スペシャルなゲスト
こんばんは 本日分の投稿です。
すっかり夜も更けたので、本来の宿に戻って早々に就寝・・・
とはいかなかったのだ、世の中そんなに甘くない。
「 リック様・・・ なんか雌猫の匂いがします・・・ 」
部屋に入るなり飛びついてきたフェオがものすごい勢いで匂いを嗅いでいる。
そういえば犬族って滅茶苦茶鼻が利くんだった。
「 え、あぁ ほらポルちゃんのとこの配達員のユーンちゃんに荷物を届けてもらったりしてたからね すごいんだよポルちゃんがパワーアップして、しかもほら例のアレアイテムボックスっていうか高位の収納魔法による魔道具ってやつもねぇ・・・ えーと 」
相変わらずしがみつきながらも、無言で見上げてくるフェオ
僕の周りをぐるぐる回りながら何かを確かめているマーサ
ソファアからジト目で視線を飛ばしてくるセオ
えーと、何か若干皆様お怒りですか?
「 まぁ主様の魔力は亜人や人外、精霊にとってもフェロモンのように働きますので、モテるのは仕方がないことですわ しかも獣人には特に優しいですしね 」
「 あたいは筆頭嫁だし、まぁリックが選んだ娘はなるべく受け入れたいけどよぉ あくまでも一番はあたいだよ それは忘れないでおくれよ 」
「 ・・・ 猫族とも仲良くできるので、ずっとおそばに居てもいいですよね 」
フェオは心配そうにひたすらしがみ付いてくるので、頭を撫でてあげると少し力が抜けてくる。
大丈夫だよずっと一緒にいるからね。
「 ユーンちゃんはさぁポルちゃんの使い魔だし、良い子だから仲良くしてあげてね。ほら今後は荷物とか色々お願いすることになるし 」
「 リックぅ いつの間に名前聞いたんだよぉ しかもちゃん付けで呼んでるしぃ 」
「 いや、ほら さっきね 今後の事もあるから教えてもらったとこ。 名前を知らないと呼ぶことも出来ないでしょう 」
うーん 視線が痛い・・・
あと、そういえばさっきセオが凄いことさらっと言っていたよね。
僕の魔力がフェロモンのように働くとか・・・どういうことだろうか?
『 そのまんまの意味ですよ フェロモンでモテモテです 』
『 え、ミーネ知ってるの? 』
『 はい、ご主人様の魔力は独特なうえに神様や高位精霊の影響が非常に強く働いていますので、まさにフェロモン状態なのです。しかもこの世界の基準で行けば美男子の部類ですし、銀色の髪に銀の瞳は獣人にとっては特別なのです 』
『 どういうこと 』
『 例のマーサ姫の物語はご存知ですよね。あのお話以外にも、有名な獣人の物語には必ずと言って良いほど出てくる英雄であり魔法使いにして獣人の味方である人種の男性は、銀髪にして銀の瞳なんです。 どうやら神話に出てくる創造神がそういった特徴をお持ちの方だったようですね 』
衝撃的な事実判明です!!
いや、確かにね この世界に来てから妙にもてるなぁとは思っていたのだけれども、そういう理由だったのかぁ。
しかしフェロモンって・・・
うーん なんか素直には喜べない気もするなぁ
銀色に変わったのはエイシアさんの加護のおかげだし、フェロモンに至ってはねぇ
『 ち、ちなみにぃ わわ私はですねぇ かか関係ありませんよ フェロモンとか一切影響ないですから 安心してくださいね 私は何があってもご主人様専用ですから 』
『 ありがとう ミーネ。 本当に嬉しいよ 』
『 仲好くお話し中に申し訳ありませんが、私たちも忘れないでくださいね 主様 』
セオが割り込んできましたぁ セオにかかれば専用回線も筒抜けです!!
『 いや、ミーネに色々解説をね 』
『 あい、聞いておりました。 でも私も主様専用ですわ、主様をずっと待ち続けていたのですから 』
『 まぁ セオ様は・・・ そうですね それは認めないわけにはまいりませんね 』
えーと、収拾がつきません。
それに、きっかけはどうあれこんな可愛いお嫁さん達と一緒に居られるのは事実だし。
気にする必要もないか。
「 可愛いよ フェオ 」
しっかりと抱きしめ返すと嬉しそうに甘えてくる犬族の可憐な奥さん。
「 マーサ 」
いつの間にか背中に張り付いている兎族の素敵な奥様の名前を呼べば、嬉しそうに顔を摺り寄せる。
「 こっちにおいで セオ 」
呼ばれるのを待っていたように見つめていたセオを招きよせると、嬉しそうに隙間に潜り込んでくる竜種にして亜神だけれど柔らかい奥方様。
今日はこのまま寝てしまおう。
みんなにそう告げれば、嬉しそうに頷くみんなの顔。
『 ミーネも一緒だよ いつも一緒に居てくれてありがとう 』
『 ・・・ はい、 嬉しゅうございます 』
なんとか落ち着いて、そのまま眠りにつきました。
みんな一緒だと温かくていいよねぇ・・・
明けて次の日です。
「 さて、今日はフェオの魔法について相談です 」
ちなみに、ここはどこかというと、町から離れた小高い丘の上。
季節が良ければ町の人もピクニックに来るような比較的安全なところ、まぁ冬のこの時期は誰もいない。
「 頑張りますので よろしくお願いします 」
「 まだ相談だし、そんなに緊張しなくていいよ。実際の練習はエイシアさんに頼んで仮想空間で行うしね 」
「 はい~ 任せてほしいのですぅ 」
ということで、参加者はエイシアさんとフェオと僕。
マーサとセオはお留守番です。
フェオは電子精霊の加護とトォーニ様の祝福もいただいたので、魔法は使えるようになっているわけで。
しかも仮想空間での練習も積んで、基礎魔法はもう普通に使えるようになっている。
そこでだ、新たにフェオに向いた魔法を創り出せないかと思っているわけですよ。
ここのところ暇さえあればいろいろ考えていたのだけれど、今一つ良いのが思いつかないんだよね。
将来的には金属と電子魔法の相性を活かした魔道具の開発も進めたいのだけれど今はそこまで時間も無いし。
「 実はそう思ってアドバイザーを呼んでいるのですぅ 」
「 「 アドバイザー 」 」
思わずフェオとハモってしまったよ。
「 そうなのですぅ リックさんの役に立てばと思い精霊ネットワークを利用してですねぇ 詳しそうな人に来てもらったのですぅ 」
「 ほほぅ 」
「 といっても、全然別の所に居るので、思念体での参加なんでけどぉ 良いですかぁ 」
エイシアさんがそんなことを言って来たけれど、こっちは歓迎ですよ。何しろ田舎暮らしでスマホだって高校3年になってやっと買ってもらえたくらいだし、あんまり詳しくないんだよねぇ。
しかし電子魔法にアドバイスくれるってことはこの世界の人じゃないってことかな。
「 来ましたよぉ 」
エイシアさんがそう言って紹介してくれたのは、エイシアさんよりは少し大きい存在。
「 え、えーとぉ 」
「 やぁ よろしく!! 俺は 型式番号 O-GA//1 見ての通り異世界の住人だ 」
えーとロボット、いやアンドロイドかな 人間タイプなんだけどどう見てもボディは金属?
「 はじめまして、リックといいます。こちらは嫁のフェオ、お忙しいところありがとうございます 」
僕は目の前にいる、O-GA//1と名乗る人に頭を下げた。
「 気にしなくていいよ、俺は異世界研究者として多くの異世界を渡り歩いている身だから役に立てると思うよ 」
「 でも、実体は遠くにいらっしゃるのですよね 」
「 あぁ、今はこの大陸の丁度反対側にいてね研究対象の近くで観察中だからこんな思念体で申し訳ない。実際は君たちの感覚で言えば2m位の身長の金属生命体なんだよ 」
うーん映画に出てきそうな光沢感といい、金属な感じだけど凄く丁寧な話し方で優しそうな人だ。
ちょっとフェオはびっくりしてるけれど、興味はあるみたいで僕の後ろに隠れながらもじっとO-GA//1さんを見つめいている。
「 精霊ネットワークでぇ この人が居るのが分かったのですぅ 」
エイシアさんはドヤ顔で伝えてくる、まぁエイシアさんが居なければ会えなかった人だろうしねぇ感謝しないと。
「 流石はエイシアさん!! 伊達に始まりの精霊はしていないよねぇ 」
「 すごいです 尊敬します 」
フェオにも尊敬のまなざしで見つめられたエイシアさんはテンションが高くなってO-GA//1さんの周りを飛び回っている。
「 さて、そろそろいいかな 俺もそこまで暇ではないので 」
飛び回っているエイシアさんをやっと捕まえて、すこし呆れ顔のO-GA//1さんには平謝り。
下手にエイシアさんのテンションを上げるモノではないね・・・反省反省。
「 はい、本当にすみません 」
「 うん、構わんよ。 それで電子魔法とやらの開発だったね 」
うん、凄かった
何がって凄いって?
それはO-GA//1さんの提案。
例えば
〈まとめ魔法〉とでもいうべきものは、天気予報や駅馬車の運行状況に、宿屋の空き情報、各国のニュース、町のゴシップ、物価比較等々が何故か分かってしまう魔法。
他にも〈スクリーンショット魔法〉は見たものをそのまま保存して、投影したり。熟練度が上がれば魔法金属で再現できるという凄い魔法だし。
〈音声変換魔法〉はグー○ルさんの如く、音声を文章に変換。これを使えば煩雑な呪文の教科書化も可能になる?
極めつけは〈ゲーム魔法〉!!電子精霊契約者同士で通信対戦も可能。トランプとかリバーシとか、もう絶対これを知ったらマーサもセオも黙っていないねフェオもこれを聞いた時に興奮してたし。みんな大好きだよねゲームとかねぇ。
他にも色々お知恵を拝借できたので、すごく助かった。
気が付かないうちに考えすぎていた部分も見えてきて、本当にO-GA//1さんと連れてきてくれたエイシアさんには感謝だね。
特にフェオのための防御魔法はだいぶイメージが出来たので、後でエイシアさんと煮詰めようと思っている。
「 本当に感謝しています。ありがとうございますO-GA//1さん 」
「 嫁を代表して、お礼を申し上げます。とっても嬉しいです 」
フェオもすっかり馴染んだようで、尻尾をブンブン振りながらお礼を言っている。
金属だけれど、とても温かみのある人だよなぁ。
「 いや、ちょっと調子に乗り過ぎたかも 」
「 とんでもないです、本当に助かりました 」
僕はとにかくこの感謝の気持ちを伝えようと思い、頭を下げるのだった。
「 そう言ってもらえるなら嬉しいかな。 じゃあ僕は観察の続きをしないといけないから、これで失礼するよ 」
さわやかに手を上げて去ってゆくO-GA//1さん、なんか男前だよなぁ。
フェオも名残惜しそうに手を振っている。
僕は薄れてゆく彼の思念体に向かってもう一度頭を下げるのだった。
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