頑張りどころ
こんばんは 本日の投稿になります。
みんなの前で犬族の女の子を紹介することに
「 というわけで今日からうちの子になる 犬族ちゃんです 」
「 よ、よろしくおねがいします 」
ぴょこんと頭を下げてお辞儀する犬族ちゃん。あ、名前知らないや
「 そういえば 名前はなんていうの 」
「 はい、名前はフェオと言います 」
「 え? フェオ? 君はフェオっていうの 」
「 はい、 お気に召しませんでしたか 」 ものすごく申し訳なさそうな顔でこちらを窺うフェオ
「 いや、そんなことないよ。ただ・・・ ちょっと驚いただけ 」
単なる偶然。そう、名前が似ていて毛色が似ていて・・・
でも嬉しかった、この子を救えたことがより一層嬉しかった。
カフェオとフェオもちろん日本の犬とこの世界の獣人の犬族を一緒にしてはいけないけれど
もちろん偶然に過ぎないとしても
「 リックぅ この子も嫁にするのかい? 」
マーサがフェオの事を見つめながら聞いてきた
「 へ??? 嫁??? 」 フェオはキョロキョロしながら誰のことを話しているのか理解していないようだ
まさか奴隷として買われた自分の事とは思ってもいないのだろう。
「 うん、フェオの目も治してあげたいし、そうできると一番いいかなと。もちろんフェオの気持ち次第だけどね 」
「 わ、私の気持ち次第って・・・ えええええ まままさか 私がごごごごご主人様のお嫁さんにぃ・・・ え? ええええ きゅ~ 」
最後はマンガみたいな小さい悲鳴のようなものをあげて、フェオは目を回してダウン。
「 うあわぁぁ フェオ大丈夫 」
慌ててフェオを抱き起してベットに寝かせることにした。
びっくりして目を回しただけだよね、嫁の話が怖くて失神したとかじゃないと良いのだけれど。
いずれにしても話が急すぎたね気をつけないと。
で、会議になったのですけれど・・・
「 私は反対なのですぅ 」
エイシアさんは当然そうなるよね、っていうか必ず最初は反対するなぁ。
「 でも、フェオ様は加護をお持ちではないみたいですよぉ 」
セオがものすごい指摘をぶっこんできました。
「 え!? ・・・ 嘘ぉ 嫁に加えるのですぅ 」
今回は早かったなぁ 秘技 掌返し炸裂するの。
なんか最早お約束な展開にすらなってきてないかなこのパターン
「 でもなんでフェオに加護がないの? マーサと同じパターンなのかな 」
マーサもそうだったが、精霊は先天性の病等で成人までに死亡する可能性の高い個体には加護を与えないのだ。
なのでフェオもそうなのかと思ったのだが。
「 フェオさんは加護落ちとおもわれますわ 」
「 加護落ち? 何それ 」
聞いたことがない言葉なのでセオに教えてもらったのだが
加護は基本的にそれを与えた精霊が存在する限り継続される。
また、精霊の寿命はほぼ無限に近いため一般的に長命とされるエルフにおいても加護は一生涯続くものである。
ただし例外的に加護落ちと呼ばれる加護が消える現象が確認されている。
これは加護精霊がこの世界から消え去ることによって、その精霊の加護を受けていた者たちの加護が無くなってしまうことを表している。
ちなみに精霊は攻撃や魔法によってダメージを受けることは無く、精霊同士がお互いを傷つけるような争いを引き起こすことは無い。
では何故加護落ちが起きるのかというと、多くの場合はその精霊が異世界へ弾き飛ばされることによるものである。
もちろんこのことは一般には知られることは無く、結果としての加護落ちがごく稀に起きてしまうという現象のみが知られているわけだが。
亜神であるセオは当然のことながらその現象と理由を知識として持っている。
実は加護落ちが起きる原因は、異世界からの転移にあるのだ。
異世界からこの世界への(例えば地球からリックが来たケースもこれに当てはまる)転移が発生すると、異世界からの質量と同等の物が交換されるように移動する現象が起こる。
これは異世界間における質量保存則として知られた現象であり、神々の間では太古の昔より知られた事実である。
(あくまでもやり取りされるのは質量のみである、例えばリックが両親と共にこの世界に転移した際は3人分+衣類や荷物の質量と同等の土砂が地球に転移している。これにより地球のどこかに突然異世界の土砂が積み上げられたことになる)
このような質量移動に巻き込まれる形で、異世界の動物やごく稀に精霊までもが巻き込まれて異世界に転移してしまうことがある。
これによって精霊が居なくなった者に加護落ちと呼ばれる現象が発生するのだ。
なお、異世界に転移してしまった動物や精霊が転移先でUMAであるとか怪奇現象を引き起こす要因となっている可能性は否定できないのだが、それはまた別のお話・・・。
「 じゃあこの子の目も加護落ちが原因なのかな 」
「 あい、病気は持っていた可能性はあるかもです、また加護の効果により軽度だった症状が悪化した可能性は大きいです 」
「 もしかするとこの子の加護落ちは僕らの転移が原因かな 」
「 それは分かりかねます。フェオ様の加護落ちがいつ起きた現象なのかは特定できません。でも仮に主様の転移が原因だとしてもそれを責めることは出来ないのです転移によって起きる質量移動は、一種の天災扱いなので予測も出来ないのです 」
セオはそう言ってくれるけれど、この子の加護落ちは僕にも責任の一端があるはずだ、せめてフェオの目を治して僕に出来ることをしてあげたい。
ベッドで眠っているセオの寝顔を見つめながら僕はそのことを考え続けた。
「 うふふふふ また嫁が増えるのですぅ 今度は犬族なのでぇ 赤ちゃんがいっぱい期待出来ますぅ 」
独り言というにはだいぶ大きな声でエイシアさんは呟いている
「 あたいだって いっぱい産むよぉ 犬族は安産だって聞いたことあるけど兎族だって産めるんだから 」
「 もちろんなのですぅ、マーサさんとセオさんには期待しているのですぅ ドンドン産んでドンドン育てるのですぅ 」
「 でもさぁ 早くどこかに定住しないと子育て出来ないよなぁ 」
「 そうなのですぅ それが最優先なのです!! 立派なお家で子育てに向いた環境を作るのですぅ 」
なんか話がドンドン進んでいますけれど、立派な家ってお金がかかるのはご存知ですよね
「 あたいは 日当りのいい丘の上に住みたいよぉ 庭があってそこで人参とかレタスを作って子供たちに食べさせるんだ 」
「 そうなると気候の温暖な国が良いのですぅ この国は冬が寒いのでダメなのですぅ 」
「 暖かい国へ行くのかい、嬉しいなぁ でもそうするとまた服とか買わないとなぁ 」
あ・・・いまここで買い物の話をしちゃう しちゃうんだ
「 買い物かい 俺の出番だなぁ!! 任せておきなぁ さぁさぁ何を買うんだい 家か土地かそれとも・・・ お、お、俺のハートは、ま、ま、まだ買えないからな そ、それは・・・もうちょっと って何言わせるんだよぉ 」
「「 ・・・ 」」
ポルちゃん・・・ 言葉遣いはともかく声と中身は滅茶苦茶乙女だよね・・・ 豚さん貯金箱なことたまに忘れそう・・・
「 と、と、 とにかく買い物なら俺に任せろってーの さぁ早く金貨を入れてくれよぉ あんまりじらすなよぉ さぁ早く早くぅ 」
「 ポルちゃんで家も買えるのかい 」
マーサが興味津々で聞いている
「 何だって買えるぜぇ この世界の店で売ってるものならなぁ もし店頭に並べば伝説のアイテムだろうが国王の座だって買えるんだぜ。ちなみに今日のお勧めは貴族だな 」
「 貴族? 貴族って買えんのかよ 」
マーサがびっくりした声で聞き返している、そりゃあそうだよねそもそも貴族って売り物なの? まさか貴族って名前のお店とかかな スナック 貴族とか
「 あぁ買えるぜ 正確に言うと爵位って奴だけどな 」
「 しゃくい ? なにそれ 」
「 マーサには難しかったかな、要するに貴族の地位ってことでこれを買えば今日からあなたも貴族の一員ってわけだ 」
「 ふえぇぇぇ じゃああたいでもなれるのかい 」
「 ごめんなぁ これは人族の男性限定品なんだ。 爵位ってのは国が与えるもんだから、買って上でその国に行って国王から叙任されないといけないんだ 説明不足ですまん 」
マーサは明らかにがっかりしてしまったが、すぐに気を取り直したようで
「 じゃあリックが買って貴族様に成れば、大きな家に住めるのかい 」
「 おう、もちろんだぜ。 そりゃあ貴族だからな、家もでかいし立派なもんだ 」
なんかドンドンと話が不穏な方へ行っております。
ちなみに爵位は当面買わないし、そもそも買える金額ではなかったので納得してもらいました。
でも、家とかは真剣に考えないとね。まぁその前に仕事か・・・。
とにかくまずはこの町を離れて南へ向かう、乗合馬車での旅だ。
そして出来れば本格的な冬の前に国境を越えて、そこで仕事探しだね。
お嫁さんたちにひもじい思いはさせられないし、幸せにしてあげないといけない。
「 頑張ろう 」
僕は小さく口に出して決意を新たにした。
お読みいただき、誠に感謝いたしております。




