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護衛のお仕事

今晩は、本日の投稿になります。

「 それではくれぐれもお願いします 」


「 おまかせください 後はよろしくお願いします 」


僕は見送りに来たダッジさんと握手を交わす。


予定より一日早くノエルさんの護衛を開始するためだ。


「 はい、あとは手筈通りに 」


「 くれぐれもお気をつけて 」


ダッジさんは荷車を一瞥してから、去って行った。

荷車には隊商に預けるための荷物が積みこまれている。


本当は奥さんも来たかったのだろうけれど、それでは意味がない。

出発はあくまでも明日の予定だ、今日は身の回りの荷物を先に片づけるための準備なのだから。


あくまでも・・・。




ノエルさん達と我々も宿泊している宿には監視が付いている、宿自体は老舗であり格式の高い宿でセキュリティもしっかりしているので襲撃の可能性は限りなく低いのだけれども。

恐らくは買収されているか脅されて協力している従業員がいるのだろう、盗み聞きの魔道具の存在はセオが発見している。

これは下手に取り外すとかえって面倒なので、気が付かないふりをしている。

だから筆談や、何か所かの別の宿等で打ち合わせを行っている。


さらに念のため、筆談の内容には嘘を混ぜてある。


あの時みんなに説明したのは、隊商キャラバンと同行するという話。

そして筆談で提示したのは、実際は船での移動になるということ。


実はこの二つともニセ情報なのだ、どのルートで行くのかはダッジさんにも教えていない。


予定の変更も伝えたのはつい先ほど、元々今日は荷物を取りに伺うとは言ってあったのだけれど・・・


実は荷車の荷物の中にはノエルさんが潜んでいるのだ。

このまま、借りてある倉庫へ移動して、そこで必要な荷物のみ待機しているユーンの高位収納魔法にて仕舞いこむ予定。


そして、予定より早く今日の午後には出発する。


その際も、僕らはほぼ手ぶらで買い物に行くように出かけることとなる。

これはユーンの高位収納が使えるからこその技。


ノエルさんの外見は僕と手を組んでもらうことによって電子魔法の影響下におけるので、セオの外見に変えてしまう予定。

セオは本人は最初は別行動で後から追いかけてきてもらうのだ。


なので、隊商には一部の荷物だけが預けられて僕らは誰も一緒に居ない。


定期船にはダッジさん夫婦が乗船する予定で切符も取ってあるけれど、これも乗らないそうだ。その後の行動は僕も聞いていない、知らない情報は洩れることも無い。


相手は有力貴族であり、ノエルさんを何として取り戻したい連中だ。

どんな手を使ってくるか分からないけれど、連中にしてもこちらの動きは読み切れていないようなので裏をかいて動いていくしかない。


ミーネやセオに周囲を警戒してもらいつつ、倉庫までは無事に到着。

この倉庫にまでは監視の目が届いていないことは何度も確認済だ。


それでも念のため時間をおいてから、荷物を下ろす。


一番下の大き目の箱をそっと下して、蓋をゆっくりあけると魔法で眠ったままのノエルさんが居る。


「 眠れる森のお姫様みたいだね 」


「 何ですかそれ? リック様 」


僕の独り言が聞こえたようで奥からフェオとユーンが出てきた。


「 お待たせ、フェオ ユーン   眠れる森のお姫さまというのは異世界のお話だよ フェオ。 今度ゆっくり聞かせてあげるね 」


「 はい、楽しみにしてます 」 僕のすぐそばまでやってきて嬉しそうに尻尾を振るフェオ。


余りにも可愛いのでついつい撫で撫でしてしまう。


「 私も撫でてほしいニャン 」


負けずにすり寄ってくるユーンも一緒に撫でてあげると、喉を鳴らすようにして喜んでいる。

このコンビの甘え方は最強かもしれない。





「 あーん もっと撫でて欲しいです~ 」


「 私もですニャ 」


いかんいかん、ナデナデ連鎖に陥ってしまっていた、これを続けているとあっという間に時間が過ぎてしまう。


「 また夜にいっぱいしようね 」


そう言って、最後に一撫でして・・・   ものすごく後ろ髪引かれる思いだけれど我慢我慢


「「 はーい 」」


若干不満げな二人のハモり返事を聞きながら、眠っているノエルさんを起こすための魔法を詠唱する。







「 ん、んん ・・・ ここは・・・ 」


状況が飲み込めていないノエルさん、それはそうだよね。


「 ノエルさん申し訳ないのですが、状況に対応するためダッジさんの了承を頂いてお連れいたしました。詳しくはこれをお読みください 」


僕はダッジさんから預かった手紙を渡す。厳重に封蝋されたその手紙にはフェリエさんの魔法が掛けられていて、ノエルさん以外が開封しようとすればあっという間に燃えてしまうらしい。


僕の手から手紙を受け取ると、ノエルさんは小さく呟いてから封蝋に手をかざして掛けられた魔法を解除したようだ。






手紙を二度ほど読み返した後に、ノエルさんは顔を上げて僕に手紙を差し出してきた


「 状況はよく理解できました、どうぞよろしくお願いいたします 」


「 しばらく御不自由をお掛けすることになると思いますがご容赦ください 」


ダッジさんの手紙には今後の指示は僕に従うこと、安全を確保するためには最善な手段であること、そしてどうか母上の元で健やかに過ごしてほしいと書いてあった。また連絡は取らないこと、自分たちの事は心配しなくてよいとも書いてあった。


「 ダッジとフェリエは・・・ いえ聞いてはいけないのですよね 」


「 すみません、明後日まではまだこの町におられると思いますがその後の予定はお聞きしておりません。こちらの行動もお2人は一切知りません 」


「 そうですか・・・ 」


「 お辛いとは思いますが、お母上の庇護下にお送りするまでは私の指示にお従いいただきます 」


先ずはこの国を出るための行動を起こさないといけない、監視の目を潜り抜けてこの町から抜け出し無事に国境を越えるためには身勝手は許されない。


「 はい、覚悟はできております。ただ、一つだけお願いがございます 」


「 何でしょうか 出来る限りのことはいたしますが、不可能なことについてはそう申し上げてお断りも致します 」


一瞬目を伏せたが、再び僕の目をしっかりと見つめた時はその瞳の色に迷いは無かった。


「 もし、私が追跡者の手に落ちそうなときはどうか殺してください。 ただ、私は吸血族の血を色濃く受け継いでおりますので通常の方法では殺せません 」


「 ・・・ 」


どう答えればいいのか僕が迷っていると、ノエルさんは話を続けた。


「 方法の一つとして、ミスリル銀の刃物で首を切り落とし心臓を取り出した上で、それぞれを別の場所で聖なる炎で焼き尽くせば二度とどんな形でも蘇ることはありませんが。中途半端にされますと動死体レヴァナントとして厄介な存在になる可能性が高いので注意が必要です 」


「 それは本当に厄介ですね 」


「 はい、なのでもう一つの方法をお伝えします・・・ 」


何故かノエルさんが真っ赤になって俯いてしまった。


「 どうかなさいましたか? お加減でも・・・ 」


そう言いかけて覗き込もうとした僕に向かってノエルさんの両手が伸びてきて


「 はしたない女だと思わないでください 」


しっかりと僕の顔を冷たい掌が包んだかと思うと、僕の唇にノエルさんのそれがしっかりと重なった。


「「『 えっ えぇぇぇぇぇぇぇぇ 』」」












最近このパターンばっかり・・・






たっぷりと時間を掛けて濃厚にキスをされて、今は腰が抜けたように座り込んでいるノエルさん。


「 ・・・ えーと 」


後ろではパクパクと口を開け閉めして呆然とするフェオ&ユーン


まぁマーサやセオ、それにエイシアさんが居なかったのがせめてもの救いかな。

マーサはエイシアさんと魔法の強化中だし、セオはダッジさん達を密かに護衛中。


『 私は見ていましたよ・・・ 』


『 そうだよねぇ 』


ミーネはいつもそばにいてくれます・・・そういう意味ではプライバシーなんて存在しないのかも。

だってねぇ 夜に奥さんたちとラブラブしているのも全部見られているんでしょ


『 見てませんよぉ 一昨日の晩はユーン様をいっぱい可愛がってあげすぎて起きるのが遅くなったことなんて知りませんし、昨晩はマーサ様をたっぷり可愛がってあげたのも知りませんっ 』


『 しっかり見てるし 』


完璧にミーネには把握されているようです。


『 まぁ 奥様方と仲良くするのは当然ですし良いんですっ!!  ・・・いずれは・・・私だって 』


『 え、ミーネ 後半が聞き取れなかったんだけど 』


たまにミーネの念話が聞き取りにくい時があるんだよねぇ


『 大丈夫ですっ!!  それより、ノエルさんのキスですが、おそらくお話を聞く必要があります。私の知見によれば吸血種のキスは・・・ 』


ミーネの話の途中だったけれど、ノエルさんが立ち上がろうとしたので慌てて手を貸すことにした。


「 ・・・ ぁ はい ありがとうございます 」


よろよろと僕の腕にしがみつくようにして立ち上がるノエルさん。


「 大丈夫ですか 」


「 は、は はい   あっ 」


まだ力が入らないようでよろけてしまい、僕にしがみつくような姿勢になってしまった細い体を抱きとめる。


「「 むっ 」」 フェオ&ユーンの視線が痛いのですが


「 とりあえず、そこに腰かけましょう 」


倉庫の中にあるしっかりした箱に腰かけさせるために、体を支えて連れて行った。


「 すみません ご迷惑ばかりお掛けして・・・ 」


ものすごく申し訳なさそうなノエルさんの顔をじっと見つめる。


美人さんだよね、整った顔立ちというのかなエルフの血が濃く出ているのだろう美形というのに相応しい見つめて居たくなるよね。


そんなことを考えながら、箱にじかに座らせるのもいけないと思い、ノエルさんが入ってきた箱からクッションを取り出して渡してあげた。


「 これを敷いてください。冷えますから 」


「 お気遣いありがとうございます 」


軽く微笑みながら返す声も聞き惚れるような声だ。


「 いえ・・・ 」 


どうもさっきのキスを思い出すと、妙に照れてしまう。


あの唇が・・・




「 ・・・ あの・・・ そんなに見つめられますと・・・ 」


「 あ、 あぁぁぁぁ すみません  つい 」


どうも無意識に見てしまっていたようで


「 いえ  あの 嫌とかではなくて・・・ 恥ずかしいのですが・・・ 見て欲しい気も・・・ 」




どうにも甘酸っぱいような空気が




「 ごほ 、うぉっ ほーーーーん 」


明らかにわざとらしい咳ばらいが響いて、急に素に戻った。


「 あ、あ あ  えーと そう護衛の説明をね 」


「 は 、ハイっ  お お願いします 」




取ってつけたような感じになったけれど、護衛についても説明したよ。


先ずは電子魔法の効果について実演付きで説明。


僕と手をつなぐか腕を組むとかの肉体的接触をした上で、電子魔法により外見を変化させて。

ノエルさんを外見上セオにすること、セオは僕のお嫁さんだしこの布石としてすでに何度も僕はセオと手を繋いだりして街中を歩いている。

ある程度の魔法師でもなければ、この電子魔法は見破れないレベルにまで高める事にも成功している。


ちなみにセオにした理由は、身長が比較的近いということ、他の子たちでは背が違い過ぎて違和感が出てしまうのだ。


出発は今日の夕方、もう少ししたらこの倉庫を出て、僕とノエルさんは町はずれから門を出る。

手ぶらだし軽装なので、怪しまれることは無い。


門番には、塀の外にある農家へ行くと行って出てゆく予定。

その農家はダッジさんの知り合いで、一回保存の効く野菜を買い付けに行って居るところだ。


フェオとユーンは、反対側の門から時間差で出てゆく、こちらも塀の外の川漁師のところへ行くことになっている。

ちなみにこの川漁師の所では実際に食料をお願いしているので受け取ってからユーンに収納してもらって合流することになる。


マーサは日中のうちに町を出ており、馬を隠してある場所でエイシアさんと待機している。


そして本物のセオは別行動。


そこから先の行動を知っているのは今のところ僕とセオだけ。


当然のことながら、ノエルさんにもまだ教えることは出来ないので黙ってついてきてもらう。






「 じゃあ フェオもユーンもくれぐれも気を付けてね 何かあったらすぐに念話を飛ばすのだよ 」


トォーニ様作の指輪と腕輪を付けているので強力な護りは働いているし、余程の事が無い限りは安全だけど別行動なので合流するまでは心配だ。

まぁあの始祖嫁シリーズの指輪と腕輪は反則級の魔道具らしいけどねぇ おかげで念話も自由自在だし誰がどっちの方角でどのくらい離れた所にいるかも分かるのだ。

もはや嘘はつけませんねぇ。

事実上のGPS位置測定だよ。


「 はい、リック様もどうかくれぐれも気を付けてくださいね 」


ユーンがそう言うと、隣にいるノエルに会釈してから僕に濃厚なキスをしてきた。


「 ・・・ う、うん 気を付けるよ 」


少しびっくりした僕に今度は


「 ダメですよ 危ないことは 」


そう言いながらフェオが僕をぎゅっと抱きしめてからやっぱり濃厚にキスをしてくれた。


どうやらノエルさんに対抗しているらしい。


「 あうぅぅぅ・・・ 」


目の前で繰り返された濃厚なキスシーンにノエルさんは真っ赤になって俯いてしまった。


「「 では、行ってきます 」」


フェオ&ユーンはそんな僕らを尻目に少し嬉しそうに出て行った。

嫁という立場が二人を強くしたのだろうねぇ。



おかげ様を持ちまして、20,000PVを突破いたしました。本当にありがとうございます。これからも精進いたしますのでどうかよろしくお願いいたします。

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