異世界考
こんばんは 本日のお話でございます。
街に入ってから、まずは宿探しというわけで。
門番さんや、露店の売り子さんに聞き込みをしてから評判の良い宿を探した結果、それなりのランクと思しき宿に逗留決定です。
湖の畔に立つリゾートホテルのような雰囲気の宿。名前は湖畔亭、まぁそのままの名前だよね。
建物も綺麗で周囲の清掃も行き届いた感じ、街の人の
シーズンオフという事もあって快くというか揉み手の勢いでお出迎えしていただけました。
まぁ6人と大人数だしねぇ。
ちなみにトップシーズンは夏と真冬らしい。
夏は当然のように避暑と湖での遊び、で真冬はというとスケートだそうな。
例年もう2か月ほどすると湖が全面凍結して、スケートが出来るようになるらしい。
なので今の時期は寒いけれど凍っても居ないし、冬には入っているので商人の行き来も減って客足が一時的に途絶える時期らしい。
とりあえず2泊分を前払いして食事も頼んだらいい部屋にしてもらえたよ。
まぁいい値段だったけど、懐に余裕はあるので問題ないのです。
「 こちらのお部屋でございます 」
案内してくれたのは綺麗な狐族の獣人のお姉さん、尻尾がフワフワで思わず触りたくなったけれど、ここはぐっと我慢我慢。
セオは何かを感じ取ったようで、少々視線が厳しい気がする。
イエ・・・ サワリタクナイデスヨ
狐族さんの尻尾は独特だよね、フェオの尻尾も可愛いのだけれどフサフサって感じで少し違う。
ユーンはシュッとした感じだし、うーん狐さん かぁいいなぁ。
「 うわぁ すごく広いよぉ 」
マーサが部屋に入るなり驚きの声を上げている。
「 ベット、フワフワです 」
フェオが嬉しそうにベットにダイブしてました。
あれれ、ユーンが窓の方へ走って行ったよ。
「 リック様ぁ すごく綺麗です ほらほら 」
いわゆるレイクビューの部屋で、窓からは湖が一望できる部屋らしい。
昼間ならば綺麗に湖が眺められるのだろうが、すでに暗くなっているので良く見えないが・・・ あれは漁船の明かりかな。
「 漁火かな、もしかして 」
「 はい、左様でございます。 この時期は凍結前の漁期でございますので 」
狐族のお姉さんが答えてくれた。
「 あい、とても風情がありますね 」
セオが窓際に立つ僕の側にやってきて身を寄せてくる。
「 うん 幻想的ですらあるね 」
湖のところどころに見える、浮かんでいるかのような炎。
おそらくは篝火であろうそれは、魚をおびき寄せるための道具に過ぎないのだが、遠くから眺める者にとっては湖面に揺れる焔の舞踏。
「 私共には見慣れた光景ですが、お客様に喜んでいただければ幸いですわ 」
「 こんな良い部屋をありがとうございます 」
狐族のお姉さんがにお礼を言うと、微笑みながら話を続けてくれた。
「 お客様のような方にお泊りいただけて、こちらこそ嬉しゅうございます。 どうそごゆっくりなさってください 」
上品で綺麗な狐族のお姉さんは、後で聞いたらこの宿の女将さんでした。
ちなみに旦那さんは人族のナイスミドル、年の差夫婦かなとおもったのだけど、狐族のお姉さん40歳をはるかに超えているらしい。
正直なところ20代後半くらいかなとおもっていただけにびっくり。
しかも娘さんが3人いて、湖畔亭と湖畔亭別館で働いて女将さん修行中だとか。
なおこの情報はユーンがどこからか聞き込んできました。
ユーン 恐ろしい子・・・
しばらく部屋の設備を確認したり、窓からの景色を眺めていたところに部屋のドアがノックされたので確認。
「 おくつろぎのところ申し訳ございません お夕食はどうされますか? 」
聞きに来てくれたのは、可愛い獣人さん。 丸い耳が可愛い熊族さんらしい、初めて見た。中々熊族さんに会う機会が無かったので思わぬところで間近に見れて感激です。
といっても見つめているわけにもいかないので、用意して向かう旨を伝えると、ではお席を準備しておきますとの言葉が返ってきた。
「 さぁみんな夕飯食べに行くよ 」
くつろいでいるお嫁さんとノエルさんに声かけ。
まぁ女の子は支度に時間が掛かるので、部屋を出たのは15分後でした~。
ボーイさんに通されたのはレストランの個室といった感じの部屋。
立派なテーブルの上には燭台の灯り、マーサやフェオは給仕さんに椅子を引かれて驚いていた。
セオやノエルさんは堂々と対応していたよ。
「 なぁリックぅ このお魚ってなんだい すごく美味しーーい 」
前菜から始まったコースの魚料理でマーサがこれまでにない勢いで喰いついてきた。
現状のターゲットはマスのグリエだ。
「 これはマスっていう魚を焼いてハーブのソースをかけた料理だよ 」
マーサに解説しているけれど、別にグルメでもない僕はさっき給仕さんが説明してくれたことを繰り返しているだけ。
どうやらマーサさんは出てくる料理に釘付けで聞いていなかった模様です。
おそらく目の前の湖で獲れたであろうマスの仲間だと思うそれは、程よく脂が乗っており実に美味だ。
「 あたいこれ気に入ったよぉ すごーく美味しい~ 」
嬉しそうに話すマーサはとても可愛い、まぁ個室だし多少テンションが高いのも許してもらえるだろう。
これだけの大きな湖なので、お魚も豊富だろうから今後の食事も楽しみだ。
ちなみにその後の肉料理は、牛テールの赤ワイン煮込みで
マーサだけでなく、全員が口に含んだ瞬間に蕩けそうな顔になっていました。
ソースを付けてパンまで食べて、みんな笑顔満開です。
ちょっとお高いところにして良かったよ~
デザートのフルーツまで食べて、みんなは大満足だ。
でも、この世界に来て残念なのはデザートが微妙だよね。
精々フルーツか甘いクレープ。
ケーキも重たいクリームで種類も少ない気がする。
これがラノベとかだと主人公がプリン作ったり、生クリームを開発っていうのが定番なんだろうけれどねぇ
そんな簡単に作れるものなのか?
僕の18年の人生でお菓子なんて作ったこと無いよ。
ケーキとかお菓子ってさぁ買うものじゃないの?
女の子なら作れる子の割合も多そうだけど・・・
それともそういう才能のある人が選ばれるのだろうか?すごく不思議。
「 リック様 」
食後のお茶で余韻を楽しんでいたら、ノエルさんが話しかけてきた。
「 すみません 騒々しい食事でしたね 」
「 いえ 野営中もそうでしたけれど 皆さんでお話ししながら食べるのってこんなに楽しい物なのですね 」
一体彼女の過ごしてきた貴族の生活とはどんなモノだったのだろうか。
庶民からみたら煌びやかで贅沢な貴族の暮らし、貧民や奴隷から見たら憧れを通り越している貴族の社会って・・・
身内でも利用し、正に生き血を啜られる毎日。
全ての貴族がそうではないのだろうけれど、自由とは程遠いその身分に何故拘る人が多いのか
どうしても僕には理解できないけれど、それは僕が日本生まれのハーフエルフだからなのかな。
どうも難しい顔をしていたようで、気が付いたらみんなが心配そうに見つめていた。
みんなの前では考え込んではいけないね。
反省です。
お読みいただき本当にありがとうございます。




