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2部 スペルブースト 編  3章 声 1話

「―起きなさい―」

 俺は今、どうなっている?

「―起きなさい、裕貴―」

 綾香か?それにしても、なんで俺の周りに居る女はこうも言葉が荒っぽいのだろう。

「綾香?」

「―綾香?違うわよ―」

「じゃあ誰なんだよ」

「―私は貴方の中よ―」

 今、俺は夢を見てる?目の前に裸の少女が映っている。背丈は一般的な女と同じ位だろうかどことなく幼馴染みの中野綾香に似ている気がする。

「お前は一体何者だ?」

「―私は貴方が深層心理が作り出した私よ。マリアが裕貴に忠告していたでしょ?―」

「忠告?」

「―忘れたの?―」

 !?

 この映像はこの女が見せているのか?場面が突然。直前までマリアと戦っていたビルの中の光景へフラッシュバックが起こった。

 辺りは燃えた衣服やオートマトンの残骸が散らばっていた。

 今、そこにマリアの声が響いてくる。

「意識はあるか?今ヒーリング・パールを掛ける。我慢しろ」

 マリアはワンドを振りかざし意識を集中させると光る糸に包まれ繭の様なドームになった。

「朝倉裕貴・・・。それとも朝倉の身体に居るもう1人の朝倉裕貴に言って置く」

 マリアは光るドームの中で倒れたままの俺に話し掛ける。

「朝倉貴方のその能力の正体は何か解らないがこれは警告だ。『治癒』『再生』『回復』の能力、又はそれに関わる能力を持って学研都市で生きるならその能力は隠しなさい」

 マリアはその理由を続けて語る。

「この学研都市で能力開発を受けている人達の中で、他の能力者ならレベル3以上の能力者も居るのだが、それらの能力を持った人間はレベル1が数人しか居ない。そして何人かの学生が行方不明者と原因不明の事故が起きている。それがどういう事は分かるな?」

 話しの流れからするととても悪い気がする。しかし、唯単にレベル3以上の能力者が育たないだけと言う事もあり得るのだが・・・。

 所でどうしてこの時俺は何も口を利かなかったのだろう?しかしマリアは続けて話してくる。

 この先、マリアが言いたい事はもう分かっている。だがこの時は既に言葉を返す力が残っていなかったのだろう。

「恐らく、私達警察すら目の届かない所で治癒能力者達を拉致し非人道的な実験を行っているかも知れない、生憎、私達にはその捜査権限が与えられない上層部で起きているとしたら・・・その先は言わなくても分かるな?」

 ああ、分かっている。今日本では戦後の混乱がまだ続いている。

 その中には戦争孤児になった子供達も居るだろう。そうした孤児達が優先的に学研都市に集められている事は分かっている。これは、治癒能力などで身体の異常状態を回復させる事が出来るなら薬物の投与など肉体的負荷が掛かる非人道的な人体実験を行っても証拠隠滅を計る事が出来ると言う事だろう。

 それでも行き過ぎた実験に身体が耐えられない場合はそのまま放置され事故や病気で片付けられている可能性が有るのだろう。

 それだけ、戦争と言うのは人の命が簡単に奪われる。


 病院のベッドで目を覚ました俺は綾香に3日も意識不明の重体だったと聞かされた。

 それと同時に綾香に内緒で俺がブルーバンドに所続していた事が寝ている間に浅野が口を滑らせたらしい。

 挙げ句にシルビアまで出てきて余計に話しがややこしくなった。

 唯、事件は表向きには解決したが事件の根本にはまだ捜査の手が伸びていない事。俺にある何かの能力は余り人に言うべき内容じゃ無い事だろう。

 それよりも今は目の前の中野綾香だ。

「ねえ、裕貴さっきの女は誰なの!」

 綾香はまだ俺の右腕を掴みながら睨んでいる。

「あの人は警察の人だよ、今回のテロ事件に巻き込まれた時に助けてくれたんだよ」

「うそ!さっきの人は外国人でしょ?どうして警察官になれるのよ」

「あれ?お前知らないのか?戦後の移民政策で今は外国人でも公務員になれるんだそ、もちろん警察にだってなれるし」

「そんなの聞いた事無いわよ」

「それくらいニュース見てれば分かるだろう。結構前から政策転換されていただろ?」

 もちろん事実だ。5発同時に東京へ向けて放たれた核弾頭の1発を打ち漏らし、その為およそ300万人も死者行方不明者が出ればそれなりの政策転換は必要になる。

「そんな事言ったって・・・」

 綾香は不満そうだが理解したのか?

「でもそうならなんでこんな所でこそこそとする必要有ったの?」

 痛い所突いてくる。でもブルーバンドに所属していることがばれたのだから良いのかな?

「テロ事件が発生した時に交通整理をしていたのだけど俺の居た所がテロの標的だったらしくて爆発に巻き込まれた時にさっきの人が助けてくれたんだよ、それで事件の後どうなったか教えてくれたんだよ、あの人忙しい人だからその話しを済ませると又どっか言ったけどな」

 実は犯人を追って大怪我をしましたなんて言えば綾香が納得してくれるとは思えない。さてどうしようかな?

「これで事件解決。テロ手段は逮捕したって話しだったよ」

「テロ?」

「綾香だって酷い目に遭ったのだろ?ダイアモンドダクトの話し聞いたぞ、その犯人も逮捕したんだよ」

 本当は俺とシルビアで追い詰めて自爆した伏羲というサイボーグだ。

「男もテログループだったの?」

「ああ、綾香と当たったのが揺動グループだったらしい」

「それもさっきの人から聞いたの?」

「ああ、だって刑事だからな」

「裕貴が言うなら・・・・」

 綾香の態度は今も納得はしていないだろう、だが本人も知らないであろう情報を得て引き下がった。

「朝倉さんここに居たのですか?目が覚めたのね。検診しますから来てください」

「ああ、はいはい」

 女性看護士に呼びかけられ診察室に案内された。


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