらないじゃないか。

 僕は変わったんだ。


「時間もない、早く変身するのじゃ!」


「おう!」


 ……って、え? 


「僕って既に変身してるんじゃないの!?」


 自分の格好を見下ろす。

 見事なロリータ衣装、これが魔法少女じゃなかったらなんだと言うのか。


「それはただの契約した時の副産物じゃ、ヴィランと戦うために魔法少女として変身じゃ」


「……なるほど」


 そう言うことらしい。

 相変わらずだな、このマスコットは。

 説明不足が過ぎると思う。


 あれ?


 なら、ここまでこの姿で走ってくる必要なかったよね?

 どうせ変身し直すなら一回変身解除すればよかった。

 てっきり、変身するのにエネルギーでも使うのかと思って温存してたのに。


 家の近所から、

 誰か知り合いがいるかもしれないのに、

 こんなヒラヒラしたロリータ衣装で走って、


 ……


 おい、マスコット。

 目を逸らすな、僕の目を見ろ。


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