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湖畔の街 ヨッフ

こんばんは 今日のお話になります。

「 このペースなら 明日の夕方には到着できそうですよ 」


夜の帳が降りた森の中、ポッカリと切り開かれた空間に余りに釣合の取れない家


街道から少し離れた森の中であり、周辺には民家も集落も無い。

今宵は新月でもあり、周囲は真っ暗闇。

辺りを支配するのは圧倒的静寂、冬場と言うこともあり虫の音すら聞こえない。





まぁ 目立たない場所で家を展開するために木を何本か切らせていただき、地面を整地したならば

今日のお泊り場所完成です。


そこでゆったりとしたソファに身を沈めて、右手でフェオを撫でまくり。

左手はユーンの耳の感触を楽しみつつ、マーサは膝の上に居て。

セオは足元で僕を見上げているという今日の配置。

ちなみに場所は日替わりです。


そんなハーレム状態で、目の前にいるノエルさんとお話し中。これがいまの状態。


「 え、 明日ですか? どこか立ち寄る村に到着と言うことでしょうか 」


ノエルさんの口から出たのは、当然と言えば当然な疑問。


廃鉱のナール王国側出口を出発してからまだ4日。


順調でも10日はかかる道のりだからねぇ。


「 えーと 最初の目的地であるヨッフの街に明日には入れそうと言う話です 」


「 あぁ そうでしたかぁぁ・・・  え えっ ええええ   幾らなんでも早すぎませんか 」


まぁ驚くよねぇ 予定の半分で着くってどういうことってなるよな


「 幸い冬場でしたので 人目も無く速度が上げられましたからね 」


そう、鉱山が廃止されて人の往還が少なくなった街道の上に冬場なので余計に通る人もいない状態なのを幸いと

相当な速度で馬車を走らせたために予定の半分程度で到着です。


流石に100km/hは出していないけれど、50km/hくらいは普通に出していたのでそれは到着も早くなる。

この世界にはそんなスピードで長時間走る馬車なんて存在しないので、あまり人目に付くと困るから今回は条件が整い特別です。


「 はぁぁ もう難しく考えるのは止めます。 リック様であれば問題ないのですよね 」


「 そうですね ただ、あまり公にしないで頂けると助かります 」


悪目立ちはしたくないし、変なことに巻き込まれたくないのは当然だ。


「 もちろんです リック様にご面倒を掛けるようなことは一切いたしません 」


力強く答えてくれるノエルさん。

基本的に良い子だよね。


「 ありがとう ノエルさんは良い子だよねぇ 」


つい思ったまま口に出してしまったら、真っ赤になってうつむくノエルさんと、静かに怒る奥様達の抓る攻撃にあいました。


教訓 口は災いの元・・・










そんなことがありながらもヨッフの街が見える所まで到着しました。


湖の畔に広がる街が夕焼けに染められています。


「 さてぇ ここからは歩きだよ 」


「「「「「 はーい 」」」」 ニャ 」


馬車に乗ったまま街に入ってしまうと、ゴーレム馬のことが面倒なのです。


出来が良いのでパッと見では分からないだろうけれど、当たり前だけど呼吸とかしていないし汗もかきません。

貴族とか偉い人に目を付けられて面倒事になるのは勘弁だしねぇ。


「 平民風情が分不相応な物を持ってけしからん!! 没収じゃ 」 とか言われても困るよね。


なので馬車とゴーレム馬はここで収納して、各自に背嚢を背負ってもらいます。

まぁ中身は空に近いので軽いけれど、旅の者が手ぶらってのもおかしいしね。


「 あと、ノエルさんはこっちね 」


「 はい よろしくお願いします 」


赤くなりながら嬉しそうに近づいてくるノエルさん。


電子魔法の〈光学迷彩〉で外見を偽装して別人に変装するのだ。

偽造の身分証もあるしまぁ完璧でしょ。


相手が貴族なだけに、用心するに越したことはない。

手配書や捜索願が回っている可能性は高いし、監視の目が光っていると思った方がいい。


光学迷彩で外見を変化しておけば問題はないのだけれど、欠点というか個人的には嬉しいのだけれど手を繋ぐ等の身体的接触をしていないとダメなんだよね他人に光学迷彩を施してそれを維持するのは。

まぁノエルさんも嫌ではなさそうなのでその点はクリアなんだけど・・・

奥さん達がねぇ


「 ・・・ 仕方ないことなのです 主様のお仕事です 」


「 フェオは我慢できるのです、でも宿に着いたらいっぱいくっつくのです だからガマンガマン 」


「 ずるいのですニャ 私も腕とか組んでデートしたいのですニャン・・・ そうだ今度お願いするのですニャ 」


「 リックはあたいの旦那様・・・ あたいは筆頭嫁・・・ ぅぅぅぅぅ 辛抱しないと 」


『 私だって・・・いつか 身体的接触が出来る その日まで・・・ 』


若干、1名くらいお嫁さんじゃない人が混じっていたけど・・・ 


みんな 本当にごめんね でも・・・ ノエルさんが腕にしっかりと身を寄せてくれて 柔らかい物がね・・・ 


「「「「『 じーーーー 』」」」 ニャ 」


視線が痛いです。






暫く歩いていくと、道は街へ入る門へと続いていました。


その門の前には、暗くなる前に街へ入る人々の列が出来ています。


「 しばらく待つようだね ソエル 」


「 はい でも大丈夫です 」


身分証の名前に少しでも慣れておかないといけないので練習中です。幸い似たような名前にしてあったので、これならノエルと言う名前に反応しても誤魔化せるかもしれない。




ちなみに街に入るのには一人大銅貨1枚必要なようです。

この街はトォッカ程は面倒なチェックも無いようで、身分証の確認とお金さえ払えばすんなりと入ることが出来て一安心。


「 ようこそヨッフの街へ 旅の人 」


門番の男性に声を掛けられてから門を通り過ぎると、賑やかな夕暮れ時の街並み。


何とか日が完全に暮れる前には街の中に入ることが出来ました。




お読みいただきましてありがとうございます

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