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私の存在って‥


本来なら聖女がこの位置でアレコレ皆さんに教えるのが本当じゃ無ない?

ラノベ読みすぎなのかな?

パッパッと問題を解決するために呼んだ人なんだから使い倒せよ、私ではなくてクイーンをさ!



どうも聖女様担当の第二王子に馬鹿にされ放置され、ただ今くそ宰相様から威圧食らったただの《何処馬の骨》の異世界人イグサです。



自室に飛んで帰った幻想がリアルに見えちゃいましたが、まだ宰相様の執務室で何とか震える体で立っています。


生きるためとはいえ、日本での記憶を切り売りしてひっそりとここに居ることを、ここにいるべき役割は貰ったと思っていた。

多少なりとも人を助ける事で私のここでの存在意義だと思い込まないとやってられなかったから…


それが出来たと思ったのに未だ釈然としないのは、界渡りが現実だとわかっているのに、私にはちゃんとしたものが何も無い《何処の馬の骨》かわからん何も持っていない女だ。足下がグラグラしていつまでも不安定なまま。


『居場所が無い異世界のお嬢ちゃん』


その一言に尽きる。


この国の為にと提案したのに冷気当てられて《何処の馬の骨》とか言われるんだよ。クイーンの事を諭すわけでも無く、命令するわけでもなくチヤホヤして何もさせてない無能な奴らのくせに偉そうに。

宰相様あんたも同じ穴の狢だったか!


クイーンが雨を降らせる為に呼ばれたのなら、私は巻き込まれたと納得はしないけど理解はできる。


クイーン(仕事らしい事してない)と私(この国の益になる助言してる)の格差を感じているから余計に私がここにいる意味をより求めるのは当然のことだよね?私は宝石が欲しいわけではない、ドレスなんて要らないよ。対応の話をしたいのさ!


だいたいさ、オマケのやる事じゃ無いことまでやってますけど?なのに何処の馬の骨扱いさ、あのおっさん。


なんで私までこっちに来ちゃったんだか理由がわかればスッキリするのに。

近くにいたのが原因なら、ニヤけた金持ちボンの方がクイーンの腰に手を回してべったりクイーンに引っ付いていた‥大股で10歩は離れていたよ私。あれは男だからというなら、そうだ直ぐ後ろに女の子の3人組も居た。クイーンを見つけて中の一人が顔を顰めたのを覚えてる!きっと男を取られた事があるコだったのだろう、あっちの方が断然クイーンに近かったのに何で私?


結局宰相も私の事など利用できる駒としか見ていないのだろう。

《馬骨》だからね。


味方だと思って一応信用しているが、何か確約したわけではない。

確かに、今放り出されたら逃げる所が無いのは本当。

森に逃げても数日って所だろう。直ぐに捕まるのが関の山だ。こっちの金が無いから(現物手にしてない)食べ物を手に入れる方法もわかんないしこの世界は魔獣がいるんだよね‥外に出たら即死だよ多分

だから駒なら駒らしく働けって?侮辱されて威圧されてまで?なんで?


対応が違いすぎて腹が立つって言ってんの!


クイーンの様に飾り立てることや、甘ったるい言葉が欲しいわけでは無い、イケメンに傅いて貰いたいわけでも無いのだけど‥もう少し私の事を大事にしてくれても良くない?


私はあんた達に恨まれることなんて何もしてない!あの子より役立っているでしょ?

勝手に呼んでおいて私のあっちの人生をないものにしたくせになんでここまで軽くあしらわれるのよ!


くっ目の前が更に揺れてきた。


信用しても大丈夫なの?って疑ってしまったら誰を頼ればいいかわからなくなる。縋り付きたいけど縋り付くのが怖いよ。不安定な綱の上に要らん物をいっぱい持たされて、ギリギリバランスを取って立っているみたいなこの状況はいつ迄続くの?


じわってきたマズイ。


誤魔化せ私を、弱い本心を見せるな!唇が戦慄くのを止めろ!悟らせるな!表情を変えるな!鼻すすったら負け!いや啜らないと鼻垂れるけど、何か何か言わなきゃ。


「こっズズズ、この地方の被害分布図とかあったら見せてもらいたいです。ハザードマップとかあります?地震とか地割れや洪水とか氾濫での被害地の記録と、ないとは思いますが被害時の国民の避難場所を記載したもの」

「ハザード‥マップ?」


ハザードマップ‥なんてあるわけないよね。(あれ?私の言ったまま変換されてない?やはりこちらで未知のものは変換出来ないのか)なんて訳すんだ?災害予測地図かな?


危険地区を避けて分水嶺を設置できれば、被害にあっても少ない再建で済む。危険地区なら簡易なものを作って再建に金をかけない様にも出来る。過去の水没地域やら災害の有無がわかればその備えが出来るのだから。

あーさっき木を切っている話が出たけどそこの事も調べたいな次は?次…


喋り捲れ意識を別の所へ持っていけ。


「今までの災害記録くらいはあるでしょ?どこで何があったか、それを地図に全部記録した災害予測地図でもある危険地域一覧表です。

無いのならば‥作った方が良いですよ。森林の勝手な伐採等から考えられる災害は山火事だけでは止まらない。いずれ雨が降った後土砂崩れも鉄砲水とかの心配もあるし、準備は必要だと思います」

「災害の危険地域一覧か‥」

「とりあえず大規模火災と土砂崩れ・洪水などの災害別に過去の発生地域、あと公共の広場、病院、避難できる場所も重要です。施設の規模の差とか医師の有無、当面民が逃げ込める場所になり得る場所の視覚化をするものです。災害は長期的に繰り返し起こるものです丁寧にキッチリ調べて災害の予測も出来るし、国の防災対策の一つとしてハザードマップは作るべきですよ」

「成る程」

「それから各領主からの救援要請に的確な援助を迅速に準備手配出来る。それを元に危険地域への注意喚起緊急時避難場所を周知できます。国民の安全を願うならば早めにお願いします」

「いや、領地毎では出来るがそれを此方が、国が把握するのは良しとしない者も居ると思う」

「あぁそうですね。領地毎の法もあるし、ならばハザードマップを其々で作って領地内で管理でも良いですよ。別に弱味を見せろと言っている訳ではないのだから。各領主の領内の危険地域の認識・把握が領民を守る事になると理解すれば良い。賢く偉大な宰相様のさじ加減で如何にもなりましょう?国は大まかな災害把握が出来れば領主からの法外な援助要請にも精査し本当に必要な物を必要な場所に援助として出す事が出来ます」

「‥成る程」

「例えば懸案の山で大雨が降って木を切ってしまった山が崩落しないで既存の川などを潰さないで保てばいいですけどね。これはどんな地形か知らないので予想でしかないけど!あと王都も!先日見た王都の街の裏側ですが衛生環境がすこぶる悪いので感染系の病気がいつ発生してもおかしくないですよ。早めに死体と水と排泄物の処理をお考えください。ただし臭いものにに蓋では根本のものは無くせないので処理ではなく対応を慎重に。では本日の要件は終わったようなので、宰相様御前失礼いたします」

「ん?まだ見終わっていないのだが」

「設計図は私が起こしますよ。こちらの方では出来ないでしょうし、これ見せるわけにはいきませんので。それの機能は十分ご理解いただけたと思いますのでコレはもう必要ないかと?」

「まぁ確かに‥」


少し乱暴にスマホを回収してスカートの深めなポケットに仕舞う。まだ見たかったのにと宰相は恨めしげな視線をよこしたが、ガン無視してくるりと背を向けた。

いつもなら挨拶をきちんとして退室するが、それさえ言いたくない。


ピシャリと心の扉を閉じた事で少し昂ぶりは落ち着いた。嫌なものは見なければ良い。期待しなければ良い。仕事だと思えばイラつかないで済む。親ししみを感じる必要は無い。求めることもするな!


がっかりするだけだ。

私は余所者なのだから…何処の馬の骨なのだから。



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