まさかっ 騎士抜刀す!
会う度にうざ過ぎて、たまに反論すると
殺気出して威嚇されるので、大人しく構わないように回避していた。
が、それはそれで逆切れされた?なんで?
マジめんどくさい男だわ〜。
嫌いならこっちに来なければ良いいし、見なきゃいいのに。何で私の住居地区周辺や、たまに通る廊下周辺にドンピシャに来て嫌味を言うかな?
近衛って暇すぎるよね?
あら?なんか窶れてない、痩せた?
ちょっと、心配してあげたのに相変わらずの蔑めモードだわね。
貧相、見窄らしい、出て行けはもう聞き飽きました。アレンジ無いわ〜ボキャブラ少ね〜もしかしなくても脳筋ですか〜?
そう、脳筋ね、そうよね。
ちょっ、また蹴りを入れるために寄ってきた?
私の時間をこんな事でヤツに使われるのはむかつくので、せめてもの仕返しとばかりに
『ゲリピーゲリピーゲリピー』
と小さく唱えたのを聞かれたのかな?
真っ赤になってプルプル震えているじゃありませんか。
まじ地獄耳〜意味通じてるの?私の国の短縮した言葉もきちんとこちらの言語に変換されるのか〜?
「りょ」「草」とか通じるのだろうか?
いやいやこっちで草は草よね。W Wにはならないよね〜
内なる自分と交信していたら、えらい剣幕で馬鹿にするな!と真っ赤になって剣に手?
いや手に剣?はぁーー?
シャリン
マジで抜刀された。
あちゃ〜ゲリピーは通じてた!
罵倒だけだったのにまさかの抜刀?
あら韻踏んだ?
イヤ現実逃避してる場合じゃ無い。
シュバッ
「うおっ!」
脅されただけで無く、本当にワンピが切れたんですけど〜!!!!!
シュンと風が通り過ぎたと思ったら前だけミニスカートになっていて、いや大きな口を開けたドレス怪獣になった!
提灯お化け的な?
後ろは切れてないから何とも変な格好だけど、久しぶりに腿に風を感じ漸く斬り付けられたのだと実感が ジワリ‥
背筋をかなりの勢いで何かが一筋流れたけど
冷や汗?
とか考えているのは確実に現実逃避だ。
脚‥脚は無事みたい?痛みは感じないのでお亡くなりになったのはスカート部分だけの様だ。
すんでの所でかわして、助かったのは私の運動神経の賜物?
切れたのが胴体じゃ無くてスカート部分で助かった。フンワリしたスカートじゃ無かったら大怪我じゃんよー(今日このドレスワンピを選んでくれたアンナちゃんに感謝!)
いや、そんな呑気な事では無いのだけれど、あ〜脳内パニクってるね?
なんて思っていたら背後から急に襟首掴まれ、スカートの後ろも掴まれ、前へ押された。
へ?
と呆けていた私はアンナちゃんに押されたのに最初の一歩は出なかった。
どうやらなんとか立っているだけで精一杯だったみたいだ。
若干腰が抜けている状態だったのか、ポンと後ろから右膝下が蹴飛ばされようやく一歩が出た。
瞬間に掴まれた襟首を微妙に操縦され迷路のような城の廊下を兎に角走って走って走って、走って宰相様の執務室へと逃げ込んだ。
時折すれ違う城の人達には疾風の如く走り抜ける女二人を、異常事態発生逃亡中とは思わなかった様で(危ないから近寄るなの方かな)ラッキーにも止められることもバカ騎士に追われることもなく、私たち二人の命はどうにか助かった。
今日は何時もの案内人では無くアンナちゃんだけが付き添いで助かった。
剣で襲われたらもう私一人ではどうにもならなかったし、あの案内人では私が斬られて事切れても粗相してお手討ちにあったと証言しそうだし。
ほんとアンナちゃんでマジ助かったわ。拝んで土下座で感謝を述べまくっても足らないくらいです。
宰相様の執務室に逃げ込み、私の惨状を見た宰相様は何事か!と私ではなくアンナちゃんに報告を求め、その内容から更なる顔色の悪さを晒し、初めて真剣に顔色を変えとっても怖いお顔になられていました。
その結果、
どうやら護衛を一人付けて貰う事になった様です。
遅いくらいですとアンナちゃんには言ってもらえたが、まさか城内で抜刀騒ぎが起こるとは思わなかったのよ。
あの阿呆騎士がそこまで馬鹿とは思わなかったというか、そこまで嫌われているとは思いたくなかったというか?
だってあのバカに私はなんもしてないのよ?
抹殺したくなるほど嫌われているとか、理不尽な出来事でしょ?
*** ***
アンナちゃんが結構な力持ちである事と、陸上選手並の脚力と腕力をお持ちだという事に感謝しかありません。
あんなに細いのに可愛いくて良く気がつくだけじゃないくて、機転が利く素晴らしい侍女さんを付けてくれた事をこの世界に来て初めて人に感謝致しました。更に護衛まで付けてくれるとは‥宰相様ったら太っ腹!
そういえばあの何時もの案内人は執務室では雑務をしている下っ端役人さんだった筈なのだけど、わたしが抜刀されてからはいっさい姿を見ませんね。
何時もの席にも居ないし、その席の机上が見事に何も無いぞ?
まぁ、人事の事なんて私に教えてもらえるわけでもないだろうし、ここは何もわかりませんの阿呆モード一択だろう。
これ下手につついたら私の身がヤバそう。
沈黙は金だよね。
でもまさかとは思うが、情報漏洩ってどの位の罪になるのだろうか?
宰相様の執務室担当に入るのは難しいとアンナちゃんに聞いたけど、それを捨ててもバカ騎士の方に加担したとかないよね?
それを知らなかったからと、罪滅ぼしで護衛を付けるとかないよね?
そうだ!切れたドレスから見えた私の生足をガン見したバカ騎士の目が、マジで変態っぽくて怖かったのは心に留めて、以後注意しよう。護衛さんにも言っておいた方がいいよね、そうしよう。
思い上がりと言われても良いが、そういう意味で襲われたら止めることなんて、体格的にもパワー的にも私には無理だからね。
あんなガタイで来られたら怖いしキモいし‥。
バチバチするちっさい奴購入すべきだったよね。あ〜スタンガンプリーズ!家にはあるのよデカイのが!
リュックには重くて入れられず、次のバイト代で買うつもりが‥しくったな。あれがあったら撃退出来たのに。
後日、私の置かれている城の敷地の隅っこに位置する小さな邸に来た護衛騎士は、アンナちゃんと同じ歳か?もしかしたら年下の、
ワンコの様な可愛げのある美青年だった。
*** ***
アンナちゃんと二人で並んでいると対の様なお綺麗さ!
お肌ツルツルだし、クール美少女とワンコ美青年でモデルのようなスタイル‥ピカピカしているわ〜美しすぎる男ってここにはゴロゴロ居るのね〜。
「エリオット・ガジュエと申します。第二騎士団所属であります。この度イグサ様の護衛の任を賜りました。宜しくお願い致します」
胸に右手を当て軽く頭を下げる騎士の挨拶がこれまた様になっているな〜。
宰相様、お忙しいだろうに直ぐに手配してもらえたようで正直なところ助かったよ。
スタンガンより使えそうな人が来ました!
お歳は?と聞くと19歳と若い騎士様だった。あっちのバカの影響の無い人選だとの事で(同じ騎士団同士なのに影響が無い?所属団が違うと言われたけど詳細はわからん)不安はあるが不満は御座いません。
今迄の罵詈雑言に乱暴な態度等を全部メモしておいたので、(なんなら動画もあるし)宰相様に提出したのが前回のスカート斬られた時。
もう黙っているのは良くないと思い、アンナちゃんの証言と共に提出しました。
誰かが隠蔽しようとも動画は嘘つかない!
今後同じことが無いことを祈って手を打つことは逃げではない!
しかしそれが今回へ繋がったと思えばもっと早く手を打てば良かったかな〜。
でも、宰相様の指図だったら敵に敵の事を報告しているだけでしょ?怖かったのよ。
アンナちゃんは私を守ってくれたので宰相様も少し信じて良いのかな?とか思ったり‥。
敵ばかりと思っていたから、護衛さんを付けてくれたことは感謝に値すると思うわ。
あのバカ騎士より全然マシな人みたいだしね。
もしかして宰相様は信じていい人なのかな…悩む所だ。あの時も
「元々宰相様の執務室に行くという行動がバカ騎士に毎度バレて付きまとわれてまして、案内の方は其れを見ているだけで庇ってもくれませんでした‥宰相様に報告は‥なかったのでしょうか?」
と言った瞬間にピクンと眉が跳ねた宰相様は
「‥成る程、そう来ましたか」
どう来た?
身近に私の情報を漏らすアホウがいるかもなので調べてね。
と伝えたわけですが、私にとってもカケであったわけで…。
宰相様からちょっと冷気が漏れたな〜と思ったら、部屋をお出になられて暫く帰ってこなかったな‥。
その後の変化はあの案内人が居なくなった事‥。その裏に何かあったとしても私のあずかり知らぬ事だけど、宰相様とアンナちゃんは少なくとも私を守ってくれたのだから、少し信じる事は出来るのか‥しかし
『デッカイイボジデキテスワルノモコンナン』
案内人の宰相様の元部下め!
職を失った位で済んだかもだが、私は許さん!実刑じゃ!
やられたらそれなりの罰は与えたいので、殺されそうになったこっちの身になりやがれ!
ドーナツ座布団はあげないよ!
脅されてやったとしてもバカ騎士に脅されていると宰相様に訴えれば良かったのに。しなかった自分を呪いなさい。
暫く痛みと気持ち悪さで苦労しやがれ!
死なない分だけマシと思いたまえよ。
悪い感情は吐き出しましょう、そうしましょう!
*** ***
そんな諸悪の元であった宰相様執務室通いで私は何をしていたかと言うと
私の世界の話を散々させられていたの。
イジメの証拠だと動画見せちゃったので、あれから写真を撮らさらたり、簡易写真機を持っていたから写真も撮ってそれを渡してあげたりとか(スクエアフィルムもあと残り3枚か、有効に使わんとな)してます。
「鏡と同じ自分がいる。凄いな、自画像が浮き出てきたぞ!魔法か?」
と驚いてくれて嬉しいです。
それでも足りないようで(いやかなりはしゃいで喜んでいたのに足らなかった?)
簡易カメラを奪われそうだったので、扱いが難しいし、使い方をわからないものが触ると壊れますと逃げたが、恨めしそうに暫く睨まれたのが怖かった事は内緒です。
今度は私が報告書に使っていたノック式切り替えの赤黒ボールペンにいたく興味をもたれ出すたびに視線を感じたので差し上げました。
ええガン見だったので。
コレで私の命を守ってくれるならばおやすいものです(護衛を付けてくれた後日に進呈)
そんな私の献身を、怪しい事してるぞと穿った見方をするバカ(宰相様部下の案内人)がバカ(バカ騎士)に漏洩していたのだろうかねぇ‥。
宰相様の暇つぶしのお付き合いで遊びに来ている訳じゃ無くて、国の為になるようなこともチョイチョイ話しておりましたのに‥書類整理とかも手伝っていたのに‥。
やる事ないので仕事プリーズして、宰相様の書類仕分けの手伝いをしますと無理やり手伝いをして、気付いた事などの事務改善案を提案してみたり?
だって、山の様な申請や確認の書類が誰から出されたのか署名があったり無かったり、何枚も同じ内容のものが提出されたり、何度も同じ書類が行き来してるので宰相様の雑用が終わらないのよって気づいたのよ。
「何この二度手間三度手間四度手間!」
切れたとも言うけどね。
国の機関としてどう?
無駄が多くて宰相様が深夜まで仕事していたのはコレが原因かって分かったよね。
書類制作責任者の確認サイン欄を作り、最後に決裁サインを宰相様が出来るように書類の雛形を作ったり、担当政策の振り分け表を作り重複しない様にして進捗状況も共有すれば?と提案したり。
そんな仕事しやすいアドバイザー的な提案で執務室の皆さんにはかなり感謝されたんですよ。
残業なくなったものね!
私はかなりお役立ちする人材なんですよ。
執務室の皆さん!
私は使えると言ってくださいませ!
この世界で無駄では無いと証明していくと宰相様に宣言したので、バカ排除の方向でご協力いただける事を期待しております。
私の助言で仕事が早く終わりお家に帰れるって喜んでる人いましたよね?
私は役立っていると言って下さいね〜。




