変装
こんばんは 本日の投稿です
「 すいません 色々と 」
何かばつが悪くなってノエルさんに謝ってしまう。
「 い、いえ こちらこそ ・・・ 」
ノエルさんはまだ真っ赤で俯いたままだ。
とりあえず二人きりになってしまったし、少し時間を空けてから出ないといけないので何か話をしないと・・・
『 私はいつでもそばにいますよ 』
うん、ミーネも入れたら3人だけどねぇ確かにそうでした
『 でもミーネはノエルさんには認識できないでしょう 』
『 むぅ・・・ 私だって いずれ・・・ 』
申し訳ないけれど一旦ミーネは置いておく。あ、別に放置プレイじゃないからね。
『 それはそれで ちょっといいかも・・・ 』
うんミーネさんはしばらく放置です、反応しないようにしないとね
「 ノエルさん、まずは電子魔法を試したいのですが良いですか 」
我ながらナイスな展開だ!
「 は、はい そういたしましょう 」
ノエルさんも顔を上げてくれたし、これで大丈夫かなとりあえず。
「 僕の精霊魔法はまだ使い手がほとんどいない新しい物です、そのことはダッジさんからお聞きですか? 」
「 いえ、リック様からお聞きするようにと言われておりまして 何も聞いておりません 」
「 そうですか ではまず説明しましょう 」
僕は電子魔法が5番目の精霊魔法であること、異世界の技術をもとに組み上げられていることなどをなるべく平易に伝えた。その後で実際に見てもらうのが手っ取り早いので。
「 これがまず 〈MAP〉です 」
スクリーンを展開して、目の前に地図を出してみせると、目の前の映像をじっと見つめるノエルさん。
「 この輝点が、命あるものの存在を表すのですか 」
「 はいそうです、ただそのままでは虫や小動物にまで反応してしまうので、ある一定以上の大きさの命あるものに反応するように調整してあります 」
他にもスクリーンの反射率を変更して鏡にしたり、セオとコンタクトを取ってダッジさん達の様子を映し出してもらったりした。
「 ダッジ・・・ フェリエ・・・ どうか無事で 」
映像に映る二人に向かって小さく声を掛けて無事を祈っていたノエルさんにかける言葉が上手く見つからない。
いつかきっとまた会えるのだと思うけれど、そんな簡単に掛けて良い言葉ではない気がした。
「 まずは ノエルさんを無事に護衛することが最優先です。そのためにもこの魔法は役に立つはずです 」
僕はそう言うと、さらに肝心の〈光学迷彩〉を見てもらうことにした。
先ずは驚かさない様に徐々に姿を消してゆく。
「 は、 はい。 段々リック様のお姿が・・・ あぁ もう見えません 」
「 これが〈光学迷彩〉で、姿を消す魔法です 」
「 お声は聞こえますけれど、お姿は本当に見えません 」
「 はい、場所は移動しておりませんので、 少々失礼します 」
「 あ・・・ 手が ・・・ 」
僕は驚かさないように、そっとノエルさんの手を取った。
「 はい、此処におりますよ 」
「 不思議です、姿は見えないのに手の感触はありますのね 」
「 そうですね、あくまでも姿が見えなくなっているだけですから 」
そう言ってから姿を元に戻して、ノエルさんと手を繋いだまま今度は彼女に電子魔法を行使する。
「 〈光学迷彩〉 」
ノエルさんの見た目がセオのそれに変化してゆく。
展開したまま維持していた〈投影〉で作り出した鏡をノエルさんの前に移動させると。
「 まぁ これが私ですか・・・ セオ様そっくりです 」
驚いて鏡を凝視ししていたけれど、徐々に表情を変えてみたり手を上げたりして観察している。
「 この場では試せませんけれど、走ったり動いても大丈夫です。 ただし僕との接触が途絶えると1分・・・ あぁ 心の臓の鼓動が60回を数えるまでには魔法が解けてしまいます 」
「 そうなのですね 」
「 ですから大変申し訳ないのですが、護衛中は僕と手を繋ぐか腕を組んでいてください 」
「 ・・・ はぃ で、でも 奥様方はお怒りにならにでしょうか・・・ 」
「 そこは大丈夫です みな理解しておりますので 」
「 で、で、でしたら・・・ 練習させてください 」
そう言ってノエルさんはそっと腕を絡めてきた。
「 あ、 は、はい 」
ノエルさんはエルフの血も強いようでとてもスレンダーだけれど、控えめながら柔らかいものが押し付けられてくる。
「 もっとしっかり、せせ接触していた方が良いですよね 」
「 え、 まぁ あの 接触面積が大きい方が いいかも知れません 」
「 で、でしたら・・・ 」
さらにノエルさんがくっついてこられました。
多分ですが実際これでは歩くこともままならないのでしょうけれど・・・
今はいいかなぁ
『 ご主人様 そろそろ出ませんと さすがに 』
ミーネさんの呆れたような口ぶりに一気に我に返りました。
『 う、う うん ソウデスネ 』
『 常に私は居りますことをお忘れなく 』
『 は ハイ 』
やヴぁいですよねぇ、ついつい時間を忘れてしまいそうでした。
「 ノエル さん ・・・ 名残惜しいじゃなく そろそろ行きませんと 」
「 は、はい、 私は大丈夫でしゅ 」
ちょっと噛んでるところも可愛い。
「 では 参りましょうか 」
そう言って歩き出そうと思ったのだけれど、ノエルさんが貼りついたような状態なので上手く歩けずに足がもつれてしまった。
「 きゃ 」
可愛い声を上げてバランスを崩したノエルさんをしっかり抱きとめると、潤んだ目でこちらを見上げてくる。
うーん いかんいかん 可愛いけれど護衛対象だし。貴族の娘さんで、前エルフ女王の娘だものなぁ。
「 少しだけ歩きやすい程度のに離れましょうか 」
とても名残惜しいけれど、そう告げるとノエルさんも気のせいか悲しそうな顔をしながら気持ち身を離してくれた。
「 この護衛の間は、ずっとそばにいていただけるのですよね 」
「 はい、さすがにあの 失礼ですが・・・ご不浄は別です 」
「 ・・・ はぃ 」
「 それ以外はそばにいていただきますので どうかご辛抱くださいね 」
「 いえ、・・・ 辛抱なんてことはありません 」
とっても小さな声で良いお返事を頂けましたので、そのまま2人で手を組んで倉庫を後にすることに。
「 これから外かい 」
「 あぁ ほら農家のレジーさんのとこで約束があってね 」
門番は何度か話したり、酒場で奢った事のある男だった。
「 おう、大きい農家だろ確か山羊も沢山飼ってるとこだよな 」
「 そうそう、保存用のピクルスを頼んでおいたのと、芋を受け取りにね。 その後は食事にも招待されてる 」
「 ほほぉ 羨ましい限りだ そうかそれでカミさんと一緒なんだな 」
「 あぁ 今日はセオを連れて行く番でね 」
門番は僕のことを傭兵上がりの武装商人だと思っている。まぁそういう話にしてあるし、つじつまも色々合うことだ。
「 大変だな女房が多いと 3人だっけか? 若いのに大したもんだ。俺なんか一人でも持て余してるってぇのによぉ 」
「 おいおい、うちのカミさんが告げ口しないとも限らないぜ 」
「 そりゃ勘弁だ。 奥さん黙っていてくれよ 」
門番がセオ(ノエル)に向かって声を掛けると、ニッコリ笑いながら頷き返したセオ(ノエル)。
「 まぁセオ黙っていてあげるんだね 」
「 あい 」
短く答えを返したのは練習通り。全く喋らないと不自然すぎるので返事だけは練習した。
まぁこの門番とセオはほとんどしゃべったことも無いし、身内以外にはセオは元々口を開くことが少ないので問題は無し。
「 頼むよぉ かぁちゃん怒ると怖いんだからよぉ 」
「 大丈夫だよ、うちの奥さんは口が固いからね 」
たわいもないやり取りを交わした後に、門番に別れを告げて門の外へ。
「 今さらだけど、夜の3番課の鐘で閉めるからなぁ 」
「 あぁ 大丈夫泊って行けとも言われているから 」
この世界では時計は一般的では無く、領主や教会の所有する鐘の音で大よその時間を知ることとなる。
ちなみに夜の3番課の鐘とは、ほぼ22時に相当する時間である。
僕らは門の外から延びる道をゆっくりと歩く
夕方の空は茜色に染まり、影が長く伸びていた。
お読みいただきまして本当にありがとうございます。




