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色とりどりな花が咲き誇る、草原―――。そこには、黒髪の少女と茶髪の少年が、座り込んでいた。
少女が少年の髪へと、腕をのばす。少女の手には、『花弁』が一枚握られていた。
『―――見て、この花貴方の目と同じ色』
『僕の、目と・・・?』
『ふふ。そうよ!とっても綺麗な紫だわっ!!』
そう少女は告げると、少年に抱きついた。少年は、抱きつかれた衝撃で、後ろへと倒れる。花弁がフワッと舞い上がり、少女と少年はお互いを見た。そこには、二人とも花弁だらけになっている姿が、あった。
二人はキョトンとした後、見つめあい、それはそれは幸せそうに笑いあった。
そして、少年は言葉を紡いだ。
『僕が、大きくなったら―――――しよう』
◆◇◆
「ぅ・・・ん」
ウィルフォーゼは、瞼を震わせ、目を開けた。そして、キョロキョロと目線だけで辺りを、見渡す。紛れもなく、馬車の中だ。
「さっき、のは・・・」
花が咲き誇る草原に居た、幼い頃のウィルフォーゼと、思い出せないけどもう一人の男の子。最後にあの子は、何を言っていたのかしら?それに、あの夢の光景・・・何処かで見たことがある、ような?
ウィルフォーゼは、首を傾げる。思い出そうと、記憶を整理していると、突然鈍い頭痛がウィルフォーゼを襲った。その途端、見知らぬ記憶が流れてくる。
「っ!!」
そこには、大きなトラックに跳ねられた女性の姿があった。その女性は、ウィルフォーゼに瓜二つであり、瞳からは光を失っている。
あ、れは・・・私?
ウィルフォーゼは、その女性に手を伸ばそうと腕をのばしたが、女性には触れず、伸ばした手は空をきった。
バランスを崩したウィルフォーゼは、そのまま馬車の床に倒れ込む。
倒れ込んだウィルフォーゼの顔には、玉のような汗が滲んでおり、顔色も悪く、息も過呼吸になっている体も心なしか震えている。
「はっはっはっ・・・っは」
あの記憶・・・私は、一体何者なの・・・?
ウィルフォーゼは、自分自身が恐くなった。もし、またあの記憶を立て続けに見ることになったら、どうにかなってしまいそうだ。
ウィルフォーゼは、己の腕を擦りながら、何とか腰掛けイスに座り直した。そして、それを見計らっていたかの様に馬車が、止まる。
ウィルフォーゼは、このままだと家族に心配を掛けてしまうと、何度も深呼吸をして、震えないように心を落ち着かせる。
馬車の扉が開き、デルタロスが顔を出した。そして、顔色の悪いウィルフォーゼを見つけると目を剥き、慌ててウィルフォーゼに駆け寄った。
「お嬢様、何処かお加減がっ!?」
今にも、医者を呼びそうな勢いのデルタロスにウィルフォーゼは、手をかざし、制した。
「大丈夫、よ。少し、酔っただけだから休めば、すぐ良くなるわ」
そう言うと、ウィルフォーゼは心配そうな顔をしているデルタロスに、微笑んだ。
ただ、心配をかけさせたくない一心で。
御閲覧有り難うございました。
なんか、文章可笑しくてスミマセン。
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