14 変化
ガーナード国国王崩御……
この事は瞬く間に国中に伝えられ、周辺国にも通達される。
「毒殺とは……とんでもない……」
「何という…一体誰が?」
「いや、まだ毒殺と決まったわけでは……」
「一体、側にいた者達は何をしていたのか!聖女とていたのだろう!?」
「皇太子妃殿下が実家に下がっていたそうじゃないか?そんな型破りな…だからだ!」
「滅多な事を言うものではない!目をつけられるぞ!」
国王の葬儀だというのに、重鎮や出席した貴族達の口から漏れ出るのはあれこれと詮索する様な内容ばかり…誰も心からの王の死を悼んでいないかの様にも聞こえてくる。
「静かにされないか!葬儀の最中であるぞ!それでなくとも、これから片付けなくてはならぬ事が山ほどあるではありませんか!……」
そんな貴族達の小言を聞きつけてはドルン侯爵が釘を刺す…国王の突然死…毒殺と言われているがまだはっきりと発表はされていないが、その死については不明点が多すぎるという。王族の訃報に伴いこれから国中は喪に服すことになる。市民は範疇ではないが、貴族間では婚礼は控えるべき期間だ。よってフィスティア皇太子妃の弟カイラス・ドルンの婚礼も引き延ばされる事となった。国家間の婚礼もこれに当てはめられ、貴族の者は国外に嫁ぐ事も迎え入れる事も出来なくなる。
そして、次期国王の戴冠。喪が開けて直ぐに執り行うべきものだ。それに各国への対応と警戒………
「ルワン様………」
間に合わなかった……あの時より、皇太子ルワンの表情は硬いままだ。ただでさえ国王である実父が亡くなったのだから、心を痛めているのは当たり前だろう…しかし、ただそれだけではないようなのだ。葬儀の準備に取り掛かると、毎夜の如く夜半過ぎにならないと皇太子ルワンは寝室にも帰ってこない様になる。やるべき事が多いのも肯けるのだが、皇太子ルワンの身体を心配したフィスティアは日付が変わる時間になると、皇太子ルワンを探して城内を彷徨う様になった。
ある日、明かりが漏れ出た小さな会議室で騎士達と机を囲み、何やら熱心に話し合っている皇太子ルワンを見つけることになる。
「ルワン様……」
声をかけようか迷ったフィスティアだが、このまま皇太子ルワンも倒れてしまったらガーナード国が傾いてしまいかねない…意を決してフィスティアは会議室へと入ったのだ。
「……フィスティア…こんな時間に何をしているのだ?」
貴方様こそ何を?フィスティアはそう聞きたかった。皇太子ルワンの顔色は悪く、目の下に隈までできている。もう、何日も真面に休んでいないのがよく分かった。
「ルワン様…貴方様のお身体が心配なのです……」
もう、何日も寝台を共にはしていない。周りの侍女達にも皇太子夫婦の寝室で皇太子ルワンが寝てもいない事は知れ渡ってもいた。
「……すまなかったフィスティア……少し、話そう…」
そう言った皇太子ルワンの瞳はやはり険しい…綺麗な花を一緒に愛でていた頃のあの優しい眼差しはどこかに隠れてしまったかの様に目の前の皇太子ルワンからは読み取ることすら出来なかった。




