立ち位置 2
ハザードマップの作成は、各領地の事を調べるだけでも時間がかかるが、知ったこっちゃ無い。
地方はそれでいいが問題は王都にもある。この街はパッと見た目綺麗だがダウンタウンの一部はかなり衛生的にやばい事になっているみたいだから、いつ疫病が発生してもおかしく無いと思う。王都に危険な自然環境は無いが人が増える事で、感染病は流行りやすい。パンデミックなんていつ起こるかわからん状況だぞ。地方の水問題よりやばいかもしれない。
現実を調べていれば、やる事が増えて忙しくなる。王都の事は把握している事かも知れないけど、敢えて少しだけ危機感を煽ったら宰相様の眉がピクリと動いた。あながちハッタリの煽りだけでは済まないで、少しは精神的負担をおっかぶせできたかな?
もう病気が発症しているのかもそれないね‥これは痛い所を突けたかも!
ふっ、宰相様とその部下達がどんどん忙しくなって私の事なんて忘れていればいいのさ。感染病もクイーンにお願いしてくださいね何せ彼女は聖女なんだから。癒し?ヒーラー?そんな技術もお持ちかもよ?ラノベでは鉄板チートだからね〜きちゃない所に行く気はなさげだけど、まぁ頑張って!
私は《何処馬骨》で役職の無いただのしがない異世界人で御座います。
それで、私のことも当面呼び出してくれなくなれば幸いです。
泣きそうなのを堪え、上を向いて目を見開き、溢そうな雫を眼面に広げる。泣くもんか!涙なんて蒸発させてやる!ドライアイを舐めるなよ!
ここで泣いても何かが変わるわけでも無いし、弱みを見せても良いことは無いのはもう体験済み。
出来ることをできる人がする。私が今言いたいことは伝えた。この世界の危機はテメエらが何とかしろ!異世界頼るな無責任ヤローども!!!!
仕事出来ない君達だからって他の世界に責任かぶせるな!
自分の世界を自分たちでどうにかしないとねぇ?
頼ってんじゃねえよ。
で、もう今日は何もしない。
暫くは宰相にも誰にも会いたく無い。あんな冷たいモノを私に向ける腹黒狐だと再認識した。
この国の奴らはみんなそうだ。人を勝手に呼んでおいて申し訳ないとも思わない。
私には私の人生があったのにそれをぶった切ってひとつの謝罪も無しだ。
利用はしてくるのにかたや罵倒して要らないとも言うくらいだものね。道端の石ころ扱いよ。
なら帰せよっ!要らないなら戻せ!私にだって私を大切にしてくれる親も友達もいるのに…会えなくしておいて利用するだけしか頭にない奴らのくせ外道どもめ。
サクサク歩く私の後ろから心配そうに付き添ってくれる二つの足音さえ今は鬱陶しい。
きっとこの2人しか今頼れる人は居ないのも確かで、そんなこんながモヤっとする。
宰相の紐付きだから付き添ってくれているだけ‥分かっている。
そう思った途端に我慢に我慢した涙が蒸発も再吸収も出来なかったようで、かなり倍増され大粒になってこぼれ落ちた。誰も通らない道をボロボロ泣きながら、でも声は絶対にあげないで歩く。ひたすら前を向いて与えられた邸に向かって歩いた。




