1部 12芒星魔方陣 編 3章 争いの胎動 3話
「さて、残った貴方達はどうするの?学研警備隊で事情聴取は免れないけど、公務執行妨害で現行犯逮捕は避けられるわよ」
銃を構え身構える俺に残った男女11人は大人しく両手を上げ大人しく指示を受けた。
10分程して学研警備隊が到着した。渡邊と浅野、久田も一緒に来ている。
「これ、先輩がやったんですか?」
「先輩ってどっちの?」
浅野の質問に俺はつかさず答えた。
「藤井先輩がやったんですよね?朝倉先輩は無能力者だからこれだけの人数相手に出来ないでしょうし」
痛い所を付いてくるが事実だ。
「そんな事無いわよ、朝倉君が私の後ろを守ってくれたから戦えたのよ」
「いいですよ、先輩、事実なんだしそれに合気道とテレポートを同時に使った戦いが見られて格好良かったですし」
「ありがと、あっ、朝倉君、腕章すぐに外して」
「え?」
「あっ!居た!ゆーうーきーぃ」
綾香の声、俺は腕章を付けたままだ。
「どうしたんだ?中野?ここは今立ち入り禁止だぞ」
渡邊がフォローしてくれている。その間で腕章を外した。
「先輩、すみませんけど俺の腕章預かって貰って良いですか?」
俺は声を潜めて藤井先輩に腕章を渡した。
「良いけど、どうして?」
「あいつにテレキネシスで投げ飛ばされるかも知れないのにその時にポケットからこれが出てくるやばいから」
「貴方も大変ねー」
藤井先輩は苦笑いしながら俺の腕章を受け取り、ブレザーのポケットに入れた。
「なんで、そんな所に裕貴が居るのよ!」
綾香は渡邊に抗議している。
「それは」
「貴方が中野綾香さんね」
藤井先輩が言葉に詰まる渡邊に代わって出てきた。
「あんたは?裕貴の知り合い?」
「私は藤井麻未、ブルーバンド、第15支部のチーフをしているの今回の捕り物の情報提供者の朝倉さんに協力をお願いしていたんです」
「え?そう・・」
納得してない表情だが理解はしたみたいだった。
「今回はおかげさまで無事、大きな任務を成功させる事が出来ましたわ、感謝いたします」
「ええ、こちらこそお役に立てて何よりです」
それにしても藤井世先輩のやりとりは上手いと思った。
「朝倉さん、ご協力有り難うございました。中野さんがお迎えに来てらっしゃるのでここでお引き取り下さい。今日は有り難うございました」
「ああ、はい」
渡邊が後ろから近づいて。
「今日は帰れってさ、報告書はまた明日すれば良いだろ、ほら、行けよ」
「ああ、わりー」
「じゃあ先輩、おさき・・・今日は有り難うございました」
俺はお疲れ様と言うみんなを置いて先に綾香と家に帰った。その後、家で酷い目に遭ったのは言うまでも無い。