*第20話 サスケ
俺はサスケ。
十二支精霊の申。
9番目だ。
俺の契約者は大聖女のサーシアだ。
でもあまり出番が無い。
それと言うのも大抵の問題はルルナの姉御が解決してしまうからだ。
何年か前までは戦が続いたから活躍が出来たけれど、
最近は暇を持て余していた。
そこへシオンが来た!
サーシアの御指名で俺が面倒を見る事になった。
任せておいてくれ!
さすがに物質の具象化は無理だけれど、上級攻撃魔法でも受け付け可能だ。
威力もバツグン!
城壁をぶち抜くなんて簡単だ。
精霊院ではまだ初級の特殊魔法の段階だ。
楽勝だな。
他の生徒がなかなか上手く出来ない中でシオンは一発で合格している。
当たり前だ。
俺が手続きをしているのだから。
へたくそな呪文でも、俺が修正を掛けてシステムに申請をしている。
高位精霊だからな。
それくらいは出来て当然だ。
姉御の特訓でシオンの精霊言語も少しずつ上達している。
院を卒業する頃には自力で上級精霊と契約が出来るだろう。
それにしても気に入らない。
なんだあの男は!
初対面でいきなりプロポーズしやがって!
もう少しで殺すところだった。
サーシアに迷惑が掛かるといけないから我慢したけれど、
王族でなかったら死んでたな!
シオンはウブだから騙されやすいんだよ。
彼氏に振られたばかりだしな。
傷ついた心に甘い言葉を掛けられたら、
そりゃ~グラッと来るわな。
焦がしバターとメープルシロップをかけたパンケーキに
生クリームを乗せた様なもんだ。
なんならアイスクリームも付いてる。
もうトロけちゃう~!ってやつだ。
確かに結構な男前だしな。
精霊は人間の美醜に興味が無い。
波長が合うか合わないか?
それだけだ。
サーシアもそうだ。
なにせ夫はカルアンだ。
シモーヌ曰く、憲兵の制服を着ていても不審者に見える程に貧相なのだそうだ。
そのカルアンにベタ惚れなのだから、よっぽど波長が合うのだろう。
まぁ、俺が付いている限りヘタな事はさせない。
仮契約でも大切なパートナーだ。
もしシオンを泣かせたら・・・
その時は殺す!
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「奇麗な首んびた飾りだべなぁ!さんぞかす高げかろなぁ~」
『ウキャ!ウキャ!ウキャキャ!』
ミラームから舞踏会へのお誘いが来た。
招待状と一緒に豪華なネックレスが送られた。
「オラ、”蝶々の舞”だば踊れっけんど、ペンア~デンスなんぞ出来ねだぁ~」
『ウキ~ウキ~ウキキ~!』
「ルルナ様がこで着でけってドンレ~ス呉れただよぉ。」
『ウキキ~!ウキャウキャキィ~!』
「サスケ~、こったら衣装さオラ似合うだべが?」
『ウキ~ウッキウキキウキャ~!』
「シオン様、着てみては如何ですか?」
シオンの世話係をしている女中が勧めた。
「んだべな!」
応援の者も駆けつけて3人係りで衣装合わせが始まった。
髪を結いあげて、ドレスを着こみ、贈られたネックレスを飾る。
「サスケ~どんだべがぁ?」
『ウッ!ウキャキャァ~~~』




